2015年04月05日

「この見直しで保険料が1/3になる」は老後資金の準備に役立つ一冊 



生命保険文化センターのサイトの中にある、「生命保険に加入している人はどれくらい?」というページを見ると、8割程度の方が何らかの生命保険に加入している事がわかります。

また「生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?」というページを見ると、平均的に男性は年間で約24万円(1ヶ月で約2万円)、女性は年間で約18万円(1ヶ月で約1万5,000円)の保険料を、支払っている事がわかります。

その一方で「フィデリティ退職・投資教育研究所レポート(2013年5月発行)」を見ると、公的年金に対して不安があるのに、退職後の生活費として準備している金額は0円と回答した方が、4割程度もいる事がわかります。

これらを総合すると平均的な日本人は、死亡するリスクには過剰な準備をしているのに、長生きするリスクには、ほとんど準備をしていないと考えられます。

しかし法律で定める定年年齢の下限である65歳を迎えるまでに、ほとんどの方は死亡しないので、死亡するリスクより長生きするリスクの方が、多くの方にとって身近な存在なのです。

ですから死亡するリスクに備えるために使っている資金と、長生きするリスクに備えるために使っている資金の配分を、見直した方が良いと思うのですが、先日図書館で調べ物をしていたら、このような趣旨で書かれた本を見つけました。

それはこの見直しで保険料が1/3になる(著:野田真)になりますが、著者の野田さんは次のように主張しております。

『家計には収入と支出があります。かつて、収入が右肩上がりにどんどん伸びて、幾ら支出がかさんでもあまり心配のない時代が30年、40年続きました。

10年ぐらい前にそういう時代は終わりました。それどころか、減少したり突然途絶えたりしている家計も少なくないと思います…(中略)…

収入が増えているうちは両方に十分備えることも可能かもしれません。でも、いまのように収入が伸びない時代では、どちらか一方に重点を置くほうが良いように思われます。

早死にと長生きのどちらにより多く備えるか。現在では、確率的には長生きをする人のほうがはるかに多いことを考えると、長生きに優先的に備えるほうが賢明です』

また著者の野田さんは早死により長生きに備えるため、この見直しで保険料が1/3になるが発売された当時に主流だった、「定期付終身保険+医療・介護保険(特約)+(年金額が定額の)個人年金保険」という組み合わせを、次のような組み合わせに変更すべきだと提案しております。

・変額年金保険(もしくは「確定拠出年金」など)
・短期の定期保険(まずは会社の「団体定期保険」を検討して、なかったら一年ごとに保険金額の見直しができる「1年更新型定期保険」)

なお現在の主流は定期付終身保険の部分が、「定期保険特約付 利率変動型積立終身保険」、いわゆるアカウント型保険(8月4日のブログを参照)に変わるかと思いますが、あまり大きな違いはありません。

またこの組み合わせを見て気になった部分や、疑問に感じた部分を紹介すると次のようになります。

(1)医療保険(特約)は必要ないのか?
「変額年金保険+短期の定期保険」という組み合わせには、「定期付終身保険+医療・介護保険(特約)+個人年金保険」のように、医療保険(特約)が含まれておりません。

この理由についてこの見直しで保険料が1/3になるには、次のように記載されております。

『入院した場合でも、変額年金保険を解約するか、あるいは契約者貸付(4月14日のブログを参照)でお金をつくれば、それで十分医療費も賄えると思います。

変額年金保険は、全部解約だろうと、部分解約だろうと、解約は自由です。また、契約者貸付の利率もそれほど高くない』

(2)終身保険やアカウント部分で老後資金を準備できないのか?
定期付終身保険の終身保険や、アカウント型保険のアカウント部分は、貯蓄機能を備えているのだから、それで老後資金を準備できるという考え方もあります。

しかしこの見直しで保険料が1/3になるを読むと次のように、これらは老後資金として、当てにできないとしております。

『終身保険の場合、途中で死ぬ人のために保険金を払わなければいけないので、その保険料の中には個人年金保険の場合よりも明らかに掛捨ての部分が多く含まれています。

たとえば、1万円の保険料を払って翌日死んだら、その人に1000万円払わなければいけない。残りの999万円は、集めた保険料の中から払わなければいけないわけです。

このための保険料は、長生きした人にとってはほぼ掛け捨てになります。もちろん、その部分は年金の原資には回らない。

こう考えると、死亡保障がほとんどないと考えてよい定額型の年金保険ですらあてにならないのに、終身保険で老後資金をつくるというのはとんでもない話だということがわかると思います』

(3)なぜ定額より変額の方が良いのか?
年金額が定額の年金保険より、変額の年金保険の方が良い理由が、この見直しで保険料が1/3になるの中に、いくつか記載されております。

その中で一番納得したのは次のような理由になりますが、日銀は現在大規模な金融緩和策により、インフレを誘発しようとしておりますので、時代の流れにも合っていると思いました。

『定額年金保険に比べて、変額年金保険のメリットの1つは、インフレによって資産価値が下がるという欠陥がない、あるいは小さいと言えることです。

定額の年金保険の場合、60万円とか、120万円といった調子で、契約のときに基本年金額がすでに決まっております。

ですから、インフレが起こって貨幣価値が下がったら、将来年金を受け取るときには、いまの60万円、120万円の価値はなくなる。貨幣価値の変動をあまり想定していないことが定額型の欠陥です』

以上のようになりますが、この本は今から15年前に発売されたので、著者の野田さんがおすすめする商品の部分などは、当時とは状況が変わっており、少し役に立たなくなっております。

しかし生命保険の見直しに対する心構えや、年代別の具体的な見直し方法などは、現在でも十分に役立つと思います。
posted by FPきむ at 20:42 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月24日

「社会保険料適正化講座」は節社会保険料の取り組み方がわかる一冊



先日社会保険料適正化講座(著:假谷美香)という本を読みましたが、この本に記載されている社会保険料を節約するための知識は、類似の本を何冊も読んでいる自分にとって、特に目新しさは感じられませんでした。

ただ社会保険料の節約に取り組む姿勢、つまり心構えについては、とても新鮮であり、また参考になりましたが、特に気になった部分を紹介すると次のようになります。

(1)モチベーションアップを主たる目的とする
賃金制度の変更により社会保険料を節約できても、それによって従業員のモチベーションが下がってしまったら意味がありません。

ですから社会保険料適正化講座では次のように、モチベーションアップを主たる目的と考え、社会保険料の節約については、従たる目的にすべきだとしております。

『賃金制度を見直したり、導入したりする際には、社会保険料を適正化する知恵も盛り込みましょう。もちろん、賃金制度を見直す目的は、会社の発展と従業員のモチベーションアップです。それに加えて社会保険料も適正化できたら、こんなに良いことはありません』

(2)書面で同意をとる
賞与の支給回数を年2回から1回にして、社会保険料を節約する方法が、社会保険料適正化講座に記載されておりますが、支給回数を減らすという事は、労働条件を不利益に変更する事なので、従業員の同意が必要になります。

また従業員から同意をもらう際には次のように、後でトラブルにならないため、書面で残しておくべきだとしております。

『法律では、労働条件を不利益変更する際には従業員の同意が必要とされていますが、文章で残すことが義務付けられているわけではありません。しかし、文章で同意をとることによって、将来起こり得るトラブルの芽を摘んでおくことができるでしょう』

(3)派遣や請負にはデメリットがある
社会保険料を節約する方法として類似の本にも、派遣や請負を活用すべきだと記載されております。

しかし社会保険料適正化講座を読むと、派遣や請負には次のようなデメリットがあるので、それを十分に理解したうえで、活用すべきだとしております。

『派遣社員は会社に直接雇用されていないため、時として、愛社精神や業務に対する責任が、薄れやすい点でしょう。期間を区切られ、いつ雇用が終了してもおかしくない派遣社員に会社への愛情や強い責任感を求める方が無理というものです』

『社会保険料の節約という点では、会社側に大きなメリットのある請負契約ですが、デメリットもあります。まず、社内に人材が育ちにくいことです。専門業務などを外注することによって、社内にその業務の専門性の高い人材は育ちにくくなります。

そして、請負業者はその会社の商品や精神を真に理解をして業務を行なうわけではないため、時としてお客(発注者)の意図しないサービスや成果物が提供されることもあります』

(4)何となくやっている制度を見直す
特に理由もないのに実施されている習慣や制度は、社会保険料を節約するため変更の余地がありますが、社会保険料適正化講座には次のような例が記載されております。

『経営者に「なぜ御社の昇給は4月なのですか」と伺うと、「世間がそうだから」とか「何となく」「昔からそうだから」という回答が多いのです。もちろん決算の関係やさまざまな条件を考慮して4月昇給がベストであるというのであれば、それはそれでよいでしょう。

しかし、もう少しでもこのルールを変える余地があるのであれば、是非検討していただきたいことがあります。昇給を4月から3カ月後ろにずらして7月にするということです』

『通勤手当や家族手当、住宅手当を支給している会社はたくさんあります…(中略)…これらの手当は、手厚ければ手厚いほど、従業員に優しい会社といえます。よって、合理的のある理由によって対象者や金額が決定されており、会社にそれなりの体力があるのなら、何の問題もありません。

しかし、世間一般の相場も知らず、高度成長期やバブル時代から、何となくその手当をその金額で支給しているというのであれば、ここで一度、きっちりと見直すのも1つの方法ではないでしょうか』

(5)長期的なデメリットを考慮する
社会保険料が減るのは会社だけでなく、従業員にも手取りが増えるというメリットがあります。

しかし長期的に見ると次のようなデメリットがあるので、できれば社会保険料の節約によって減ってしまう年金額を試算してから、社会保険料の節約を実施すべきだと、社会保険料適正化講座に記載されております。

『社会保険料の負担は重く、最近は社会保険から抜けたいと真剣に考えている経営者もいるようです。そんな経営者のためにこの本を書きました。最後に一つだけ重要なことをお伝えしたいと思います。

今支払う社会保険料を減らすということは、その人の将来もらう年金が確実に減るということです』

以上のようになりますが、この本には「経営者のための」という副題が付いておりますので、社会保険料の増加に悩む経営者の方に、特に読んでいただきたい一冊だと思いました。
posted by FPきむ at 21:29 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする