2020年02月18日

「保険の不正販売問題」の次は「CLO問題」を、反面教師にしたいと思う



令和2年(2020年)2月14日のブルームバーグを読んでいたら、ゆうちょ銀:昨年末のCLO残高2200億円増、運用多様化進めると題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『日本郵政グループ傘下のゆうちょ銀行は、2019年12月末のローン担保証券(CLO)保有残高が、同9月末比で2226億円増加したと発表した。

ゆうちょ銀が14日開示した決算資料によると、19年12月末のCLO保有残高は1兆7467億円で、9月末の1兆5241億円から増加した。保有するのは全て米国のCLOで「AAA」格に限定している。

CLOは格付けの低い企業への融資を束ねて証券化した商品。ゆうちょ銀の米国CLOの保有残高は18年3月末の4958億円から19年3月末には1兆1787億円へと倍増していた。

マイナス金利の環境下でこれまで運用の大半を占めていた日本国債への投資では十分な利回りを確保できなくなっていることから、より高い利回りを求めて海外での投資比率が高まっている。

ゆうちょ銀の今井健一財務部長は同日の決算会見で「運用の高度化、多様化を進める中」でCLOの保有残高は増えたと説明。

リスク管理など適切なコントロールをしながら、今後も「増やせるものは増やしていきたい」との方針も示した』

以上のようになりますが、令和元年(2019年)を振り返ってみると、かんぽ生命と日本郵政による保険の不正販売が発覚して、多くの方に衝撃を与えました。

その手口を紹介すると、顧客と新契約を結んでから、6ヶ月以内に旧契約を解約した場合、旧契約の乗り換えとみなされ、新契約より職員の営業成績が悪くなると共に、受け取れる手当が減ってしまいます。

そこでこの6ヶ月については、旧契約と新契約の保険料を、意図的に二重払いさせていたのです。

また旧契約を解約してから、3ヶ月以内に新契約を結ぶと、旧契約の乗り換えとみなされ、新契約より職員の営業成績が悪くなると共に、受け取れる手当が減ってしまいます。

そこで意図的に3ヶ月の無保険期間を作った後に、新契約を結んでいたのです。

こういった手口を見ていると、保険の不正販売問題の原因のひとつは、新契約の販売額を重視した、職員の評価制度だったと考えられます。

そこで日本郵便は、販売額から解約額を差し引いた「純増額」で、職員を評価する仕組みに変えていくようです。

また顧客満足度に関する指標を新設し、契約した後のアフターフォローにも力を入れるとしております。

その他に営業担当の職員に対して、ファイナンシャルプランナーなどの金融に関する専門資格を取得させ、保険以外に投資信託なども取り扱えるようにするそうです。

いずれについても良い案だと思うのですが、一度失った信頼を取り戻すのは、簡単な事ではありません。

ですからかんぽ生命と日本郵政による、保険の不正販売問題を反面教師にして、信頼を失わないようにしたいと思います。

ところで保険の不正販売問題が収束した後に、注目されそうな問題があり、それは冒頭で紹介した記事の中に記載されている、「CLO」の保有残高が増えているという問題です。

今から10年くらい前に、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅ローン)を証券化した金融商品が、世界中の金融機関で人気を集めました。

この理由として当初は安全な金融商品と考えられ、そのうえ多くの格付け会社が、高い評価を与えていたからです。

しかし米国の住宅価格の下落で、サブプライムローンが不良債権化した後は、危険な金融商品だと見なされるようになり、市場では投げ売りが相次ぎました。

そのためこれを保有していた金融機関は、経営が悪化していき、倒産するところも出てきたのです。

サブプライムローンの影響で倒産した金融機関の中には、その数年後に発生したリーマンショックの名前の由来になった、「リーマンブラザーズ」も含まれております。

CLOは冒頭で紹介した記事によると、「格付けの低い企業への融資」を束ねて証券化した金融商品になります。

つまり今から10年くらい前に大問題となった、サブプライムローンを証券化した金融商品と、商品内容が似ているのです。

そのため日本と米国の中央銀行は、CLOの保有残高が増えている事に対して、警戒するようになっているのです。

どうしてゆうちょ銀行は、このような危険な金融商品の保有残高を、増やしているのでしょうか?

またCLOの仕組みは非常に複雑ですが、ゆうちょ銀行は運用担当者は、きちんと理解できているのでしょうか?

個人的にはゆうちょ銀行を反面教師にして、たとえ金利が高かったとしても、CLOのような得体の知れない金融商品には、手を出さないようにしたいと思います。
posted by FPきむ at 20:29 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月03日

マルチ商法に騙された若者と、郵政に騙された高齢者の、共通点と相違点



令和元年(2019年)5月11日の朝日新聞を読んでいたら、「必ず儲かる」借金し契約 マルチ商法、20代相談突出と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『「必ずもうかる」という言葉につられ、逆にお金をだまし取られた――。そんなマルチ商法(連鎖販売取引)に関する20代の相談が突出している。

2022年には成人年齢が18歳になり、借り入れ契約などを自由に結べる人が増える。被害の拡大を危ぶむ声もある。

近年は大学内で勧誘されるケースも相次いでいる。埼玉県内の男子大学生は20歳になったばかりの17年夏、友人から「いいバイトがある」と言われ、30歳代の男を紹介された。

バイトは中国の通販サイトの商品を国内で転売する内容。ノウハウ取得のため男の会社と50万円でコンサル契約を結ばなくてはならないが、会社に知人を紹介して新たなコンサル契約が結ばれれば10万円が支払われる、という内容だった。

大学生は「50万円もの金はない」と断ったが、男は「500万円した」という腕時計を見せながら「必ずもうかる」と熱弁を振るった。

結局、大学生は消費者金融でお金を借りて契約。しかし、その2日後、男とは連絡が取れなくなった。

勧誘された人が新たな買い手を誘い込むことでマージンが稼げるマルチ商法。

それに関する相談が国民生活センターに例年、全国で1万件前後ある。18年度は9759件で、年代別の最多は4割を占める20代だ』

以上のようになりますが、令和元年(2019年)を振り返ってみると、かんぽ生命と日本郵政による保険の不正販売問題が、世間を騒がせました。

最近新聞に掲載されていた事例によると、孫が死亡したら保険金が出る死亡保険に、高齢者が加入させられていたそうです。

こういった事例からわかるように、保険の不正販売の被害に遭ったのは主に高齢者です。

一方で20代の若者は、冒頭で紹介した記事の中に記載されているように、マルチ商法の被害に遭っているのです。

この両者の問題を比較してみると、次のような共通点と相違点があると考えております。

(1)見ず知らずの人ではなく、身近な人に騙されたという共通点
郵便局は特に地方に住んでいる高齢者にとって、もっとも身近な金融機関であり、そこで働く職員も身近な存在だと思います。

ですから保険の不正販売の被害に遭った高齢者は、身近な人に騙されたのですが、マルチ商法の被害に遭った若者も、友人などの身近な人に騙されたのです。

若者と高齢者のいずれについても、断ったら人間関係が悪くなるかもしれないという気持ちが生じて、勧誘を断れなかったのかもしれません。

数年前にアドラー心理学について解説した、嫌われる勇気(著:岸見一郎、古賀史健)という本が流行りました。

この本のタイトルのように、何だか怪しいと思ったら、または自分には必要がないと思ったら、嫌われる事を恐れずに勇気を出して、きっぱりと断る必要があるのです。

なおマルチ商法については、クーリングオフ制度(契約から一定の期間内であれば、無条件で契約が解除できる制度)を、利用できる場合があります。

保険についても同様の制度を利用できる場合がありますので、誤った契約をしたと思ったら、すぐに行動した方が良いのです。

(2)若者は自己評価が低く、高齢者は自信過剰という相違点
金融広報中央委員会は18歳以上の、お金や金融に関する知識や行動の特色を把握するため、「金融リテラシー調査」を実施しております。

この調査の2011年版をまとめた、金融力調査(2011年)によると、高齢者(65歳以上)のお金や金融に関する知識や判断力には、次のような傾向があるようです。

『自らの知識や判断力への評価は高いが、金融商品のリスクに関連した設問等、知識面での正答率が低く、情報収集面でも情報入手不足・関心不足を示す回答比率が高い』

以上のようになりますが、お金や金融に関して、知識や判断力があると思っている高齢者は多いようです。

しかしテストをやってみると、意外に点数が取れないため、特に知識の面で、自信過剰の傾向があるのです。

それに加えて情報収集が不足している、または情報収集に対して関心が薄いという傾向もあるのです。

一方で若者(18〜29歳)については、次のような傾向があると評価しております。

『自身の知識や判断能力に対する自己評価が低いほか、お金を使うこと等についての注意の払い方が相対的に低い傾向がある』

以上のようになりますが、多くの若者はお金や金融に関して、知識や判断能力がないと思っているようです。

ですから高齢者が騙されないためには、自信過剰の傾向があると自覚して、しっかりと情報収集を行う事だと思います。

また若者が騙されないためには、お金や金融に関する勉強を積極的に行って、これらに対する自信を付ける事だと思います。
posted by FPきむ at 20:06 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする