2018年04月15日

日生協健康保険組合が平成30年(2018年)度末の解散を検討へ

平成30年(2018年)4月4日の東京新聞を読んでいたら、16万人生協健保、解散を検討 協会けんぽ移行、最大規模と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『全国の生協(コープ)の従業員や扶養家族約16万4千人が加入する「日生協健康保険組合」が、早ければ本年度いっぱいで解散する方向で検討していることが4日分かった。

解散すると、加入者は中小企業向けの協会けんぽに移ることになる。国は協会けんぽに補助金を出しており、加入者移行に伴い、国民負担が数十億円増える見通し。

解散検討は高齢者医療への拠出金が重く、保険料が上昇しているため。実際に移行した場合、協会けんぽが発足した08年以降では最大の移行人数となる。生協本体の事業に直接の影響はない。

日生協健保は「7月予定の組合会で議決するまでは最終決定ではない」としている』

以上のようになりますが、会社員やその扶養家族が加入する健康保険は、次のような2種類に分かれます。

■組合健保(健康保険組合が運営)
主に大企業の従業員と、その扶養家族が加入している

■協会けんぽ(全国健康保険協会が運営)
主に中小企業の従業員と、その扶養家族が加入している

生協の従業員やその扶養家族は、日生協健康保険組合が運営する組合健保(以下では「日生協健保」で記述)に加入しているのですが、これを早ければ平成30年(2018年)度末に解散して、協会けんぽに移行する方向で検討しているようです。

この10日後の東京新聞の記事を読んでいたら、「人材派遣健康保険組合」が運営する組合健保も、同じような事を検討していると記載されておりました。

新年度が始まってから、まだわずかな期間しか経過していないのに、2つの組合健保の解散が相次いで報道されるのは、今までにない珍しい話ですが、これは序章に過ぎないと思います。

その理由としては10月2日のブログに記載しましたように、健康保険組合の4分の1を超える380組合が、財政悪化で2025年度に解散危機を迎えると、健康保険組合連合会が試算しているからです。

日生協健康保険組合の本部は東京都にありますから、日生協健保が解散した後は協会けんぽの東京支部が、業務を引き継ぐと考えられます。

日生協健保と協会けんぽの東京支部を、3つの点で比較してみると次のようになります。

(1)保険料
月給や賞与から控除されている健康保険の保険料は、その金額の増加に比例して増えていくのです。

平成30年(2018年)度内に支払われる月給から控除される、健康保険の保険料の金額について、いくつかの例を挙げると次のようになります。

注:40歳以上になると介護保険の保険料が上乗せされるため、保険料の金額が変わるのですが、扶養家族の有無やその人数は、保険料の金額に影響を与えません。

【月給が20万円で40歳未満の場合】
日生協健保:10,700円、協会けんぽ:9,900円

【月給が40万円で40歳未満の場合】
日生協健保:21,935円、協会けんぽ:20,295円

【月給が60万円で40歳未満の場合】
日生協健保:31,565円、協会けんぽ:29,205円

これらを見るとわかるように、協会けんぽの方が全般的に保険料が安くなっており、また月給の金額が多くなるほど、両者の差が広がっていきます。

協会けんぽに対する補助金が削減されると、この関係は変わっていくかもしれませんが、当面は協会けんぽの方がお得のようです。

(2)保険給付
健康保険から支給される保険給付は、組合健保か協会けんぽかを問わず実施されている「法定給付」と、法定給付に上乗せして、それぞれの組合健保が独自に実施している「付加給付」があります。

組合健保から協会けんぽに移行すると、付加給付を受けられなくなりますが、ざっとウェブサイトを見た感じだと、日生協健保は付加給付を実施していないようなので、移行後も受けられる保険給付に変化はなさそうです。

(3)保健事業
組合健保はその加入者などが、健康で充実した生活を過ごせるようにするため、健康診断、保養施設の運営、各種の補助金の支給などの、保健事業を実施しているのです。

協会けんぽでも同様の事業を実施しているのですが、組合健保と比較すると見劣りします。

例えば日生協健保では、インフルエンザの予防接種を受けた方に対して、所定の補助金を支給しているのですが、協会けんぽは現在のところ、補助金を支給しておりません。

ですから協会けんぽに移行した後に、今までより不利になる可能性があるのは、保健事業の部分ではないかと思います。

また解散後に利用できなくなるものは、早めに利用しておいた方が良いのかもしれません。

以上のようになりますが、人材派遣健康保険組合を初めとする、解散の可能性がある組合健保に加入している方は、解散の前後でこの3点に変化がないのかを、調べておいた方が良いと思います。
posted by FPきむ at 19:56 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月18日

平成30年(2018年)から実施される保険関連の法改正とは

平成30年(2018年)から実施される予定の保険関連の法改正は、主に次のようなものがあります。

■1月からの改正点
生命保険の契約者が変更になった場合、4月1日のブログに記載しましたように、生命保険会社から税務署に「保険契約の異動に係る調書」を提出する事が、1月から義務化されます。

これにより相続税の申告を正しく行っているのかを、税務署が調べやすくなるのです。

また厚生労働大臣が指定する講座を受講し、それが修了した時に、教育訓練施設に支払った学費の一定割合が雇用保険から支給される、「教育訓練給付金」という制度があります。

この教育訓練給付金は「一般教育訓練給付金」と、「専門実践教育訓練給付金」に分かれておりますが、1月から後者の支給率が、40%から50%に拡充されます。

また支給額の上限が32万円から40万円に拡充され、支給対象者の要件も緩和されるので、以前より使い勝手の良い制度に変わりそうです。

■4月からの改正点
新年度が始める4月からは様々な法改正がされ、それを保険別に記載してみると次のようになります。

【国民健康保険】
自営業者などが加入する国民健康保険は、市区町村を単位にして運営されておりますが、4月からは都道府県を単位にして運営されます。

ただ国民健康保険の加入手続きなどを行う場所は引き続き、市区町村役場になる予定であり、また市区町村ごとに保険料が変わる仕組みも、維持されていく予定のため、当面は大きな変化はなさそうです。

【国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療など】
入院時の食事代として負担する「食事療養標準負担額」が、1月16日のブログに記載しましたように、平成29年(2017年)に引き続き、4月から値上げされる予定です。

【後期高齢者医療】
原則として75歳から加入する後期高齢者医療の保険料は、全員が負担する必要のある「均等割」と、経済的な能力に応じて負担割合が変わる「所得割」の、2種類で構成されております。

このうちの所得割については、後期高齢者医療が発足した時の激変緩和措置により、年金収入が153万円超211万円以下の場合には、5割の軽減となりました。

これが平成29年(2017年)4月からは2割の軽減となり、平成30年(2018年)4月からは軽減がなくなります。

また後期高齢者医療に加入する前日に、健康保険などの被扶養者であった方の保険料は、後期高齢者医療が発足した時の激変緩和措置により、均等割が9割軽減されました。

この9割軽減が平成29年(2017年)4月からは7割の軽減となり、平成30年(2018年)4月からは5割の軽減になります。

【生命保険や医療保険などの民間保険】
民間保険の分野については、4月3日のブログに記載しましたように、長生きする方が増えたため、生命保険会社が保険料を決める際に基準としている「標準生命表」が、11年ぶりに改定される予定です。

これにより生命保険、特に掛け捨て型の定期保険については、値下げされる可能性が高くなり、逆に医療保険については、値上げされる可能性が高くなります。

■8月からの改正点
現役世代並みの所得がある高齢者の介護保険の自己負担が、現在の2割から3割に引き上げされます。

このように現役世代並みの所得があると判断されるのは、単身者では年収が340万円(年金収入のみでは344万円)以上、夫婦世帯では年収が463万円以上の場合です。

また国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療などについては、70歳以上の方に適用される、高額療養費の自己負担限度額4月5日のブログを参照)が、平成29年(2017年)に引き続き、平成30年(2018年)からも引き上げされます。

改正の意図としては介護保険と同じように、現役世代並みの所得がある高齢者の方には、現役世代と同様の負担を求めるものです。

ただ介護保険と違い、現役世代並みの所得に該当しない方についても、負担増になる場合があるため、8月以降に自分が該当する自己負担限度額が、どのように変わるのかを、調べておいた方が良いと思います。

以上のようになりますが、近年の失業率の改善を反映して、雇用保険は保険料が値下げされたり、上記のように保険給付が拡充されたりしております。

そのため定年退職後も働くとしたら、雇用保険に加入する事業所や労働条件を選んで、他の負担増を雇用保険の保険給付でカバーしたいところです。
posted by FPきむ at 20:32 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする