2012年04月08日

消費者契約法による保険販売の規制

消費者契約法とは悪質な事業者から消費者を、保護するために制定された法律ですが、消費者契約法の第1条には下記のように、悪質な事業者から消費者を保護するための方法が記載されております。

・事業者の一定の行為により消費者が誤認し、または困惑した場合について、「契約の申込み」または「承諾の意思表示」を取り消す事ができる

・事業者の損害賠償の責任を免除する条項、その他の消費者の利益を不当に害する事となる条項の、全部または一部を無効とする事ができる

・消費者の被害の発生または拡大を防止するため、適格消費者団体が事業者などに対して、差止請求をする事ができる

以上のようになりますが、生命保険事業を営む生命保険会社は事業者に含まれますので、消費者が生命保険会社と締結する生命保険契約は、消費者契約法の適用を受けます。

ですので生命保険会社の営業職員が、生命保険契約の締結について勧誘をする際に、次のような行為をした場合には「契約の申込み」、または「承諾の意思表示」を取り消す事ができます。

(1)不実告知
重要事項について事実と異なる内容を告げる事を「不実告知」と言いますが、例えば変額保険を定額保険と説明する事などが該当します。

その告げられた内容が事実であると誤認して、消費者が「契約の申込み」または「承諾の意思表示」をした場合は、これを取り消す事ができます。

(2)断定的判断の提供
物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものに関して、将来におけるその価額、将来において消費者が受け取るべき金額、その他の将来における変動が不確実な事項につき、断定的な判断を告げる事を「断定的判断の提供」と言います。

例えば積立保険で一定の利率の契約者配当が、確実に支払われると説明する事などが該当します。

その提供された断定的判断の内容が確実であると誤認して、消費者が「契約の申込み」または「承諾の意思表示」をした場合は、これを取り消す事ができます。

(3)不利益事実の不告知
事業者が消費者契約の締結について勧誘をする際に、消費者に対して重要事項、または重要事項に関連する事項について、消費者の利益となる旨を告げ、かつ重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に告げない事を、「不利益事実の不告知」と言います。

例えば生命保険契約の転換の勧誘に際して、契約の保障内容の拡大の面だけを強調し、縮小される保障内容や保険料の増額などの、不利益な面を説明しない事が該当します。

不利益となる事実が存在しないと誤認して、消費者が「契約の申込み」または「承諾の意思表示」をした場合は、これを取り消す事ができます。

ただし事業者が消費者に対して、その事実を告げようとしたにもかかわらず消費者がこれを拒んだ場合には、取り消す事ができなくなります。

また「消費者の不利益となる事実」とは、通常の場合にはその事実が存在しないと、消費者が考えるべきものに限ります。

(4)不退去・監禁
事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際に、消費者が事業者に対して、その消費者の住居や職場から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しない事を「不退去」と言います。

また事業者が消費者契約の締結について勧誘をしている場所から、消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から消費者を退去させない事を「監禁」と言います。

事業者による不退去や監禁により困惑して、消費者が「契約の申込み」または「承諾の意思表示」をした場合は、これを取り消す事ができます。

以上のようになりますが消費者による取消権は、消費者が「追認」をする事ができる時から6ヶ月間行使しない場合には、時効によって消滅します。

注:事業者と消費者の契約は取り消されない限り、一応有効なものとして取扱われますので、消費者は契約後に取り消しの意思表示をして、確定的に契約を無効とする必要がありますが、この意思表示を「追認」と言い
ます。

また契約の締結の時から5年を経過した場合にも、消費者による取消権は時効によって消滅します。
posted by FPきむ at 19:44 | 保険に関連する法律の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月10日

保険業法による保険販売の規制

保険業法とは保険業に携わる者が守らなければならない基本的な法律ですが、(1)「保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営」、(2)「保険募集の公正」の二つを確保する事により、保険契約者などの保護を図る事を目的としております。

(2)の「保険募集の公正」を確保するため、9月7日のブログで紹介した景品表示法と同じように、保険業法でも保険の契約者に商品券や図書カードなどのプレゼントする事に規制があります。

その根拠となるのは保険業法の第300条第1項第5号になりますが、そこでは「保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為」を禁止しており、つまりお客様に対しては特別の利益に該当しない程度の、プレゼントをしないといけないのです。

景品表示法で規制の対象となるのは、「事業者が自己の供給する商品、サービスの取引に付随して提供」したプレゼントになりますが、これは保険を契約してくれたらプレゼントをするという場合だけではなく、すでに保険を契約しているお客様に対するプレゼントも含まれる場合があります。

しかし保険業法で規制の対象となるのは、保険を契約してくれたらプレゼントをするという限定された場合になりますので、見積もりを取ったり、保険商品の詳しい説明を聞いたりしてくれた方に、保険の契約とは関係なくプレゼントするのは規制の対象外になります。

ただすでに保険の契約をしているお客様に対するプレゼントは、保険の契約とは全く関係なくプレゼントをしているとは言えない面もありますので、特別の利益と解釈される場合もあります。

具体的にどのようなプレゼントが特別の利益に該当するのかは、以下の「保険会社向けの総合的な監督指針」のII −3−3−2(5)で判断する事になりますが、この3つの要素を総合的に考慮して特別の利益に該当するのかを判断します。

(ア)提供する利益の経済的価値や内容の社会相当性の有無

(イ)提供する利益の換金性の程度と使途の範囲の広さと程度

(ウ)利益の提供が保険契約者間の公平性を阻害する程度

保険の契約者に対してポイントを付与し、当該ポイントに応じた生活関連の割引サービス等を提供している保険会社がありますが、その際ポイントに応じてキャッシュバックを行う事は、保険料の割引・割戻しに該当しますので原則的に禁止されております。

このようにお客様にプレゼントをする時は特別の利益に該当するかだけではなく、保険業法の他の部分で違反がないかも考える必要があります。

また上記の(ア)から(ウ)を元に特別の利益に該当するのかを判断するのは難しいので、特別の利益に該当しないプレゼントの範囲と上限の目安を定めた保険会社の内部的な規則を守る事が、保険業法に違反しないために大切な事です。
posted by FPきむ at 20:18 | 保険に関連する法律の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする