2022年04月04日

マイナンバーカードを保険証として使うと、21円か12円の負担増へ

令和4年(2022年)3月29日の朝日新聞を読んでいたら、利用促進策…なの? 低迷の「マイナ保険証」、4月に患者負担増と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『マイナンバーカードを保険証としても使える「マイナ保険証」。患者にとっては診察時に過去の薬の情報を正確に医師と共有できるといったメリットがあるが、4月から料金が引き上げられることになった。

自己負担3割の場合、初診時の支払いは21円増える。マイナ保険証が使える医療機関はまだ全体の14%と伸び悩むなかでの「値上げ」は、患者にそっぽを向かれかねない。

4月に予定されている診療報酬(保険診療時の医療サービス料金)改定のメニューの一つとして、マイナ保険証にからむ新たな料金が導入される。

マイナ保険証が使える医療機関を受診して、登録されている薬剤情報などを活用して診療を受けたときに月1回支払う。例えば自己負担が3割の場合、初診は21円、再診は12円だ。

もしマイナ保険証を使わずに、従来の保険証を出したとしても、マイナ保険証が使える医療機関なら初診で月9円(ただし2024年3月まで)の負担が新たにかかる。

なぜこうした形で診療報酬を引き上げるのか。それは、医療機関側の収入を増やすことで、対象のサービスに取り組む医療機関を広げることがねらいだ。

今回の診療報酬改定ではマイナ保険証以外でも、低調なオンライン診療を普及させるためにオンライン初診料を引き上げる(自己負担3割の場合、642円から753円)。ただ、診療報酬の仕組み上、同時に患者の自己負担も増えてしまう』

以上のようになりますが、ここ最近は様々な商品、ガソリン、電気料金などが値上げされているため、わずかな負担増であっても、気になる方が多いと思います。

そのためこのニュースを最初に見た時の感想は、「すごく間が悪いな」というものでした。

またマイナンバーカードを保険証として使わない方も、初診で月9円の負担増になるため、「関係ない人を巻き込むなよ」という感想も、頭の中に浮かんできました。

なお保険証としての登録を済ませたマイナンバーカード、いわゆるマイナ保険証を利用するメリットとしては、過去の薬の情報を正確に医師と共有できる事の他に、次のようなものが挙げられると思います。

(1)保険証の返却が不要になる
例えば失業中に国民健康保険に加入した方が、再就職して勤務先の健康保険に加入した場合、健康保険の保険証を受け取った後に、国民健康保険の保険証を市区町村などに返却する必要があります。

そのため多少の手間がかかりますが、家族全員がマイナ保険証を持っているため、国民健康保険の保険証を受け取らなかった場合には、返却する手間が省けるのです。

(2)限度額適用認定証の交付を受ける必要がない
同一月に医療機関の窓口で支払った医療の自己負担が、自己負担限度額(年齢や収入によって金額が違う)を超えた場合、その超えた部分の金額が、高額療養費として還付されます。

また入院する前に「限度額適用認定証」の交付を受け、これと保険証を医療機関の窓口に提出すると、自己負担限度額までを支払えば良いので、後で還付を受ける必要はありません。

例えば年齢が70歳未満で、年収が約370〜770万円の方が入院して、100万円の医療費がかかった場合、自己負担限度額は約9万になるため、この金額と入院時の食事代などを支払えば良いのです。

マイナ保険証を保有している方が、これを利用できる病院に入院した場合、限度額適用認定証の交付を受けなくても、自己負担限度額までを支払えば良いので、交付を受けるための手間が省けるのです。

(3)医療費控除を受けやすくなる
マイナ保険証を保有している方が、マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインすると、確定申告で医療費控除を受ける時に必要な、医療費通知情報がわかります。

またイータックス(スマホやパソコンから確定申告できる制度)は、マイナポータルと情報連携しているため、イータックスで確定申告する場合、マイナポータルの医療費通知情報が自動的に入力されます。

そのため入力する手間が省けるだけでなく、領収書を捨ててしまった場合でも、医療費控除を受けられるのです。

以上のようになりますが、医療費がかかった年は特に、(2)や(3)をメリットと感じると思います。

こういったメリットと、初診は月21円、再診は月12円を支払うというデメリットを比較し、メリットがデメリットを上回ると考えるなら、負担増になったとしても、マイナ保険証の利用を検討してみましょう。
posted by FPきむ at 20:01 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月01日

令和4年(2022年)中に実施される、公的保険に関する法改正

令和4年(2022年)中に実施される、公的保険に関する法改正には、主に次のようなものがあります。

■1月からの改正点
新年が始まる1月からは、雇用保険と健康保険に関連した、次のような法改正が実施されます。

(1)雇用保険の加入要件である労働時間の合算
雇用保険の適用事業で働いている方は、学生(夜間、定時制、通信制は除く)や、取締役(使用人兼務役員を除く)などの一部の方を除き、次のような2つの要件を満たす場合に、雇用保険に加入します。

・31日以上雇用される見込みがある
・1週間の所定労働時間が20時間以上ある

本業の他に副業をしている方の場合、後者の20時間以上という要件は、本業の労働時間のみで判断するのです。

そのため本業の労働時間が15時間、副業の労働時間が5時間という場合、通算すると20時間以上になるのですが、本業の労働時間が20時間未満のため、雇用保険には加入しません。

しかし法改正により1月からは、65歳以上の方が申し出た場合、本業と副業の労働時間(5時間以上のものに限る)を合算できるため、こういったケースでも雇用保険に加入するのです。

(2)傷病手当金の支給期間の通算化
健康保険の被保険者が4日以上に渡って、業務外の病気やケガで仕事を休み、給与を全く受けられない時は、休職する前の月給の3分の2程度になる「傷病手当金」が支給されます。

この傷病手当を受給できる期間は、支給開始から1年6ヶ月のため、いったん仕事に復帰した後に休職した場合、受給できる期間が短くなってしまうのです。

しかし法改正により1月からは、支給開始から通算して1年6ヶ月になるため、いったん仕事に復帰した後に休職した場合にも、1年6ヶ月分を受給できるのです。

(3)健康保険の任意継続被保険者に関する資格喪失要件の追加
2ヶ月以上健康保険の被保険者だった方は、退職から20日以内に所定の手続きをすると、退職する前に加入していた健康保険を、最大で2年利用できます。

この制度は「任意継続被保険者」と呼ばれ、都道府県と市区町村が運営する国民健康保険と共に、退職後の健康保険の選択肢になっているのです。

所定の手続きを行って任意継続被保険者になった方が、次のいずれかの要件に該当した場合、この被保険者の資格を喪失します。

・任意継続被保険者になった日から2年が経過した時
・死亡した時
・保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を、所定の納付期日までに納付しなかった時(納付の遅延について正当な理由がある場合を除く)
・就職して健康保険の被保険者になった時
・就職して船員保険の被保険者になった時
・原則75歳になって後期高齢者医療の被保険者になった時

また法改正により1月からは、次のような内容の資格喪失要件が追加されるのです。

・任意継続被保険者でなくなる事を希望する旨を、厚生労働省令で定める所により、保険者(協会けんぽなど)に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来した時

これにより以前よりも、任意継続被保険者を辞めやすくなったので、国民健康保険の方が保険料などの面で、メリットがあるという場合には、こちらに移行した方が良いと思います。

■10月からの改正点
年に1度の定時改定によって、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の保険料の金額が変わる10月からは、次のような法改正が実施されるのです。

(1)後期高齢者医療の2割負担の新設
原則として75歳になると加入する、後期高齢者医療の自己負担の割合は、現役並み所得者は3割、それ以外の方は1割になります。

しかし法改正により10月からは、世帯内の後期高齢者(75歳以上)のうち、課税所得がもっとも多い方の課税所得が28万円以上あり、かつ次のような要件を満たす場合、自己負担の割合が2割になるのです。

単身世帯:年収が200万円以上
複数世帯:後期高齢者の合計年収が380万円以上

つまり後期高齢者医療の自己負担の割合が、「1割、2割、3割」という3段階になるのです。

(2)社会保険の適用拡大
社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用事業で働いている方が、次のような要件をすべて満たす場合、パートなどの短時間労働者でも社会保険に加入します。

A:1週間あたりの勤務時間が20時間以上
B:賃金の月額が8万8,000円(年収では約106万円)以上
C:1年以上雇用される見込みがある
D:学生でない
E:従業員数が501人以上の企業で働いている(労使の合意がある場合には、従業員数が500人以下の企業も含む)

この中のCの要件が法改正によって、10月から変更されるため、雇用される見込みが2ヶ月超の場合にも、社会保険に加入します。

またEの要件も法改正によって、10月から変更されるため、従業員数が101人以上の企業で働いている場合にも、社会保険に加入します。
posted by FPきむ at 20:17 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする