2018年10月01日

平成30年(2018年)の年末調整は、配偶者控除と保険が主な変更点

皆さんもご存知のように、平成30年(2018年)1月からは、配偶者控除の改正が実施されております。

そうなると今年は、配偶者控除の改正が実施されてから、初めての年末調整になると同時に、平成最後の年末調整になるのです。

ただ平成の次の元号が、現時点では発表されていないため、以下では来年以降についても、便宜的に平成と表記します。

配偶者控除の改正について、改めて調べてみると、複雑すぎて理解するのが、意外に難しいと思います。

また仮に理解できたとしても、改正内容の詳細を覚えておくのは、更に難しいと考えられるので、次のような3つの数字だけを、覚えておけば良いと思うのです。

(1)「夫」が38万円の控除を受けられる「妻」の年収
昨年までは「103万円以下」→改正後は「150万円以下」

(2)「夫」が38万円より少ない控除を受けられる「妻」の年収
昨年までは「141万円以下」→改正後は「201万円以下」

注:配偶者特別控除を受けられる妻の年収が、141万円から201万円に拡大したという訳です。

(3)控除額が減額されない「夫」の年収
昨年まではなし→改正後は「1,120万円以下」

注:夫の年収が1,120万円超になると、控除額が減額され、1,220万円超になると、妻の年収にかかわらず、控除を受けられません。

つまり夫の年収が「1,120万円以下」の場合、妻の年収が「150万円以下」であれば、夫は昨年と同様に、38万円の控除を受けられ、また妻の年収が「201万円以下」であれば、38万円より少ない控除を受けられると、覚えておくのです。

そしてこの条件に、当てはまらなくなる時が来たら、インターネットなどで調べてみるのです。

ただ妻の年収が130万円以上になると、社会保険の扶養から外れ、自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要があるため、年収が103万円を超えたとしても、この辺りでいったんは、ブレーキがかかるような気がします。

以上のようになりますが、配偶者控除以外の年末調整の主な変更的は、保険に関するものが挙げられると思います。

皆さんもご存知のように、次のような生命保険に加入している方は、各保険会社が発行する「生命保険料控除証明書」を添付して、「給与所得者の保険料控除等申告書」を勤務先に提出すると、年末調整の際に、それぞれに対応する控除を受けられるため、所得税が安くなるのです。

・死亡保険、収入保障保険:一般生命保険料控除
・医療保険、がん保険、介護保険:介護医療保険料控除
・個人年金保険:個人年金保険料控除

また地震保険に加入している方は、各保険会社が発行する「地震保険料控除証明書」を添付して、「給与所得者の保険料控除等申告書」を勤務先に提出すると、年末調整の際に「地震保険料控除」を受けられるため、更に所得税が安くなります。

それぞれの証明書は通常であれば毎年10月頃に、各保険会社から郵送されますので、それを添付する事になります。

しかし法改正が実施されたため、平成30年(2018年)分以後については、例えば各保険会社のウェブサイトからダウンロードした電子的控除証明書を、国税庁のウェブサイト上にあるシステムで印刷して、勤務先に提出できるようになりました。

なお国税庁のウェブサイト上にあるシステムで、印刷しなければならないのは、電子的控除証明書に「QRコード」を、印字する必要があるからのようです。

このように平成30年(2018年)以後は、各保険会社が保険の契約者に、それぞれの証明書を送付する手段が、郵送だけでなくなり、電磁的方法も加わりました。

ただ電子的控除証明書を印刷したうえで、勤務先に提出するのなら、今までとあまり変わりがありません。

そこで平成32年(2020年)10月以後については、勤務先に「給与所得者の保険料控除等申告書」を、電子的に提出する場合には、それに電子的控除証明書を添付して、提出できるようになります。

そうなると証明書の入手から、勤務先への提出までに、紙が必要なくなるので、以前とはかなり様子が変わります。

ただいきなりペーパーレスにすると、混乱が生じると思いますので、当面は複数の方法が、並存していくのかもしれません。

なお「寄附金控除」を受ける時に添付する、「寄附金の受領証」についても、同様の方法に変わっていくようです。

そのため「ふるさと納税」を利用している方は、この法改正も覚えておいた方が良いと思います。
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2018年07月03日

労働政策審議会で副業や兼業をする時の、労災保険に関する議論が開始へ

平成30年(2018年)6月22日の毎日新聞を読んでいたら、労政審部会:副業や兼業の労災、議論始めると題した、次のような記事が掲載されておりました。

『厚生労働省は22日、厚労相の諮問機関・労働政策審議会の労働条件分科会労災保険部会を開き、副業や兼業で複数の企業で働く労働者の労災保険給付金額や労災認定のあり方について議論を始めた。

論点は二つある。一つは、労災事故による労災保険給付額が事故に遭った勤務先の収入に応じた分しか対象とせず、収入が激減する可能性があることだ。

もう一つは、労働時間などの業務上の負荷が各企業ごとにしか評価されないため、実際に働いた時間が労災の認定時に合算されない点だ。

労働者代表の委員からは「労働者保護の観点から積極的に検討してほしい」などの意見が出た。法改正を含め、検討を進める』

以上のようになりますが、副業や兼業をする場合の社会保険の適用は、原則として次のようになっております。

■労災保険
労災保険は雇用形態にかかわらず、すべての労働者に対して適用されるため、パートやアルバイトなどの短時間労働者にも適用されます。

ですから副業や兼業の最中に、例えば業務に起因するケガをした場合には、副業や兼業をしている企業が加入する労災保険を利用して、治療をしていく事になります。

■雇用保険
生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている、本業の企業の方で雇用保険に加入し、副業や兼業の企業では雇用保険に加入しません。

しかし副業や兼業の方が、本業より賃金が多くなった場合には、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けているのが、副業や兼業をしている企業になるため、こちらの方で雇用保険に加入する必要があります。

■健康保険、厚生年金保険
副業や兼業の労働日数や賃金などが多くなって、社会保険に加入する要件を満たした場合には、副業や兼業をしている企業の、健康保険や厚生年金保険に加入します。

つまり本業の方でも、健康保険や厚生年金保険に加入している場合には、二重加入になるのです。

そうなると2枚の保険証を保有する可能性がありますが、実際に使用するのは、「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」の提出により、メインに選択した方だけになるので、メインでない方は返却しなければなりません。

以上のようになりますが、上記のようにパートやアルバイトであっても、副業や兼業をしている企業が加入する労災保険を利用できるため、特に問題はないような気がします。

しかし現状のままだと、次のような点で問題があるため、労働政策審議会が議論を開始したのです。

(1)低い賃金だけを元にして、休業補償給付などが算出される
業務上の病気やケガで仕事を休み、賃金を受けられない場合には、休業する前の賃金の6割程度になる、休業補償給付を受給できます。

またその上乗せとして、休業する前の賃金の2割程度になる、休業特別支給金も受給できるため、両者を合わせると8割程度になります。

ただ現状では本業と、副業や兼業の賃金を合算しないため、副業や兼業をしている最中にケガをした場合には、副業や兼業の低い賃金を元にして、休業補償給付と特別支給金が算出されてしまうのです。

ケガの状態がひどく、副業や兼業ができない状態になれば、本業もできない状態になる場合が多いため、副業や兼業の低い賃金を元にした休業補償給付と特別支給金だけでは、生活するのが難しくなると思います。

(2)本業の労働時間だけを元にして、過労死か否かが判断される
例えば過労死した場合には、亡くなった方の一定の遺族に対して、労災保険から遺族補償年金(一時金)や、葬祭料(葬祭給付)などが支給されます。

また過労死なのか否かは、亡くなる1ヶ月〜6ヶ月前の、労働時間などを元にして判断されます。

例えば亡くなる前の、1ヶ月あたりの残業時間が45時間を超えると、業務と死亡の関連性が除々に強くなると判断されるのです。

ただ現状では本業と、副業や兼業の労働時間を合算しないため、本業の労働時間だけを元にして、過労死なのか否かが判断されます。

そうなると両者を合わせた労働時間が長くなり、疲労がかなり蓄積していても、過労死と判断されない場合があるのです。

以上のようになりますが、副業や兼業で複数の企業で働く方は増えているため、どのような結論になるのかを、注目したいところです。
posted by FPきむ at 20:04 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする