2019年03月18日

生命保険の満足度調査の上位を占めたのは、「カタカナ系」と「損保系」

生命保険会社が死亡保険の契約者から徴収する保険料は、次のような3つの予定率を元に決められております。

(A)予定死亡率
日本アクチュアリー会が作成する「標準生命表」を元に予測した、年齢や性別ごとの死亡率を、「予定死亡率」と言います。

(B)予定事業率
生命保険会社の事業にかかる経費(営業職員の人件費など)を、あらかじめ予測したものを「予定事業率」と言います。

(C)予定利率
生命保険会社は契約者から徴収した保険料の一部を、国内外の株式や国債などの市場で運用し、利益を上げているのです。

こういった株式や国債などの運用によって、生命保険会社が得られる見込みの利率を、「予定利率」と言います。

以上のようになりますが、この中の(A)の予定死亡率と(B)の予定事業率は、引き上げになると死亡保険の保険料は値上げされ、また引き下げになると保険料は値下げされます。

その理由として(A)の引き上げは、保険金の支払い金額の増加につながり、また(B)の引き上げは、事業にかかる経費の増加につながるため、保険料の値上げでカバーする必要があるからです。

一方で(A)の引き下げは、保険金の支払い金額の減少につながり、また(B)の引き下げは、事業にかかる経費の減少につながるため、死亡保険の保険料を値下げできます。

日本人の平均寿命は年々延び、全体的に死亡率が下がっているため、平成30年(2019年)4月に、標準生命表が11年ぶりに改定されました。

これにより予定死亡率は引き下げされるため、上記のように死亡保険の保険料を値下げできるのです。

実際の値下げ幅は、生命保険会社によって違うのですが、掛け捨て型の「定期保険」は最大で25%くらい、また貯蓄型の「終身保険」は最大で5%くらい、保険料が値下げされました。

このように貯蓄型よりも掛け捨て型の方が、値下げ幅がはるかに大きいため、掛け捨て型より貯蓄型の方が良いと思っていた方は、考え方を変えた方が良いのかもしれません。

もうひとつ変えた方が良いと思うのは、生命保険に加入するなら新興勢力より、老舗の方が良いという考え方です。

その理由としては平成31年(2019年)3月8日の保険市場TIMESに、J.D.パワーの生命保険契約満足度調査、プルデンシャル生命が満足度1位に!と題した、次のような記事が掲載されていたからです。

『株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパン(J.D.パワー)は3月5日、2019年生命保険契約満足度調査の結果を発表、対象26社中での総合満足度第1位は、プルデンシャル生命だったという。

この調査は、直近1年以内に生命保険を新規に契約するか更新手続きを行った顧客を対象に、契約プロセスでの保険会社に対する満足度や各種活動実態を調べるもので、2018年12月にインターネットにて行ったもの(回答者数:10,730人)。

保険契約総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度の大きい順に、「顧客対応」(影響度34%)、「手続・書類」(同28%)、「支払保険料」(同20%)、「商品提供」(同18%)となり、総合的な顧客満足度を、各ファクターでの詳細項目に対する評価から算出(1,000点満点)したものとなる。

この結果、顧客満足度ランキングは、プルデンシャル生命が737ポイントで総合満足度第1位となった。

ファクター別にみると「顧客対応」「商品提供」「支払保険料」「手続・書類」の全ファクターでトップの評価だった。

また、第2位にはソニー生命(709ポイント)、第3位には昨年の第4位から順位を上げた東京海上日動あんしん生命(699ポイント)が入った』

以上のようになりますが、この記事の中に掲載されている表を見てみると、業界平均よりも高い満足度を獲得した上位の12社は、次のようになっているようです。

1位:プルデンシャル生命
2位:ソニー生命
3位:東京海上日動あんしん生命
4位:ジブラルタ生命
5位:メディケア生命
6位:メットライフ生命
7位:ライフネット生命
8位:マニュライフ生命
9位:アクサダイレクト生命
10位:富国生命
11位:損保ジャパンひまわり生命
12位:オリックス生命

これを見るとわかるように、ランキングの上位は新興勢力の「カタカナ系」と「損保系」が占めており、老舗は富国生命くらいです。

一方でランキングの下位の方を見てみると、老舗の「漢字生保」の名前が並んでいるのです。

なおこのランキングは「顧客対応」、「商品提供」、「支払保険料」、「手続・書類」という、4つのファクターを元に決められております。

ですから外資系の生命保険は、顧客対応が悪いという考え方も、改めた方が良いのかもしれません。
posted by FPきむ at 20:39 | 民間保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月01日

NHK総合の「クローズアップ現代+」で生命保険の特集



月曜日から木曜日の22:00〜22:25にNHK総合で、「クローズアップ現代+」という番組が放送されております。

平成29年(2017年)6月28日の放送は、「保険値上げで家計直撃!賢い見直し術とは」というテーマだったので、チェックしてみる事にしました。

内容としては独立系FPの内藤眞弓さんが、30代で子供がまだ小さい会社員の女性と、50代で大学卒業間近の子供がいるパートの女性に対して、生命保険の見直しについてアドバイスしておりました。

またその後には、ライフネット生命の創業者である出口治明さんと、保険アナリストの植村信保さんが、NHKの武田真一アナウンサーの質問に答えるという形で、「保険見直しのヒント」について解説しておりました。

いかにもNHKらしい良質な番組だと思いましたが、特に気になった点を紹介すると次のようになります。

(1)生命保険で貯蓄するのは止める
生命保険会社は顧客から徴収した保険料を、保険金の支払いが発生した時に備えて、保管しておきます。

ただすべてを保管しておく訳ではなく、その一部を国債や株式などの市場で運用して、利益を上げているのです。

こういった運用を通じて得られる利益を予想し、その予想を元に顧客に対して約束した運用利回りを、「予定利率」と言います。

また生命保険会社が予定利率を決める際には、金融庁が発表している「標準利率」を参考にしております。

この標準利率は日銀が実施したマイナス金利政策などの影響により、平成29年(2017年)4月から0.25%に引き下げられ、過去最低の水準になりました。

生命保険会社は予定利率を決める際に、標準利率を参考にしているだけなので、「予定利率=標準利率」という訳ではありません。

しかし標準利率がこれだけ引き下がっている中で、予定利率を引き下げないでいる事は難しく、そうなると生命保険の貯蓄性は薄れてしまうのです。

なお0.25%という数字を見ると、普通預金の金利より高そうに見えますが、2月9日のブログに記載しましたように、生命保険は保険料のすべてが運用に回る訳ではないので、単純に数字だけを比較してはいけないのです。

このような事情があるため、独立系FPの内藤眞弓さんは30代の女性に対して、貯蓄型の生命保険の解約を勧め、その代わりに掛け捨て型の就業不能保険(所得保障保険)や、掛け捨て型の死亡保険への加入を勧めておりました。

このアドバイスは納得できるのですが、もし貯蓄をしたいなら、生命保険より預金の方が良いというアドバイスには、納得できませんでした。

その理由として現在のような金利の低い状況では、預金ではあまりお金が増えないからで、生命保険の代わりとなる貯蓄先について、もう一歩進んだアドバイスが欲しかったと思うのです。

(2)保険料の合計額は給与の手取りの3〜5%まで
ライフネット生命の創業者である出口治明さんは、生命保険の加入などについて、いつもわかりやすいアドバイスをしているというイメージがあります。

例えば以前にある本を読んでいたら、生命保険の死亡保険金は「今の年収の3年分+子供1人あたり1,000万円で十分」と、アドバイスしておりました。

今の年収の3年分を準備するのは、「ご主人が亡くなってしまったんだから、奥さんが悲しみに暮れるのも仕方がないけど、3年経って喪が明けたら、しっかり働いて自分で食べていきましょう」という意味のようです。

また子供1人あたり1,000万円を準備するのは、「とりあえず大学を出るまでは親として面倒を見るが、そのあとは面倒を見ない」という意味のようです。

今回の放送においても、とてもわかりやすいアドバイスをしており、その中で特に印象に残ったのは、「生命保険の保険料の合計額は、給与の手取りの3〜5%まで」というアドバイスになります。

このくらいが良い理由について出口さんは、「今の時代は昔と違い、所得が下がっていく可能性がある」、また「このくらいだったら所得が下がっても、そんなに困らない」と説明しておりました。

(3)手数料がいくらかを質問してみる
銀行などの金融機関が、顧客のニーズに合っていない、手数料の高い商品(例えば「外貨建て保険」)を勧めている事が、昨年あたりから問題になっており、これについて6月1日のブログで紹介しました。

しかし「クローズアップ現代+」を見ると、今でも同じような事が続けられているとわかり、あまり改善されていないようです。

そのため消費者は自衛策を考える必要があり、保険アナリストの植村信保さんは、「健康保険や厚生年金保険などの社会保険に加えて、どうしてこの商品への加入を勧めるのですか?」と質問してみるのが、自衛策になるとアドバイスしておりました。

つまり消費者の側が、強制加入となる社会保険のみでは足りない保障だけが欲しいと主張する事で、必要のない生命保険に加入するのを防げるという訳です。

またライフネット生命の創業者である出口治明さんは、「手数料はいくらですか?」と質問してみるのが、自衛策になるとアドバイスしておりました。

このような消費者が増えたら、高い手数料を得るために、顧客のニーズに合っていない商品を勧めるという事は、少なくなっていくのかもしれません。
posted by FPきむ at 20:06 | 民間保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする