2018年08月14日

「がんとお金の本」は実体験を元にした、がん保険の選び方がわかる一冊



乳がんに罹った経験のある、FP(ファイナンシャル・プランナー)の黒田尚子さんが書いた、がんとお金の本を読みました。

この中でもっとも参考になったのは「第4章」の、実体験を元にしたがん保険の選び方になりますが、特に気になった部分を紹介すると次のようになります。

(1)がん以外の病気の治療費は、預貯金でも対応できる
FPの書いた生命保険の本を読むと、まずは医療保険に加入し、それでも不安な方は医療保険の上乗せとして、がん保険や女性特有の病気を保障する保険などに加入して下さいと、アドバイスしている場合が多いと思います。

しかし黒田さんの実体験によると、このようなアドバイスは次のような理由により、誰にとっても正しい訳ではないようです。

『私も、がんと診断されるまで、クライアントには、「まずは、医療保険への加入を。その上で、『がん家系』などで、がんが心配なのであれば、別途、がん保険に加入してはいかがですか?」などとアドバイスしてきました。

しかし、自分ががん患者になってみると、がん以外の病気であれば、多くの場合、保険の給付金をアテにしなくても、預貯金などで治療費をまかなえるのではないか?と考えるようになりました。

実際に、私は15年ほど前に子宮筋腫で入院・手術をしていて、その時にもいくばくかの治療費を支払いましたが、もらった入院給付金と手術給付金の方が多くてラッキー!と喜んだ記憶があります。治療費は当時の預貯金でまかなえる範囲でした。

それと比べて、治療費が高額化、長期化しやすい「がん」だからこそ、それに特化したがん保険に加入して備えておいた方が安心だと思うのです』

(2)まめにがん検診を受けていれば、診断給付金は1回でも良い
充実した保障にすれば、安心を得られますが、その分だけ保険料が高くなってしまいます。

その一方で保険料を安くするために、必要最低限の保障だけにしておくと、これで大丈夫なのだろうか?という、不安な気持ちになってしまいます。

この不安を解消する方法として黒田さんは、次のように預貯金やがん検診を挙げているのです。

『こんな恐ろしい再発・転移に備えようと思えば、支払いが複数回タイプを選びたくなるのが心情というものでしょう。

でも、残念ながら、ここにも支払い条件の壁が立ちはだかり、「2回目以降の診断給付金は、前回の支払いから2年以上経過している場合に限る」とする保険会社がほとんど。

さらに、商品によって、同じがんの継続治療では給付されないもの、同じがんの継続治療でも2年経過し、再入院すれば給付されるもの、とにかく2年経過すれば、2年間入院し続けていても給付されるものなど、条件はそれぞれ異なります。

これらの条件に自分のがんが合致するかどうかなんてわかるものでしょうか…(中略)…

そこで再発・転移も含め、とにかくがんにかかるお金が心配な人は、複数回タイプ。最低限の保障があればいい、もしくは預貯金もちゃんとあるという人は、1回タイプにするという選び方もあります。

なお、再発・転移のリスクは、がんの進行度によっても異なり、ステージが低いほど、そのリスクも低くなります。そのため、まめにがん検診を受けているという人は1回タイプでよいのかも』

(3)がん患者の1番人気は、通院のみで保険金が受け取れるタイプ
NPO法人がん患者団体支援機構とニッセンライフは、がんに罹った経験のある方に、必要な保障や付帯サービスについて質問しました。

その調査結果(第1回がん患者アンケート:2010年3月)が、がんとお金の本の中に紹介されており、それは次のようになっております。

■がん患者が選ぶ「必要な保障」ベスト5
1位:入院しなくても通院時に保険金が受け取れる→47%
2位:抗がん剤治療特約→44%
3位:先進医療特約→38%
3位:緩和医療特約→38%
3位:がんと診断されたら以降の保険料は不要になる→38%

■がん患者が選ぶ「必要な付帯サービス」ベスト3
1位:セカンドオピニオン紹介→44%
2位:PET受信・人間ドック紹介・予約→42%
3位:専門カウンセラーの紹介→42%

(4)株式の配当収入で、入院や通院による収入減をカバーする
がんに罹ってしまうと、新たにがん保険に加入するのが難しくなり、また加入できたとしても、保険料が高くなってしまいます。

そこで黒田さんはがん保険の代わりとして、「無選択型個人年金保険」などを紹介しておりますが、次のように株式投資についても、がん保険の代わりになるようです。

『がんになったため保険に入れなくても、ガッカリすることはありません。

支払うはずだった保険料をコツコツ積み立てて、医療保険ならぬ「医療貯蓄」として自家製の保険を作るのも、イザというときのために備える方法の1つです。

その際に、普通預金に入れっぱなしではもったいない!ある程度まとまった金額になれば、定期預金などを利用しましょう。自動積立定期などを利用すれば楽チンです…(中略)…

そんな金利では満足しない。またはそんなまだるっこしいやり方では物足りないという人は、株式や債券、投資信託、外貨などを利用して、運用するという方法もあります。

私自身もFPという職業柄、いろいろな金融商品を保有しています(これはこれで管理が大変なんですよ)。なかでもうれしかったのは株式配当です。

会社(保有銘柄)の決算時期をずらして、毎月少しずつでも配当が受け取れるようにしておけば、入院や通院で働けなくなったときの収入減を多少なりともカバーできます』

以上のようになりますが、このように保険以外のアドバイスが充実している点も、がんとお金の本の魅力のひとつだと思います。
posted by FPきむ at 20:21 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月14日

「生命保険のウラ側」は本当に必要な、たったひとつの保険がわかる一冊



日本生命の元営業職員で、現在はオフィスバトン「保険相談室」の代表である後田亨さんが書いた、生命保険のウラ側という本を読みました。

この本の主張は掛け捨て型の「定期保険」に、保障が必要な時期(例えば子供が生まれてから社会人になるまで)だけ加入すれば良いという、非常にシンプルなものです。

つまり貯蓄性の高い「終身保険」、「養老保険」、「学資保険」、また「医療保険」や「がん保険」に加入する必要はなく、貯金などで代用できるとしております。

このように定期保険をおすすめする理由について、著者の後田さんは次のように解説しております。

(1)定期保険は保障内容がわかりやすい
自分が加入している生命保険に満足していない方は多いのですが、これは保障内容をしっかりと理解して、十分に納得した状態になる前に、契約を済ませたからだと思うのです。

これを解消するには生命保険について勉強して、保障内容を理解できる状態にすれば良いのですが、最近の生命保険は複雑化しているため、かなりの手間と時間がかかってしまいます。

そこで発想を変えて、生命保険について勉強しなくても保障内容を理解できる、わかりやすい生命保険だけを選ぶのです。

その代表が定期保険なのですが、生命保険のウラ側には次のように記載されております。

『これはもう、「プロと素人の情報格差は埋められない」ということを前提にして、考え直すしかありません。具体的には、こういう風に考えて下さい。

「内容を理解して入るべき保険」ではなく、「わかる範囲で利用できる保険」だけを選べばいい。

「わかる範囲で利用できる保険」の代表選手が定期保険です。これは、おわかりですね。

保険期間中に死亡すればあらかじめ決められた保険金が支払われる−定期保険の内容はこれだけですから、誰でも理解することができます。

実際に過去に私が面談したお客様の中で、ご自身の保険の契約内容について即答された方が数人ですがいらっしゃいます。共通点はと言うと、定期保険にだけ加入なさっていることでした』

(2)保険金の不払いや請求漏れ、保険会社の破綻を恐れる必要がない
生命保険に加入したのは、保険事故(死亡、入院、手術など)が発生した時に、保険金を受け取るためだと思いますが、保険金の不払いや請求漏れは後を絶ちません。

また保険事故が発生する前に、保険金の請求先である保険会社が、破綻する可能性があります。

これらを恐れる方は定期保険を選んだ方が良いのですが、その理由について生命保険のウラ側には、次のように記載されております。

『定期保険は基本的に死亡時のみを想定して加入しますから、保険金の請求機会も限られます。

つまり、近年、問題になった保険金の「不払い」や「請求漏れ」の心配が少ない保険でもあるのです』

『現実に保険会社が破綻することで大きな影響を受けるのは、終身保険や養老保険、年金保険などの「積立部分」がある保険です。

解約金が70%カットされた例なども聞きますから、これらの保険に加入されている方は、毎年、保険特集号を出しているようなマネー雑誌などのチェックくらいはしておくべきでしょう。

逆に、いわゆる(各種の「特約」も含む)掛け捨ての定期保険に加入中の方は、さほど心配する必要はありません。

万一、保険会社が破綻しても、これらは収益性が高い契約なので、契約条件の変更などもなされずに他社へ引き継がれる可能性が高いからです』

(3)保険のプロは定期保険を積極的に利用している
保険のプロは定期保険、特に勤務先の会社で加入できる団体保険を、積極的に利用しているそうです。

その理由は単純で保険料が安いからであり、生命保険のウラ側には次のように記載されております。

『保険のプロは、複数の商品を複雑に組み合わせた保険を、最新の情報と高度な知識を元に使いこなしているわけではないのです。

ただ、一定期間、万が一の際にそれなりの保障があるという「1商品=1機能」の見本のような保険に入っているだけです。理由はそれで十分事足りることと、保険料が安いことに尽きるはずです。

本書で繰り返し書いてきた「定期保険だけに入っておけばほとんど問題ない」という主張の正しさを、ほかでもない保険会社で働く人が証明してくれているのです』

『このように、保険業界で働く人たちはテレビCMなどで派手に売り込まれている商品を積極的に利用していません。そして、「団体保険」に好んで加入しています。

お客様は、こうした事実を全くご存じありません。しかし、これほど重大な事実を知らなくてもいいのでしょうか。

私は、お客様が生命保険に関わる上での「極めて単純な結論」がここにあると感じます。

とかく「保険はわかりづらい」と言われますが、お客様も「団体保険」や「団体保険に似た保険」を選択したら、ほとんどの悩みが解消するはずです』

以上のようになりますが、この「団体保険に似た保険」としては、ネット生保の商品や都道府県民共済が挙げられておりました。

中小企業に勤務している方や、近いうちに転職する予定があり、団体保険に加入できないという方は、こういった生命保険に加入して、保険料を節約すれば良いと思います。
posted by FPきむ at 20:08 | 保険に関連する本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする