2012年09月03日

保険会社選びはソルベンシー・マージン比率や格付けを参考にする

保険期間(7月18日のブログを参照)が長期に渡る保険や、貯蓄性の高い保険は保険会社が破綻した場合、掛け捨て型の保険より保険金や年金の削減幅が大きくなると、9月1日のブログにおいて紹介しました。

ですから保険期間が長期、もしくは貯蓄性の高い保険に加入するなら、破綻するリスクが少ない保険会社を選ぶのが良いのですが、それを選ぶためにはまず、毎年送付されてくる決算書を読んでみます。

しかしお勤め先で経理を担当している方や、株式の取引をした経験のある方でなければ、決算書を正確に理解する事はできないと思いますので、次のような方法だけでも試してみます。

・毎年8月頃になると新聞や雑誌などで、専門家による決算書の分析が行われておりますので、それをいくつか集めて比較しながら読んでみます。

・毎年送付されてくる決算書をとっておき、同じ勘定科目の金額の推移を数年間に渡り見ていきますが、極端に数字が変動した勘定科目については、その勘定科目がどんな意味なのかを、インターネットや本などで調べてみます。

また決算書以外に下記のソルベンシー・マージン比率や、格付け機関が発表する格付けも、破綻するリスクが少ない保険会社を選ぶ時の参考になります。

(1)ソルベンシー・マージン比率
ソルベンシー・マージン比率とは保険会社における、保険金などの支払能力を示す指標になりますが、200%が健全性の目安とされており、この数値を下回ると金融庁から、次のような監督上の措置が実施されます。

■第一区分(ソルベンシー・マージン比率が200%未満)
経営改善計画の提出を求められ、またその実行命令が下されます。

■第二区分(ソルベンシー・マージン比率が100%未満)
・自己資本充実に係わる計画の提出を求められ、またその実行命令が下されます。

・配当や役員賞与の禁止、もしくは抑制を求められます。

・社員配当や契約者配当の禁止、もしくは抑制を求められます。

・新規保険契約に関して、予定利率の引き下げを求められます。

・子会社または海外現地法人の、業務の縮小などを求められます。

■第三区分(ソルベンシー・マージン比率が0%未満)
業務の一部または全部の、停止命令が下されます。

以上のようになりますが、ソルベンシー・マージン比率を算出する計算式を大雑把に示しますと、通常の予測を超えるリスクの額を分母とし、このリスクが損失として顕在化した場合に、この損失を填補する事が可能な財源を分子とします。

つまりソルベンシー・マージン比率とは、通常の予測を超えたリスクに対応する余力を示したものになります。

ただ日産生命、東邦生命、第百生命、大正生命、千代田生命、協栄生命、東京生命、大和生命といった過去に破綻した保険会社は、すべてソルベンシー・マージン比率が200%を超えていました。

そのため金融庁は信頼回復を目指し、平成24年(2012年)の3月期から下記の措置を実施するよう、保険会社に求めていく事になりました。

・ソルベンシー・マージン比率を算出する計算式の分子となる財源については、算入の厳格化を求められます。

・ソルベンシー・マージン比率を算出する計算式の分母となるリスクについては、測定の厳格化および精緻化を求められます。

・保険会社単体のソルベンシー・マージン比率だけでなく、子会社なども含めた、連結ソルベンシー・マージン比率を算出する事も求められます。

これらの措置が実施される事により、ソルベンシー・マージン比率の信頼性は回復すると思いますが、できる限りこの数字の高い保険会社を選んだ方が、破綻に陥るリスクを回避できます。

(2)格付け機関が発表する格付け
格付け機関は経営陣とのミーティング、財務分析、業界分析などを行い、保険会社などの信用力を「Aa3」、「AA−」といった等級で評価します。

また格付け機関には次のようなものがありますが、これらはすべて金融庁に登録された、信用格付業者になります。

日本格付研究所
日本国内の主要な格付け機関
ムーディーズ・ジャパン
アメリカの大手格付け機関であるムーディーズの日本法人
スタンダード&プアーズ
アメリカ合衆国に本社を置く格付け機関
格付投資情報センター
日本経済新聞の連結子会社である格付け機関
フィッチレーティングス
ロンドンおよびニューヨークに本拠をおく格付け機関

以上のようになりますが、ソルベンシー・マージン比率や格付けを参考にして、大きい会社や有名な会社といった保険会社選びの基準から、脱却していただきたいと思います。

また中小であっても経営が堅実でしっかりしている会社や、加入者本位の経営理念を持っている会社を、見つけていただきたいと思います。
posted by FPきむ at 20:01 | 生命保険に加入する前に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月21日

誰でも入れる生命保険はなぜ成り立つのか?

高齢の方で自分が死亡した時に、葬儀費用くらいは遺族に残したいと考えている方は、医師の審査や告知書の提出をしないで加入でき、しかも一生涯の保障が続く誰でも入れる生命保険が、魅力的に見えるかもしれません。

しかし保険会社はボランティア団体ではありませんので、ちゃんと儲けが出せるように、次のような条件を付けている場合がありますので、その点には注意が必要になります。

(1)更新時の保険料
誰でも入れる生命保険のCMを見ると、「保険料が年齢、性別、職業を問わず月額○○円」と宣伝しておりますが、何年経っても保険料は変わらない印象を与えます。

その程度の保険料だったら死亡するまで支払えると思い加入してみたら、更新時に保険料が一気に上昇する場合があります。

最初の保険料の金額だけでなく、更新時の保険料も十分に調べて納得してから、誰でも入れる生命保険に加入した方が良いのです。

(2)保険料の支払総額と死亡保険金のバランス
一般的な生命保険では保険料の支払総額が、死亡保険金の金額を超えてしまうなどという事は、通常考えられません。

しかし誰でも入れる生命保険は、ある程度の期間加入すると保険料の支払総額が、死亡した時に遺族が受け取る死亡保険金の金額を、超えてしまう場合があるのです。

つまり長生きすればする程、必要以上の保険料を支払い続け、タンス預金よりも損になるという、おかしな現象が生じてしまうのです。

だったら早く死亡すれば損をしないのではないかと考えてしまいますが、保険に加入してから数年程度は、満額の死亡保険金が支払われず、数割程度がカットされてしまうのです。

その結果として死亡保険金の金額が、保険料の支払総額を下回ってしまう場合がありますので、早く死亡しても上記と同じような、おかしな現象が生じてしまうのです。

ですから誰でも入れる生命保険に加入する際には、保険料の支払総額と死亡保険金のバランスを、電卓を使って十分に調べた方が良いのです。

(3)生命保険ではなく傷害保険
誰でも入れる生命保険は、誰でも入れる傷害保険である場合が多いのですが、つまり自動車保険などと同じ損害保険なのです(商品名の下に小さな文字で、「長期保障傷害保険」と記載されております)。

死亡した時に遺族がお金を受け取れるなら、どっちでも良いではないかと考えてしまいますが、例えば交通事故で死亡した場合に、加害者から葬儀費用として、遺族が200万円を受け取ったとします。

もしその金額で葬儀が済んでしまった場合には、傷害保険からは全く保険金が支払われませんが、その理由として傷害保険は、実際に生じた損害を補償するのが目的ですので、加害者から受け取った金額で葬儀が済めば、損害が生じていないと考えられてしまうからです。

また死亡保険金として支払われる金額に、「下限○○円〜上限○○円」と記載されておりますが、上限○○円が支払われる確率は極めて低いので、足りない葬儀費用は遺族が支払う事になります。

一方生命保険は死亡保険金として、遺族が200万円を受け取れるように契約をしておけば、

・契約の無効(2月25日のブログを参照)

・契約の解除(2月27日のブログを参照)

・免責事由(2月29日のブログを参照)

などに該当しない限り、加害者から葬儀費用を受け取ったとしても、遺族は必ず200万円を受け取る事ができます。

以上のような条件を付ける事により、誰でも入れる生命保険は成り立っておりますので、これらの点を十分にチェックして、預貯金よりも魅力があると判断したら、加入を検討すれば良いのです。
posted by FPきむ at 20:16 | 生命保険に加入する前に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする