2015年04月28日

本当に安心な「保険の選び方・見直し方」は必要な保険がわかる一冊



先日本当に安心な「保険の選び方・見直し方」(著:清水香)という本を読みましたが、この本を読むきっかけになったのは、「はじめに」に記載されている、次のような文章に共感したからになります。

『このところ、地震、竜巻、ゲリラ豪雨などの自然災害が相次ぎ、住まいや財産を失った人がたくさんいます。住まいを再建するには数千万円のお金が必要ですし、住宅ローンがあればそれも返さなくてはなりません。

ところがそんなときの国の援助はわずか。火災保険や地震保険といった保険で備えておかないと大変なことになりかねません。

保険について相談を受けたり、被災地を訪ねたりするたびに強く感じるのが、「必要性の低い保険にお金を払い、本当に必要な保険に入っていない人が多い」ということです』

著者の清水さんが考える必要性の低い保険とは、ヒトの病気、ケガ、障害、死亡などに備える保険、例えば生命保険や医療保険になりますが、その理由について本当に安心な「保険の選び方・見直し方」には、次のように記載されております。

『対して病気やケガで入院、通院すれば健康保険が使えるなど、ヒトについては公的保障が充実しています。

ほかにも、夫(生計維持者)が死亡すれば遺族年金、障害を負えば障害年金が受け取れますし、働けない期間は給与の一部が保障される制度もあります。

これらは健康保険料や年金保険料を支払っていることで得られる保障であり、言い換えれば、すでに私たちは保障を「買っている」ということです。

生命保険や医療保険に入るということは、さらにお金を払って保障を上乗せするということ。

本当にそこまで保障が必要かをしっかり考えるべきで、「公的保障で足りない分を、民間の保険で補う」というのが、ムダのない考え方です』

つまりヒトの病気、ケガ、障害、死亡などに対しては、公的保障が充実しているので、それに備える保険は必要性が低いという事になり、公的保障で足りない分だけ入れば十分だとしております。

それに対して著者の清水さんが考える本当に必要な保険とは、家や車などモノの損害に備える保険、例えば火災保険、地震保険、自動車保険になります。

また子供が「自転車事故を起こし、相手に後遺症の残るケガを負わせてしまった」、「他人の車に落書きをした」、「他人の家の窓ガラスを割ってしまった」などに備える、個人賠償責任保険になります。

注:個人賠償責任保険は単品の保険に加入するより、火災保険や自動車保険などに、特約として付けるのが一般的になります。

その理由としてヒトの病気、ケガ、障害、死亡などのように、公的保障が充実していないからですが、本当に安心な「保険の選び方・見直し方」には、次のような例が記載されております。

『自然災害によって住まいが一定以上の損害を受けた場合には、国から支援金が受けられます。それが「被災者生活再建支援制度」という制度で、支給される額は左図のとおり。

建物の倒れ具合によって支給される支援金(基礎支援金)と、その後の対処に応じた支援金(加算支援金)との合計額です。

全壊とは住宅全部が壊れたり、津波で流されるなど、元通りに修復するのが難しい状態のことで、自治体が全壊と認めれば基礎支援金は100万円。

これに加えて、賃貸住宅に移り住んだ場合は50万円、建物を再築するなら200万円が受け取れます。

でも、それだけでは不十分、300万円ではマイホームを再築することはできませんし、家が全壊すれば家財道具の多くも買い替えることになりますから、賃貸に住むとしてもキツイでしょう。「助けはあるけど足りない」と覚えておきましょう』

こういった考え方に基づき著者の清水さんは、具体的な保険の選び方や見直し方について解説していきますが、特に参考になったのは次のような、「ほったらかしはダメ。保険金額を正しく設定しよう」という部分になります。

『生命保険では、死亡時に3000万円など、希望する保険金額で契約し、契約した金額を受け取ることができます。対して火災保険では、保険金額は「同じレベルの家を再築(再取得)するために必要な金額」で設定されます…(中略)…

たとえば3000万円で契約したものの、その後建築費が下がり、再築に2000万円しかかからないとしましょう。

この場合、受け取れる保険金は2000万円。1000万円分の保険料は払い過ぎたことになります(申し出れば払い戻しされます)。

逆に3000万円で契約したのに、人件費の値上がりなどで再築費が4000万円かかるとしたら、再築に必要な金額には届きません。

長期契約で契約したまま、長年ほったらかしという人は多いよう。加入している損害保険会社に問い合わせれば保険金額が正しいかを確認してくれますので、5年程度を目安に保険金額が正しく設定されているかチェックしてもらいましょう』

以上のようになりますが、理想的にはヒトの病気、ケガ、障害、死亡などに備える保険と、モノの損害に備える保険のどちらについても、十分な保障を付けるべきだと思います。

ただ給与が右肩上がりに増えていかない今のような時代に、そんな事をしていたら保険貧乏になってしまいます。

ですから必要性の低い保険は思い切って削減して、その削減により発生した資金を、本当に必要な保険に回すという、保険のメリハリが必要になると思うのです。
posted by FPきむ at 20:08 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月12日

「がん保険のカラクリ」は保険で準備すべきリスクがわかる一冊



先日がん保険のカラクリ(著:岩瀬大輔)という本を読みましたが、この本を読んで一番勉強になったのは次のような、保険で準備すべきリスクと、貯蓄等の資産形成によって準備すべきリスクの違いになります。

『保険の本質は「発生する確率は低いが、起きたときに大きな経済的損失を被る可能性がある事故に備えるため、大勢で少しずつお金を出し合って備える仕組み」である。

代表的な例は自動車保険や、子供がまだ小さい間、世帯主が万が一の事故や病気で亡くなった場合に備えて買う死亡保険である。

これに対して、「自分の身に起きる確率が高い事象」については、保険ではなく貯蓄等の資産形成によって準備されるものである。子供の教育費、老後の生活費は必ず必要になることが分かっているお金である。

「偶発の事故に備えて大勢で少しずつお金を出し合う仕組み」である保険には適していない』

著者の岩瀬さんが社長を務めるライフネット生命で、学資保険や個人年金保険を販売していないのは、おそらくこのような考え方があるためではないかと思います。

またがん保険のカラクリを読むと、このような考え方をもとに、次のような主張が展開されております。

(1)お得な保険は存在しない
もし「自分の身に起きる確率が高い事象」、つまり保険ではなく貯蓄等の資産形成によって準備すべきリスクについて、保険で準備しようとすると、次のような結果になるとしております。

『例えば、事故に遭った人に100万円が払われる保険を考えてみよう。1万人に1人しか起こらない事故であれば、1人当たりが負担する保険料は100円で済む。

他方で、5人に1人が受け取る保険であれば、1人20万円の保険料を負担する必要がある。これでは保険の性格が薄れていることが分かるだろう…(中略)…

がん保険のセールス文句で「2人に1人ががんに罹る時代」と謳われることがあるが、本当に2人に1人が支払いを受けられるがん保険を作ったならば、保険料がとても高くなるか、1人1人が受け取る金額が小さくなるかのどちらかになるだろう。

実際には、高齢者であっても、月々千円で加入できる医療保険が売られている。高齢者の多くが病気に罹る確率が高いことを考えると、これは要するに給付金額がさして大きくないことを意味する』

つまりお得な保険などというものは、存在しないという事になりますが、また保険には貯蓄等の資産形成と比較して、次のようなデメリットがあるとしており、これも貯蓄等の資産形成によって準備すべきリスクについて、保険で準備しない方が良い理由のひとつになります。

『保険は加入者にとって決して効率がよい仕組みではない。原則として払い込んだ保険料は戻ってこないし、運営するためには手数料がかかる』

なおこの手数料とは、付加保険料(5月29日のブログを参照)を示していると考えられますが、保険料の3割から4割程度が、付加保険料であると指摘する専門家もおり、かなり効率が悪いのです。

(2)がん保険より医療保険を優先する
がんは保険で準備すべきリスクなのか、それとも貯蓄等の資産形成によって準備すべきリスクなのかについて、がん保険のカラクリには次のように記載されております。

『そもそも経済的な備えが必要なのはがんという特定の病気に限ったことではなく、およそ病気やけがによって予想以上の出費を迫られた場合のはずである。

保障対象をがんに絞り、他の傷病について備えがないとすれば、病気やけがによる予想以上の出費に備えるという保険加入の本来の趣旨を満たしていない。

したがって、仮に民間医療保険への加入を考えるなら、まずはすべての病気やけがに対応した医療保険を検討すべきである。そして、それでも余裕があったときにはじめて、いわば追加オプションとして、がん保険への加入を検討すべきである』

(3)高齢者に医療保険は必要ない
高齢者の病気やけがは、保険で準備すべきリスクではなく、貯蓄等の資産形成によって準備すべきリスクだとしておりますが、この理由についてがん保険のカラクリには、次のように記載されております。

『高齢になれば誰しも病気に罹るし、介護が必要となろう。これらは決して予期しない不慮の事態ではなく、誰にも現実に起こりうる事象だ。起こることが分かる事柄に対して備えるのは保険ではなく、貯蓄が向いている。

したがって、若いうちは民間医療保険で医療リスクに備えることができても、高齢になってからは自分の蓄えでかなりの部分をカバーするつもりでいるべきだ。

貯金という「自家保険」は手数料を取られることもないし、支払いを拒まれることもない。いざというときのために自由になるお金を300万円〜500万円、まずは備えることこそが最良の保険だ』

つまり貯金が十分にない若いうちは、医療保険で病気やけがに備えをしますが、その医療保険の保障があるうちに、貯金を少しずつ増やしていきます。

そして自由に使える300万円〜500万円の貯金ができたら、医療保険から卒業できるという事になりますが、著者の岩瀬さんはこういった状態に達している高齢者に、医療保険は必要ないものとしており、また高齢になるまでに、こういった状態を目指すべきだとしております。

逆に言えば貯金が十分でないならば、払い込んだ保険料が戻ってこなかったり、手数料がかかったりするというデメリットがあっても、医療保険を継続すべきなのですが、介護保険についても同じように考えられます。

以上のようになりますが、がん保険のカラクリを通じて、保険で準備すべきリスクがわかったら、必要のない保険は解約したり、保険金額を減額したりして、どんなリスクにも対応する貯蓄等を、増やしていくべきだと思いました。
posted by FPきむ at 21:02 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする