2014年01月25日

「将来の不安をなくす保険の選び方」はおひとりさまの保険がわかる一冊



平成22年(2010年)の「生涯未婚率」は男性が20.14%、女性は10.61%になりますが、30代後半の世代が50歳に届く10年後には、男女共に倍増するという予測もあります。

注:生涯未婚率とは50歳になった時点で、一度も結婚をした事がない方の割合を示します。

このように生涯を通じて、独身で生きていこうとする男女が増えると、そういった方々のニーズに答える、様々な商品やサービスなどが考え出されますが、将来の不安をなくす保険の選び方(著:山田静江)も、そのひとつになります。

ただ「シングル女性のための保険ガイド」という、副題が付いている事からわかるように、おひとりさまの女性に向けた、保険のガイドブックになりますが、特に気になった部分を紹介しますと次のようになります。

(1)おひとりさまの女性に必要な生命保険
おひとりさまの女性が加入すべきなのは、次のような生命保険になると、将来の不安をなくす保険の選び方に記載されていますが、既婚者向けに書かれた本とは、少し解説が違っておりました。

■病気・ケガ・介護に備える保険(医療保険、介護保険など)
もっとも加入すべきなのは、ガン保険を含む医療保険になるようですが、その理由は次のように記載されております。

『とくにシングル女性の場合、退院しても世話をしてくれる家族がいない、通院が難しいなどの理由から、入院が長引いて負担が大きくなりがちなので、きちんと保険に入っておくと安心です』

『もしものときに支えてくれるパートナーがいないシングル女性は、保険の必要性は高くなります。例えばフリ−ランスで働く人やペットを飼っている人は、入院給付金は多めに準備しておくと安心です』

以上のようになりますが、「医療保険の入院給付金の目安額」については、6月23日のブログで紹介しました。

この中の「入院時にかかる費用の目安額」に、ペットに関する費用(ペットホテル代、ペットを預かってくれた方に対する謝礼など)も含めた方が良いというのは、既婚者に対するアドバイスとは少し違うと思いました。

また医療保険と同様に重要度が高いのは、介護保険になるようですが、将来の不安をなくす保険の選び方では、次のような商品をおすすめしております。

・「あんしん介護(年金)終身タイプ」(朝日生命)

・「コープの介護保険」(損害保険ジャパン)

なおこの本の特徴として介護保険以外についても、著者の山田さんがおすすめする、具体的な商品名がいくつも紹介されておりますが、これらは役に立つと同時に、期間が経過すると保障内容などが変わるので、そのまま利用する事はできなくなります。

■貯める保険(養老保険、個人年金保険、外貨建て保険など)
病気・ケガ・介護に備える保険に次いで加入すべきなのは、老後の生活資金などに活用する、貯める保険になるようですが、次のようなデメリットがあるため、過剰に加入してはいけないようです。

『あくまでも資金づくりのメインは貯蓄で、保険はサブ。保険で貯めるのは一部にとどめましょう。保険は中途解約すると元本割れなどのペナルティがあり、いざ現金が必要になったときに困ります。

また、現時点では有利だったとしても、10年、20年と時間がたつうちに魅力が薄れる可能性があります』

■死んだときの保険(死亡保険)
基本的に必要ないのが、死んだときの保険になりますが、『葬儀代など死後の整理資金を残したい場合は、100〜300万円程度の死亡保障を備えてもよいでしょう』と記載されております。

(2)おひとりさまの女性に必要な損害保険
一般的に生命保険の本には、生命保険の事だけが記載されており、損害保険の本には、損害保険の事だけが記載されております。

しかし将来の不安をなくす保険の選び方には、どちらについても記載されておりますが、おひとりさまの女性が加入すべきなのは、次のような損害保険になるようです。

■住まいの保険
住まいの保険とは「住宅総合保険」、「住宅火災保険」、「地震保険」などになりますが、『築年数などの割引きを利用したり、5年などの長期の契約をすると保険料が安くなります』といった、保険料を安くするためのアドバイスなどが記載されております。

■自動車保険(任意保険)
自動車を運転する方なら、とても身近な損害保険だと思いますが、おひとりさまの女性が加入する場合は、次のような点に注意すべきだとしております。

『民間の自動車保険の多くに示談交渉サービスが付いていますが、事故後のサポート体制は保険会社によって大きく異なります。頼れる人が少ないシングル女性の保険選びでは、保険料の安さだけでなくサービス内容もしっかり吟味しておきたいものです』

■個人賠償責任保険
これは少し意外な感じがしましたが、おひとりさまの女性に個人賠償責任保険が必要な理由については、次のように記載されております。

『買い物にもちょっとした遠出するときにも、便利に使える自転車はエコで手軽な移動手段としてあらためて注目されています。

ただ、日本では自転車専用道路がほとんど整備されていないこともあって、自転車同士あるいは自転車対歩行者の事故が増えています。事故相手が大ケガを負ったり死亡するなどしたら、多額の治療費や慰謝料が請求されるおそれもあります…(中略)…

自転車に乗っているときの事故のほかにも、飼い犬が他人を噛んでケガをさせてしまったとき、買い物中にあやまってお店の売り物を壊してしまったときなども補償の対象になります』

以上のようになりますが「火災保険」、「自動車保険」、「傷害保険」、「自転車保険」、「ゴルフ保険」、「テニス保険」などに、特約で個人賠償責任保険が付けられないかを、調べてみるべきだとしております。

(3)実際に保険に加入する際のアドバイス
将来に発生する可能性のあるリスクに備えて、(1)や(2)で紹介したような保険に加入するのは、とても大切な事ですが、貯蓄する事も同じように大切であり、そのバランスについては、次のようなアドバイスが記載されております。

『手取り収入の10%〜20%を貯蓄に回すためには、保険料は5%が限度、手取り300万円で年間15万円です。

損害保険も含めた保険料がこの金額で収まるようにしましょう(貯める保険の保険料は貯蓄とみなしてもOKです)』

また柔軟な見直しができるように、主契約の死亡保険に特約で医療保障や、介護補償を付けるのではなく、単品の医療保険や介護保険に加入した方が良いというアドバイスも、個人的にはとても参考になりました。
posted by FPきむ at 20:53 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月11日

「生命保険を活かした相続対策」はシンプル・イズ・ベストな一冊



相続税の税率の変更と基礎控除の縮小が、7月24日のブログに記載しましたように、平成27年(2015年)から実施されるという事で、最近は新聞など読むと、アパート経営による相続税対策を提案する広告が、頻繁に掲載されております。

このような対策の問題点については、8月19日のブログで紹介しましたが、要するに日本の人口は確実に減っていくので、アパートを作っても継続的に、入居者を確保できないという事になります。

また先日読んだ生命保険を活かした相続対策(著:染宮勝己)にも、アパート経営の問題点が記載されておりましたが、この本はバブルの崩壊直後に発売された本なので、この点については少しだけ、今の時代には適していない説明もありました。

ただ生命保険を相続対策に活用するための、商品の選び方や契約形態の具体例などについては、現在でも十分に役立つと思いました。

つまり生命保険を活かした相続対策の初版が、平成5年に発売されてから現在まで、様々な法改正があったにもかかわらず、この本に記載されている相続対策は、有効に機能してきたという事になります。

このように長期間に渡って機能した理由について、著者の染宮さんが説明したと思われる部分は次のようになりますが、とても先見性があると思いました。

『大切なことは、生命保険を相続対策に使う場合は、従来の不動産を使った相続対策に比べ、素人でも意外に簡単に、また安全に使えるということです』

『相続対策は簡単である方がよいのです…(中略)…複雑な対策は税制改正の波についていけません。相続が発生してみて、いったい何をやろうとしていたのか、ほかの人に理解できない危険性もあります。

しかし、簡単な対策は誰が見ても理解できます。税制改正にも左右されないのが強みです。だからといって、簡単な対策は効果が小さいと考えるのは間違いです。

複雑な対策を不完全に行うよりも、簡単な対策を数多く完璧にやる方が、結果的には効果の得られることが多いのです』

以上のようになりますが、生命保険を活かした相続対策には、簡単な相続税の計算方法が記載されているので、それで将来に発生する相続税の概算額を算出して、それを上回る死亡保険金が受け取れるように、生命保険に加入しておけば良いのです。

また必要な金額の死亡保険金を受け取れるなら、どこの保険会社でも良いのですから、物件選びなどの手間がかかるアパート経営と比較して、かなり簡単だと思いましたが、著者の染宮さんはこの点について、次のように記載しております。

『その点、生命保険には不動産経営のようなわずらわしさや、財テクの上手下手はいっさい無関係。「健康」と「年齢」という2つのハードルを越えることができれば、誰でも自由に加入できる商品です』

ただいくら簡単といっても、税制や生命保険に関する、専門的な知識を少し持っていた方が、有利になる面はあるようで、その点については次のように記載されております。

(1)代償分割を利用する場合の注意点
相続対策とは税金対策や納税対策だけでなく、「相続争い防止対策」も重要になってきます。

例えば自宅しか財産がなく、それを兄弟姉妹のうち長男だけが相続する場合、相続争い防止対策として代償分割が有効である事については、8月28日のブログで紹介しました。

しかし長男が死亡保険金を代償分割に活用せず独り占めにし、分割協議が終わった後に死亡保険金を受け取っていた事が発覚して、他の兄弟姉妹が長男に、その一部を請求したとします。

このような場合に他の兄弟姉妹が受け取った死亡保険金は、長男からの贈与となってしまい、相続税に他に贈与税が課税されますので、次のような工夫が必要になるようです。

『長女や次男がもらう現金を遺産分割協議書に代償分割として「長男が自宅を相続する代わりに、長男は長女と次男にそれぞれ代償交付金として現金を2000万円ずつ渡すものとする」というように記載しておけば贈与税はかかりません。

ただし、長女と次男がもらった代償交付金は相続財産となり、相続税の課税対象になります。反対に、長男の相続財産から4000万円を控除することができます。

つまり、出すには出したが、しぶしぶあとで出したというのでは、高い贈与税が課税されてしまう危険性があります。「請求する前にあげる、あげなかったら逆に高いものにつく」。これが「代償分割に保険金を利用する」という対策をとる際の、賢い長男への教訓です』

(2)生前贈与と組み合わせる場合の注意点
親が子供に現金の生前贈与を行い、その贈与を受けたお金で生命保険に加入する場合、その死亡保険金は一時所得として所得税が課税されますが、「相続税>所得税+贈与税」になれば、相続税が課税されるケースより節税効果があります。

このように生前贈与と組み合わせる場合、次の4つの点に注意する必要があると、生命保険を活かした相続対策に記載されております。

■親と子供の間で、毎年の贈与契約書を作成しておくこと
『これは子供への現金の贈与を証明するものですから、「保険料の贈与」などいう余計な言葉を記入してはいけません。

父親と子供がそれぞれ自分で署名・押印、印鑑はかならず自分のものを使い、子供の印鑑がない場合は、新しく作ります』

■過去の贈与税申告書の控えを保管しておくこと
『年間60万円(現在は110万円)の贈与には贈与税がかかりますので、毎年確定申告時期に贈与税申告書を提出しなければなりません。

“無税”よりむしろ、少しでも贈与税を払って、証拠を残しておいた方が安全です。のちのち贈与の証拠として、贈与税申告書は強い味方になります』

■父親の所得税の確定申告書等において生命保険料控除を受けていないこと
『「保険料贈与プラン」による契約の保険料は、契約者が子供ですから、父親自身の確定申告時に生命保険料控除を受けることはできません。子供自身の確定申告で使うものです』

■その他、贈与の事実が証明できるようにしておくこと
『たとえば、よくみかけるのは、保険料がお父さんの銀行口座から引き落とされているケースです。これでは、贈与が認められない可能性があります。

面倒でも子供自身の印鑑で、子供名義の預金口座を作り、そこに父親が現金を振り込み(贈与)、子供は自動振込の形で保険料を保険会社に支払います』

(3)インフレ対策の注意点
日銀の黒田新総裁が平成25年(2013年)4月4日に発表した、次元の違う金融緩和策は、2%という物価上昇を目標にしており、それが実現されるまでは、大胆な金融緩和が継続していくと予想されます。

このような物価上昇、つまりインフレが続くという事は、お金の価値が目減りする、つまり死亡保険金の価値も、目減りするという事になりますが、生命保険を活かした相続対策には次のような、インフレ対策が記載されております。

『インフレがすすんで貨幣価値が下がれば、当然給料は上がってきます。そのとき生命保険の見直しの予算がでてくるでしょうから、保障が不足していれば見直しを行っていけばよいでしょう。それがインフレに弱いという生命保険に対するリスクヘッジの1つになるでしょう』

ただこれから生命保険に新たに加入するなら、変額保険(8月25日のブログを参照)か、逓増定期保険(8月20日のブログを参照)が、おすすめの生命保険になるようですが、逓増定期保険は保障が一定期間しかない、つまり死亡するまでに保障が切れる可能性がありますので、その点には注意する必要があります。
posted by FPきむ at 20:52 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする