2011年10月24日

就業規則とは

就業規則とは労働者が就業にさいして遵守すべき服務規律や、労働条件の細目を定めたものですが、常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成して、所轄労働基準監督署長に届け出なければならず、これを変更した場合にも同様の届出義務があります。

使用者は就業規則の作成または変更にあたって、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の、意見を聞かなければなりません。

また所轄労働基準監督署長への届出にあたっては、この意見を記した書面を添付しなければなりません。

このようにして作成・届出された就業規則ですが、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付け、書面交付、磁気テープ等に記録し、記録内容を常時確認できる機器の設置等の方法によって、労働者に周知させなければなりません。

普段は全く存在を意識しない就業規則ですが、使用者と労働者の間で何らかのトラブル(残業代未払い、突然の解雇)が発生した場合、使用者側の主張と労働者側の主張のどちらが正しいのかを、労働基準監督署などが判断する時の重要な資料になりますので、一度は目を通しておいた方が良いのです。

また生命保険、医療保険、個人年金などに加入する前に就業規則を見ておくと、適切な商品を選ぶための参考になりますが、特に注意して見ておくべき点を挙げておきます。

(1)退職金は支給されるのか
法律は使用者に対して退職金の支払いを強制しておりませんが、もし就業規則に退職金を支給する旨を記載すると、退職金を支払う事が使用者に対する義務になります。

もし就業規則に退職金が支給される事が書いてあり、定年まで働いた場合の目安額が計算できれば、「老後に必要となる資金−退職金−公的年金=個人年金の必要額」の計算式からわかるように、個人年金の必要額を減らす事ができますので、その分だけ必要以上の保険料を支払わなくて済みます。

(2)死亡退職金などは支給されるのか
労働者が亡くなった場合にその遺族に対して、死亡退職金、死亡見舞金、弔慰金などが支払われる場合があり、これらは就業規則や福利厚生制度の冊子などに書いてあります。

死亡原因(業務上か業務外)や勤務年数により金額は変わってきますが、ある程度の目安額は計算できると思います。

また死亡退職金、死亡見舞金、弔慰金などのように一時金ではなく、遺族年金や育英年金といった年金を、例えば遺族が高校を卒業するまで支給する会社もあるようです。

これらの金額を合計すると数百万円になる会社もあるようですが、10月19日のブログで解説しましたように、生命保険の死亡保険金の必要額を計算する時に上記の企業保障(福利厚生)の分は減額できるので、その分だけ必要以上の保険料を支払わなくて済みます。

(3)賞与(ボーナス)は支給されるのか
賞与も退職金と同じように、法律は使用者に対して支払いを強制しておりませんので、年俸制にしてその12分の1を毎月支払うような形態でも問題はありません。

ただ就業規則に賞与を支払う事を記載してしまうと、退職金と同じように使用者に対する義務になります。

生命保険、医療保険、個人年金などの保険料を支払う時に毎月支払うか、それとも毎月の支払いと賞与月の支払いを併用して、毎月の支払い分を減らす方法を選択できる場合がありますが、賞与が安定して支払われている会社なら、賞与月の支払いを併用する方法も選択できます。

以上のように労働者の生命保険選びにも深く関係してくる就業規則ですが、もし使用者が労働者に対して就業規則を周知せず、中身を見せようとしないなら30万円以下の罰金となります。
posted by FPきむ at 20:36 | 労働法と生命保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月17日

最低賃金法とは

最低賃金法とは「国が労働者に支払う賃金の最低限度額を定めるので、使用者が労働者に対して賃金を支払う時は、その最低限度額(最低賃金)以上にしなさい」と要求する法律です。

もし労働契約で最低賃金に達しない賃金の定めをした時は、その部分については無効とされ、最低賃金と同様の定めをしたとみなされます。

この最低賃金は時給で決まっているので、日給の方はその金額を1日の所定労働時間で割り、また月給の方はその金額を1ヶ月の平均所定労働時間で割り、時給を導き出してから最低賃金と比較します。

ちなみに所定労働時間とは会社が定めた労働時間ですが、労働基準法に記載されている法定労働時間(原則1日:8時間、1週間:40時間)と必ず一致している訳ではありません。

それは所定労働時間が法定労働時間よりも短い会社があるからですが、所定労働時間について詳しく知りたい方は、従業員が10人以上いる会社では作成・届出義務のある、就業規則をご確認下さい。

また月給の方が上記のように時給を計算する時、原則的に月給には諸手当も含めますが、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当などは例外として月給に含めません。

最低賃金には都道府県ごとに必ず決定される「地域別最低賃金」と、特定の産業で働く労働者のみに適用される「特定(産業別)最低賃金」がありますが、もし1人の労働者について両者の最低賃金が競合する場合、高い方の最低賃金が適用されます。

また派遣労働者に関しては派遣元と派遣先の最低賃金が競合しますが、派遣先の最低賃金が適用されます。

今週の9月13日に平成23年(2011年)度の地域別最低賃金が発表されましたが、改定後の全国平均は前年度比7円増の時給737円でした。

この引き上げ額は国の中央最低賃金審が7月に示した目安額(1〜4円)を基礎に、生活保護給付水準を下回る逆転現象の解消を考慮して決められましたが、改定前は9都道府県あった逆転現象が3道県(北海道、宮城県、神奈川県)に減少しました。

今回決まった最低賃金は「官報に掲載された日(国が発行する機関紙)=公示日」から30日を経過した日に、決定の効力が生じます。

しかし上記のように決まった最低賃金がすべての労働者に適用される訳ではなく、下記のような労働者の場合には使用者が都道府県労働局長の許可を受ける事を条件として、「最低賃金の減額の特例」が認められております。

・精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
・試の使用期間中の方
・基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方
・軽易な業務に従事する方
・断続的労働に従事する方

以上で最低賃金法の概要のお話を終わりますが、これらの内容を使用者に守ってもらうために、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められております。

また特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められておりますので、使用者の方は注意が必要です。
地域別最低賃金
特定(産業別)最低賃金
posted by FPきむ at 20:11 | 労働法と生命保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする