2020年04月20日

これからは貯蓄のためでなく、借入と相続税のために生命保険に加入する

令和2年(2020年)3月29日のマネーポストWEBを読んでいたら、保険会社が導入するコロナ支援策 払込猶予や貸付金利免除もと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済にも暗い影を落としている。特に、シフトが減らされたパートやアルバイト、自営業者やフリーランサーの中には、深刻な収入減に直面している人も少なくないだろう。

こうした事態を受けて、多くの保険会社が特別措置を取っているのをご存じだろうか…(中略)…

さらに、まとまったお金が必要になった人にも、使える制度がある。貯蓄型の生命保険などでは解約返戻金の一定範囲内で貸し付けを受けられる「契約者貸付」という制度があるが、多くの保険会社がこの金利を特別に0%にする措置を取っているのだ。

契約者貸付は、保険の保障はそのまま継続しながらお金を借りられるしくみで、平時であれば金利がかかる。ただ、この金利はカードローンなどを利用するよりも安いので、お金が必要なときには優先して検討したい選択肢だ。

今回、新型コロナウイルスの感染拡大で資金が必要な人のために、多くの保険会社がこの金利を免除している。

期間は保険会社によって差があるが、貸付を受けられるのが5月末まで、0%金利が適用されるのは9月末までというところが多いようだ。

また、貸付に必要な書類を簡略化し、より簡単な手続きで早く資金を受け取れるようにしている保険会社もある』

以上のようになりますが、令和元年(2019年)の後半に、明治安田生命などの一部の生命保険会社が、貯蓄性と死亡時の保障を併せ持っている、一時払い終身保険の販売を、休止したという報道がありました。

この理由について調べてみると、生命保険会社が「予定利率」(契約者に対して約束する運用利回り)を決める際には、「標準利率」(国債の利回りを元にして金融庁が決定)を指標にしております。

一時払い終身保険の標準利率は0.25%だったのですが、令和2年(2020年)1月から、過去最低の0%に引き下げられる事が決定したため、予定利率も同程度に引き下げする必要があります。

これにより魅力的な商品を開発できなくなるので、一部の生命保険会社は標準利率が引き下げられる前に、一時払い終身保険の販売を休止したようです。

円建ての一時払い終身保険は、このような状態になっているため、生命保険会社としては今まで以上に、外貨建ての一時払い終身保険の販売に、力を入れる必要があります。

しかし新型コロナウイルスの影響により、世界各国の中央銀行は政策金利を、0%近くに引き下げしたため、外貨建ての一時払い終身保険でさえも、かつてのような貯蓄性はないのです。

そうなると一時払い終身保険のような貯蓄型の生命保険に、加入する必要性がなくなります。

ただ冒頭で紹介した記事の中に記載されているように、金銭的に困った時に金利0%で借入ができるなら、貯蓄型の生命保険に加入しても良いかなと思えてくるのです。

なお契約者貸付の貸付利率は、「予定利率+0.5%〜2%」くらいになるため、ここ最近に加入した予定利率の低い生命保険であれば、金利0%の期間が終わっても、それほど金利は高くならないと思います。

一方で何十年も前に加入した、予定利率の高い生命保険は、金利0%の期間が終わると、一気に金利が高くなるため、金利0%の期間が終わる前に、貸付を受けておいた方が良いと思います。

ところで平成27年(2015年)以後は相続税の最高税率が、50%から55%に引上げられました。

また相続や遺贈に係わる基礎控除額が縮小され、改正前と比較して6割程度になりました。

これにより地価が高い都市部だと、サラリーマンの家庭でも、相続税が課税される可能性が出てきたのです。

相続税の対策として、それほど手間がかからないものとしては、生命保険があると思います。

例えば次のような契約形態で生命保険に加入した場合、受取人が死亡保険金を受け取ると、相続税が課税されます。

・契約者(夫)−被保険者(夫)−受取人(妻)

注:契約者とは「保険料を支払う方」、被保険者とは「亡くなると死亡保険金が支払われる方」、受取人とは「死亡保険金が支払われる方」になります。

ただ死亡保険金の受取人が、妻や子供などの「法定相続人」の場合には、「500万円×法定相続人の数」まで、相続税が課税されません。

つまり死亡保険金の金額が、この範囲内に収まっている場合には、相続税が課税されないため、相続税の対策になるのです。

またこのように生命保険を活用する場合には、予定利率が0%に近くになり、貯蓄性がほとんどない一時払い終身保険でも、十分に役立つと思います。
posted by FPきむ at 20:03 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月01日

契約の6割が顧客の意向に反しているかんぽ生命は、特別な存在ではない

令和2年(2020年)3月14日の毎日新聞を読んでいたら、かんぽ、6割意向沿わず 不自然な契約897人、優先調査と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『かんぽ生命保険の不正販売問題で、同社は13日、顧客に不利益を与えた可能性がある契約のうち、不自然に新規契約と解約が繰り返された「多数契約」の調査結果を発表した。

契約時の状況が確認できたもののうち、6割近くが顧客の意向に反していた。

同社と日本郵政、日本郵便の3社は同日、金融庁と総務省に業務改善計画の進捗(しんちょく)状況などを報告し、記者会見を開いた。

新たに判明したのは、かんぽ生命が1月末に追加調査を発表した約6万人(約22万件)の一部。

このうち、過去5年間で15件以上も保険に新規加入し、契約の半数以上が消滅している多数契約に該当する897人を優先的に調査した』

以上のようになりますが、このような調査が開始されたのは、次のような不正がなかったのかを、調べるためだったと思います。

(1)保険料の二重徴収
新契約を結んでから6ヶ月以内に、旧契約を解約すると、旧契約の乗り換えとみなされ、新契約より手当が少なくなると共に、営業成績が悪くなってしまうため、この6ヶ月間については、保険料を二重払いさせていた。

(2)一時的な無保険状態
旧契約を解約してから3ヶ月以内に、新契約を結ぶと、旧契約の乗り換えとみなされ、新契約より手当が少なくなると共に、営業成績が悪くなってしまうため、3ヶ月間の無保険期間を作った後に、新契約を結んでいた。

以上のようになりますが、これらを調べるために、かんぽ生命が顧客に送った返信用のハガキは、何種類かあるようです。

インターネットで検索していたら、その中の一枚を見つけたのですが、次のような二つの質問しか記載されていなかったのです。

Q1:ご加入いただいている保険契約は、お客様のご意向に沿ったものでしょうか(「はい」か「いいえ」を回答する)

Q2:ご契約に関して、お気づきの点やご意見等がございましたら、お聞かせください(自由に記入する欄が設けられている)

こんな簡単な質問が二つしか記載されていないのですから、かんぽ生命のやる気を疑ってしまいます。

また「お客様のご意向(考え方、気持ち)に沿ったものでしょうか」と質問されたら、「いいえ」と回答する方は、かなり多くなってしまうと思うのです。

例えば保険管理アプリ「ミルホ」を提供する株式会社MILIZEは、既婚または子供のいる25歳〜49歳以下の男女1,000人を対象に、生命保険に関する不満やストレスなどに関する調査を実施しました

調査結果の詳細については、生命保険に関する不満やストレスを1,000人に一斉調査!上位は「保険料が高い 62.1%」「保険料の妥当性が分からない 57%」〜保険会社(代理店)の方限定!ローデータをそのまま無償提供します〜に記載されております。

この中を見てみると、「現在加入中の保険の内容や保険料に腹落ちしていますか」という質問がありますが、「している」と回答した方は35%で、「どちらとも言えない」が46%、「していない」が15%でした。

腹落ち(納得)しているのは約3割だけで、残りの約7割は腹落ちしていないのですから、意向に沿っていない生命保険に加入している方は、かなり多いとわかります。

また例えばネット専業生保のライフネット生命も、生命保険に加入している20代〜50代の男女1,000名を対象に、生命保険の加入実態と意識を探る調査を実施しました。

調査結果の詳細については、生命保険加入者1,000名に聞く 生命保険加入実態調査 〜現在加入の生命保険に不満な人が7割、見直し意向も7割と高く〜に記載されております。

この中を見てみると、「自分の生命保険に対する不満」についての質問がありますが、その結果は次のようになっております。

とても不満がある:2.0%
かなり不満がある:8.8%
少し不満がある:60.8%
全く不満はない:28.4%

全く不満がないのは約3割ですから、ライフネット生命の調査でも約7割の方は、意向に沿っていない生命保険に加入しているようです。

こういった結果を見てみると、契約の6割近くが顧客の意向に反していたかんぽ生命は、特別な存在ではないのかもしれません。
posted by FPきむ at 20:39 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする