2022年06月03日

マイナ保険証の取得義務化より、公的医療保険の一元化を優先しよう

令和4年(2022年)5月27日の東京新聞を読んでいたら、マイナンバーカード あの手この手でついに事実上の取得義務化? 政府の健康保険証、2年後廃止方針と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『厚生労働省は25日の部会で、「よりよい医療を受けるため」だとして、2年後には現在の健康保険証を廃止して、マイナンバーカードを保険証代わりにする方針を打ち出した。

「国民皆保険」の日本だから、事実上、同カードの取得が義務化されるに等しい』

『政府は来年度末までに、ほぼ全ての国民にマイナンバーカードが行き渡る目標を掲げるが、取得率は現在44%。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は「一般の人が保険証などとマイナンバーカードを分けておき、リスク分散しておきたい感覚はとても正常だ。

マイナ保険証の議論は国民の合意が深まり、取得率も100%に近づいた後の話だ。リスクの説明はせず、良い話しか言わない国の姿勢は信用ならない」と話す』

『保険証代わりにカードを使うシステム自体は、昨年10月に始まった。ただ、全国の病院や薬局などのうち、カードの読み取り機器を用意して対応しているのは、わずか19%だ。

受診できる施設を増やそうと、今年4月の診療報酬の改定では、システムに対応する医療機関が受け取る報酬が加算された。

当然、患者の自己負担が増加。公的保険で負担三割の患者の場合、窓口での支払いは初診で21円、再診で12円、調剤で9円増えた』

以上のようになりますが、この記事を読んでみると、マイナンバーカードの取得率は、44%に止まっている事がわかります。

またマイナンバーカードを健康保険証として使うには、所定の登録手続きを行い、マイナンバーカードをマイナ保険証にしておく必要があります。

そのため病院などの窓口でマイナ保険証を使える方は、44%もいないと推測されるのです。

実際にマイナ保険証を使う場合、病院などの窓口に設置されたカードリーダーに、マイナンバーカードをかざします。

そうすると各人が現在、どの公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療など)に加入しているかなどの、確認が行われるのです。

これはオンライン資格確認と呼ばれており、マイナンバーカードの表面に記載されたマイナンバーではなく、マイナンバーカードのICチップに内蔵された電子証明書が、この時に使用されます。

冒頭で紹介した記事によると、カードリーダーを設置している病院などは、令和4年(2022年)5月時点で、19%に止まっているそうです。

こういった状況の中で、現在の健康保険証を2年後に廃止し、マイナ保険証だけにするというのは、かなり無理があると思います。

そもそも現在の日本は、国民が加入する公的医療保険の種類が多すぎて、カオス状態になっているのです。

例えば自営業者、フリーランス、無職の方などは、国民健康保険に加入しますが、この制度は市区町村と都道府県が運営するものと、国民健康保険組合が運営するものの、2種類に分かれているのです。

一方で会社員などの被用者は健康保険に加入しますが、この制度は全国健康保険協会が運営する協会けんぽと、健康保険組合が運営する組合健保の、2種類に分かれているのです。

前者の全国健康保険協会は、船員の方が加入する船員保険も運営しているため、被用者保険は全部で3種類になります。

ただ国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員の方は、それぞれが属する共済組合から、健康保険と同じような保険給付を受けており、こちらも含めると6種類になるのです。

原則として75歳になると、各都道府県にある広域連合が運営する、後期高齢者医療に加入するため、職業などによる違いはなくなります。

このように日本の公的医療保険は複数に分かれているため、例えば会社員の方であれば、在職中は健康保険、失業中は国民健康保険というように、加入する公的医療保険を切り替える必要があります。

また病院などの職員が、どの公的医療保険に加入しているかなどを、確認しなければなりません。

この資格確認の作業を、マイナ保険証とカードリーダーを活用して、簡略化しようという訳です。

ただ公的医療保険が一元化され、一つだけになった場合には、資格確認の作業がもっと簡略化されるため、政府が優先すべきなのは、マイナ保険証の取得義務化より、公的医療保険の一元化だと思うのです。

国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員が加入していた共済年金は、平成27年(2015年)10月に、厚生年金保険に統合されました。

このように被用者の公的年金を一元化できるのなら、被用者の公的医療保険くらいは、一元化できると思うのです。
posted by FPきむ at 20:41 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月02日

マスク、金融緩和、生命保険は、一度始めたら止められない日本の象徴

令和4年(2022年)4月29日の日刊ゲンダイヘルスケアを読んでいたら、いまの新型コロナにマスクは本当に必要なのか? 海外では緩和の動きと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『新型コロナが流行し始めた2019年から繰り返し俎上に載せられてきた、「マスクは本当に必要なのか」という話題。

シンガポールが3月末に屋外でのマスク着用義務を解禁しながら、新型コロナの新規感染者が減少したこともあり、改めて脱マスクに向けた議論が起きている。

米国フロリダ州の連邦裁判所でも4月18日、バイデン米政権が公共交通機関などで義務付けているマスクについて「米疾病対策センター(CDC)が法的権限を逸脱して公共交通機関でのマスク着用を義務付けており違法だ」とする判決を下した。

これを受け、米国の大手航空会社の国内線、列車、タクシー、バスなどでのマスク着用義務は事実上撤廃されている。

判決を下したのはトランプ前大統領に任命された判事。CDCは、公共交通機関でのマスク着用義務の期限を5月3日まで延長したばかりで次期大統領選で復活を狙うトランプ氏の嫌がらせのような見方もあるが、連邦判事は政府の政策をやめる権限を持つという。

米国司法省は衛生当局が必要と判断すれば控訴する方針だという。しかし、米バージニア州知事が発した、マスク義務化取りやめの行政命令阻止を同州の最高裁が棄却するなど、米国ではマスク着用義務化に疑義を投げかける司法判断が続いている。

一方、日本の専門家からは「マスクを外せるのは新型コロナ感染症の終息のメドが立ってから」との声が多い。

マスクの着用緩和を唱える人と脱マスクを主張する人との考え方の違いは、ウィズコロナを目指すのか、結局のところゼロコロナを志向しているのかの違いのようにも見える』

以上のようになりますが、この記事の中にはシンガポールや米国の、脱マスクに向けた取り組みが紹介されております。

また記事の中には記載がないのですが、イギリスでは令和4年(2022年)1月に、公共施設などでマスクを着用する義務が、すでに撤廃されております。

そのためマスクなしで出歩いたり、パブで楽しんだりする姿が、当たり前になっているようです。

日本は新型コロナの感染拡大が始まった頃から、重症者や死亡者が海外の国よりも少ない事が、話題になっていたと思います。

それにもかかわらずシンガポール、米国、イギリスと違って、脱マスクを進めようとする政治家や専門家が少ないのは、すごく不思議な感じがします。

この理由について有名な評論家の方は、「日本は一度始めたら、なかなか止められないからだ」と分析しておりました。

個人的は他の評論家の分析よりも、納得力があると思ったので、すごく印象に残ったのです。

先日インターネットで検索していたら、おそらく昭和の時代に作られたと思われる、変な校則(ポニーテールの禁止、下着の色の制限など)の特集を見かけました。

この特集もすごく印象に残ったのですが、一度始めたら止められないという日本の特性を、よく表していると思います。

そういえば令和4年(2022年)4月28日に日銀は、大規模な金融緩和の継続を決定しました。

ここ最近は急激な円安が進んでいるため、日銀は何かしらの変更を実施すると予想する市場関係者もいたのですが、特に変更はなかったのです。

振り返ってみると平成25年(2013年)3月に、日銀の総裁に就任した黒田東彦さんは、前年比で2%の物価上昇を、2年くらいで達成すると、宣言していたと思います。

この目標を一度も達成できないまま、もう約9年が経過したのですが、ここ最近の物価上昇により、目標の達成がやっと現実的になってきました。

それでも特に変更はなかったうえに、将来に変更するという見通しも示さなかったのですから、日銀の金融緩和はマスクと同様に、一度始めたら止められない、日本の象徴のように感じます。

もうひとつの象徴は、日本人の8割くらいが加入している、生命保険ではないかと思うのです。

例えば死亡保険については、子供が高校や大学を卒業して働き始めたら、解約しても問題のない場合が多いのです。

また例えば医療保険については、いざという時に自由に使える貯蓄が、300万円〜500万円くらい確保できたら、解約しても問題のない場合が多いのです。

もちろん相続税の対策など何らかの理由があって、死亡保険の加入を継続しているのなら、そのままにしておけば良いと思います。

一方で何となく続けているだけなら、上記のような状況になった時に、解約や見直しを検討してみましょう。
posted by FPきむ at 20:28 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする