2019年06月04日

マイナンバーカードを保険証の代わりにできる、改正健康保険法が成立へ

令和元年(2019年)5月15日の時事通信を読んでいたら、改正健保法が成立=マイナンバーカードが保険証に−扶養家族、国内居住に限定と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする改正健康保険法などが15日午前、参院本会議で自民、公明、立憲民主、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立した。

利便性を高め低迷するカード普及率を向上させるとともに、受診時の本人確認をより確実に行えるようにするのが狙い。2021年3月からの施行を目指す。

改正法はまた、外国人労働者の受け入れ拡大に対応し、健康保険が適用される扶養家族を原則国内居住者に限定する規定も盛り込んだ。医療費の抑制や不正利用の防止が目的。

マイナンバーカードの保険証利用では、医療機関の窓口で、カード裏面のICチップの情報を機器で読み取り、保険診療の支払い審査機関への照会などを通じて患者の保険資格を確認できるようになる。

制度が浸透すれば、健康保険組合などが保険証を発行する必要性も薄れる』

以上のようになりますが、最近は外国人による健康保険や国民健康保険の不正利用が問題となり、週刊誌などによく取り上げられております。

その手口とは例えば海外の病院などで、診療を受けたように見せかける領収書を偽造し、それを申請書に添付して、海外療養費(本人負担の1〜3割を除いた、医療費の7〜9割が払い戻される制度)を請求するというものです。

こういった不正を防止するため、健康保険の被扶養者にできる家族は、原則として国内居住者に限定する規定を、健康保険法の中に盛り込むようです。

ただ海外赴任者に同行する家族や、海外の大学に留学する学生など、国内に生活基盤があり、いずれ日本に戻る可能性が高い場合には、例外的に健康保険の被扶養者にできます。

そのため健康保険の被扶養者にできる家族が、国内居住者に限定されても、日本人への影響は少なそうです。

もう一つの改正点はマイナンバーカードを保険証の代わりとして、病院などの窓口に提示できるようにするものです。

このような改正を実施する理由のひとつは、マイナンバーカードを普及させる事のようです。

平成30年(2018年)12月時点において、マイナンバーカードの交付枚数は1,564万枚、交付率は12.2%ですから、かなり低迷しております。

しかも同年10月に内閣府が実施した調査によると、53%くらいの方が「今後も取得する予定はない」と回答しているようです。

これだけ普及が進まないと、政府は色々と対策を考えたくなってしまいますが、マイナンバーカードを保険証の代わりとして使えるようになっても、普及が進むとは思えないのです。

保険証をどこかで紛失したり、入社したばかりで保険証が手元になかったりした時には、便利かもしれませんが、そんなシチュエーションが人生に何度もあるとは思えません。

またマイナンバーがわかれば良いのなら、通知カードでも十分だと思うのですが、これは廃止が検討されているのです。

この理由のひとつは保険証と同じように、マイナンバーカードを普及させる事のようです。

これらを見ていると政府のマイナンバーカード推しは半端なく、また露骨すぎると思います。

個人的にはマイナンバーカードの普及のカギになるのは、年金だと考えております。

マイナンバーと基礎年金番号が紐づけされたため、平成30年(2018年)3月から、年金の手続きがマイナンバーでも可能になりました。

一般的にはまだあまり知られていないと思いますが、これは意外に便利ではないかと思います。

その理由として例えば年金関連の手続きをしたいけれども、勤務先に年金手帳を預けているため、書類に記入する基礎年金番号がわからない方がおります。

こういった時にマイナンバーカードがあれば、勤務先から年金手帳を返してもらわなくても、手続きが可能になるのです。

もちろん今は通知カードでも良いのですが、これが廃止されて年金手帳が手元にない場合には、マイナンバーカードがあると手続きがスムーズになるため、普及のカギは年金だと思うのです。
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2018年12月20日

後期高齢者医療の保険料の軽減特例が、消費増税率の引き上げ時に廃止へ

平成30年(2018年)12月8日の朝日新聞を読んでいたら、75歳以上の医療保険料の軽減特例、来秋廃止で検討へと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『政府は、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で低所得者の保険料を軽減している特例を、来年10月の消費増税時に廃止する方向で検討に入った。

特例廃止で社会保障費は年約600億円削減できると見込む。来年度は半年分の約300億円で、薬の公定価格(薬価)引き下げなどと合わせ、6千億円と見込まれる来年度の社会保障費の伸びを5千億円未満に抑える。

後期高齢者医療制度は、低所得者の保険料を7割軽減する仕組みとなっているが、収入に応じてさらに最大9割まで軽減する特例がある。

ともに年金収入が80万円以下の夫婦2人暮らしなら保険料は9割軽減され、全国平均で1人月380円だ。

政府は現在進めている来年度予算編成で、この特例を消費増税時に廃止することを検討。

消費増税による増収分を使った低所得者の介護保険料軽減や低年金者への給付を併せて実施することで、特例廃止による「負担増」が相殺されると見込む。また、相殺されない場合でも負担増を防ぐ仕組みを早急に検討する』

以上のようになりますが、原則として75歳から加入する後期高齢者医療の保険料は、経済的な能力に応じて負担割合が変わる「所得割」と、すべての被保険者が一定額を負担する「均等割」の、2種類で構成されております。

ただ後者の均等割には収入に応じた、7割、5割、2割の軽減措置がありますので、例えば7割の軽減措置が適用される世帯については、均等割の3割分だけを負担すれば良いのです。

また現在は7割の軽減措置が適用される世帯には、軽減特例が実施されているため、収入に応じて9割または8.5割の軽減になります。

冒頭で紹介した記事を読むと、政府は消費増税率の引き上げ時に、9割または8.5割の軽減特例を廃止して、本来の7割の軽減措置に戻したい意向だとわかります。

つまり均等割の軽減措置はなくならないのですが、9割または8.5割の軽減措置が適用されている世帯は、7割の軽減措置に変わるため、負担が重くなるのです。

しかし政府は消費増税率の引き上げ分を財源にして、「低所得者の介護保険料軽減や低年金者への給付」を実施するため、負担は重くならないと説明しているようです。

なおこの中に記載されている「低年金者への給付」とは、月額5,000円程度の「年金生活者支援給付金」を、示しているのではないかと思います。

軽減特例が廃止された場合には、この年金生活者支援給付金をきちんと受給して、まずは収入を増やすのです。

またこれと並行して、支出を減らす事が大切だと思うのですが、そのアイデアのひとつが、「一部負担金減免制度」になります。

この制度は次のような事由によって、生活するのが著しく困難になり、収入が一定の基準額以下になった時に、一定期間(最高で6ヶ月程度)に限り、一部負担金(医療費の1割〜3割)が減免される制度です。

・震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財その他の財産に、著しい損害を受けた

・重篤な疾病もしくは負傷により死亡し、心身に重大な障害を受け、または長期間入院した(ただしその世帯が、後期高齢者医療の被保険者のみの場合は除く)

・事業もしくは業務の休廃止、失業などにより、著しく収入が減少した

・干ばつ、冷害、凍霜害などによる農作物の不作、不漁その他これらに類する理由により、著しく収入が減少した

以上のようになりますが、この減免は制度の名称からわかるように、一部負担金の金額が少なくなる「減額」、一部負担金を支払う必要がなくなる「免除」、一部負担金の徴収が猶予され、後日にそれを支払う「徴収猶予」の、3種類に分かれているのです。

いずれも手続きをしなければ、制度の適用を受けられないので、要件に当てはまりそうだったら、住所地の市区町村役場にある後期高齢者医療の担当窓口に行って、早めに相談した方が良いと思います。

医療費の支払いが少額で済む場合には、一部負担金減免制度を有効に活用して、支出を減らしていくのです。

その一方で医療費の支払いが高額になった場合には、一定の上限額を超えた分が払い戻される、「高額療養費制度」や「高額介護合算療養費制度」などを活用すれば、医療に関する支出を抑制できます。

こういった制度を活用して、支出をできるだけ減らし、保険料を滞納しないようにするのです。

なお保険料の滞納により、保険証を没収された場合には、全日本民主医療機関連合会が実施している「無料低額診療事業」の利用を、検討してみるのが良いと思います。
posted by FPきむ at 20:28 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする