2020年07月14日

新型コロナの影響で生命保険は、「シンプル化」と「掛け捨て化」が進む

令和2年(2020年)6月24日の東京新聞を読んでいたら、明治安田、ネットでの加入開始へ 保険会社本体初、コロナで訪問難と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『明治安田生命保険が2021年4月から、インターネットで保険商品の加入手続きを始めることが24日、分かった。大手生保が子会社ではなく本体で手掛けるのは初めてとなる。

これまで営業職員による対面販売を重視してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて顧客への訪問が難しくなっているため、見直しを図る。

スマートフォンアプリを通じて申し込みできるようにする。本人確認書類などをカメラで読み取り、オンライン上で送る機能も付ける方針。

ただ本人の希望があれば、全ての手続きをネットで完了させることはせず、重要事項の説明を従来通り職員が電話や対面で行う』

以上のようになりますが、この記事の中に記載されているように、インターネットで生命保険の加入手続きができるようになると、営業職員による対面販売は、大幅に縮小していくと思います。

ただこのような対面販売の縮小は、新型コロナウイルスの影響で始まったのではなく、新型コロナウイルスの影響で加速したと言った方が、正しいのかもしれません。

そのように考える理由として、平成28年(2016年)8月29日のダイヤモンドオンラインの、金融業界でなくなる職種ランキング!個人向け営業職は「危険水域」という記事に、次のように記載されていたからです。

『金融(ファイナンス)とデジタル技術(テクノロジー)が融合した「フィンテック」。ここに今、ビジネス界から熱視線が注がれている。

すでに世界では決済や融資などの分野でテクノロジーを駆使し、既存の大手金融機関を脅かす企業が台頭しており、金融エリートの職業が奪われる──。そんな見方が浮上しているのだ。

そこで本誌は、国内の有力フィンテック企業100社の最高経営責任者(CEO)と最高技術責任者(CTO)に対し、アンケートを試みた。

金融業界の代表的な20の職種を挙げ、「フィンテックの台頭で今後、金融業界においてどの職種がなくなっていくと思うか」を質問。

可能性が高い順に5つの職種を選んでもらい、1位なら5ポイント、2位は4ポイント、3位3ポイント、4位2ポイント、5位1ポイントとして合計ポイントをランキング化した。90人から回答を得た』

『2位は生命保険を販売する保険外交員、いわゆる「生保レディー」だった。マンパワーの営業攻勢に頼る旧来型の手法は人件費がかさみ、保険料も高くつきやすい。

ネット専業生保が手ごろな保険料を武器に存在感を放つ中、競争環境は厳しさを増している。

年齢や職業などの情報から契約希望者に最適なプランを提示するなどIT(情報技術)活用がさらに進めば、生保レディーへの消費者のニーズは一段と遠のくことになる』

以上のようになりますが、この記事が最初に掲載されたのは、今から4年前になります。

この時点で営業職員による生命保険の対面販売は、大幅に縮小するどころか、いずれ消滅すると予想されているのです。

しかも消滅するまでの年数は、7.4年(すでに4年が経過しているので残りの期間は3.4年)と予想されているため、遠い未来の話ではないのです。

この記事を最初に読んだ時、あと数年で消滅するという予想を、あまり信じられなかったのですが、冒頭で紹介した明治安田生命の記事を読んだら、現実的な気がしてきました。

また新型コロナウイルスが予想の実現を、加速させているような気がしたのです。

消滅するまでの残り3.4年で、どのような変化が起きるのかについて考えてみたら、次のような2つのキーワードが頭に浮かんできたのです。

(1)シンプル化
営業職員から説明を受けない場合、従来のように保障内容が複雑だと、これを十分に理解できない可能性があります。

そのため保障内容のシンプル化が進んで、理解しやすいものに変わっていくと思うのです。

ただシンプル化だけだと、ネット専業生保が販売する商品と似たものになってしまうため、上記のフィンテックなどを活用して、差別化を図っていくと予想しております。

(2)掛け捨て化
平成28年(2016年)1月に日銀(日本の中央銀行)が、マイナス金利政策を導入した後は、生命保険の「予定利率」(契約者に対して約束する運用利回り)を、大幅に引き下げる必要がありました。

そのため貯蓄型(終身保険など)については、従来からある円建て保険だと、魅力的な商品を提供できなくなったため、外貨建て保険の販売に力を入れ始めたのです。

しかし新型コロナウイルスによる経済の低迷を下支えするため、世界各国の中央銀行の多くは、政策金利を0%近くに引き下げしたため、外貨建て保険でも魅力的な商品を提供できなくなりました。

世界各国の中央銀行の多くは政策金利を、しばらくは引き上げしない方針のようなので、このような状況は数年に渡って続いていきそうです。

そうなると生命保険は貯蓄型から、保障を重視した掛け捨て型に、変わっていくしかないと思います。
posted by FPきむ at 20:33 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月05日

日本郵便とかんぽ生命の営業社員は、「無税入門」の実践者ではないのか?



令和2年(2020年)6月12日の毎日新聞を読んでいたら、日本郵便社員ら120人、持続化給付金便乗申請 かんぽ不正自粛の補てん狙うと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた中小企業や個人事業主向けの支援策「持続化給付金」を巡り、日本郵便とかんぽ生命保険は12日、新型コロナとは直接関係がないのに給付金を申請した社員が計約120人いたと明らかにした。

かんぽ生命の不正販売を受けた営業自粛による収入減を給付金で補おうとしたとみられる。両社は申請取り下げや給付金返還の手続きを促している。

持続化給付金は、個人事業主の場合、確定申告する事業所得が今年1〜12月のいずれかの月で昨年同月比の半分以下に減ったことを条件に、最大100万円を支給する。

郵便局員らは、給与所得とは別に、保険の販売成績に応じて支給される営業手当を事業所得として確定申告している。

日本郵政グループでは、かんぽ生命の不正販売が発覚した昨年7月から保険販売を自粛しており、営業手当が激減。

郵便局員らは、収入減は新型コロナの影響ではないものの、持続化給付金の支給条件を満たすのに目をつけたとみられる』

以上のようになりますが、この記事によると、日本郵便とかんぽ生命の営業社員は、保険の販売成績に応じて支給される営業手当を、事業所得で申告しているようです。

それに対して基本給や他の手当は、給与所得で申告しているのではないかと思います。

こういったケースのように、同じ勤務先から受け取った収入を、別々の所得で申告(給与所得と事業所得)しているのは、かなり珍しいような気がするのです。

一方で副業をしている会社員が、本業の収入を給与所得、副業の収入を事業所得で申告しているケースは、稀にあると思います。

なぜ稀なのかというと、一般的に副業の収入は、雑所得で申告するからです。

また雑所得ではなく、事業所得で申告する理由は、事業所得の方が税制面で優遇されているからです。

例えば副業で損失が発生した場合、事業所得で申告している方は、その損失を給与所得から差し引く事ができます。

これにより給与所得の金額が低くなれば、その分だけ税金が安くなるのです。

一方で雑所得で申告している方は、副業で発生した損失を、給与所得から差し引く事はできません。

つまり「事業所得と給与所得→損益通算できる」、「雑所得と給与所得→損益通算できない」という関係になるのです。

この損益通算を上手く活用して、何十年も税金を支払っていない方がいるようです。

それはベストセラーになった完全版 無税入門の著者である、只野範男さんになります。

その税金を支払わない方法とは、副業のイラストレーターの収入を、事業所得で申告します。

また家賃や車の購入費の一部を経費に計上して、事業所得を損失が発生している状態にするのです。

この損失が発生している事業所得と、利益が出ている給与所得を損益通算して、給与から控除された税金の還付を受ける事により、無税生活を実現するそうです。

基本給や他の手当は給与所得、営業手当は事業所得で申告している、日本郵便とかんぽ生命の営業社員は、このテクニックをすぐに利用できると思ったら、実際にやっている方がおりました。

それが記載されていたのは、平成27年(2015年)6月12日の朝日新聞の、郵便外交員500人、申告漏れ 計17億円、国税局指摘という記事になりますが、一部を紹介すると次のようになります。

『愛知、静岡、岐阜、三重の東海4県で、500人を超える郵便局の保険外交員らが、根拠のない経費をつけて事業所得を圧縮したとして、名古屋国税局から総額約17億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。

受けた還付は約2億円多かったことも判明。追徴課税は、過少申告加算税を含め約2億数千万円に上るとみられる』

以上のようになりますが、ここに記載されている事が事実だとしたら、持続化給付金の不正申請より、はるかに規模が大きいのです。

また申告漏れを指摘された時点で、営業手当を事業所得で申告する仕組みを改めていたら、今回の持続化給付金の不正申請は、発生しなかったと思うのです。
posted by FPきむ at 20:10 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする