2012年08月25日

年末調整や確定申告時における介護医療保険料控除の取扱い

平成23年(2011年)の税制改正により、「介護医療保険料控除」という制度が創設されましたが、平成24年(2012年)の年末調整と、平成25年(2013年)の確定申告から、この制度に関する知識が必要になってきます。

詳細については国税庁のホームページや、5月26日のブログを参照していただきたいと思いますが、何か新しい知識を吸収するには原則を覚えてから、例外を覚えるのが良いと思います。

そこで原則になりますが、新制度は平成24年(2012年)1月1日以降、新たに契約した保険契約から適用されます。

ですから平成23年(2011年)12月31日までに契約した保険契約しかない方は、旧制度のみが適用されるので、例年と同じように一般生命保険料控除と個人年金保険料控除を、例年と同じ金額(上限はそれぞれ5万円)だけ所得から控除します。

そして平成24年(2012年)1月1日以降に契約した保険契約しかない方は、新制度のみが適用されるので、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除という3種類の控除を、それぞれの上限を4万円として所得から控除します。

注:介護医療保険料控除が適用される保険契約とは、医療保険(医療特約)、ガン保険、総合医療特約、疾病入院特約、成人病入院特約、先進医療特約などになります。

これが新制度の原則になりますが、原則を理解したら次の例外の中から、自分に当てはまるものを探してみます。

(1)旧制度と新制度の両方が適用される場合
生命保険は平成23年(2011年)12月31日までに契約して、医療保険と個人年金保険は平成24年(2012年)1月1日以降に契約した場合、生命保険には旧制度が適用され、医療保険と個人年金保険には新制度が適用されます。

もし生命保険の保険料の支払額が年間10万円超で、医療保険と個人年金保険の保険料の支払額がそれぞれ年間8円超だったら、

・一般生命保険料控除:5万円
・介護医療保険料控除:4万円
・個人年金保険料控除:4万円

合計で13万円の控除ができそうですが、3種類の合計で12万円までという上限が設けられておりますので、その金額を超えた分は所得から控除する事はできません

(2)旧制度に新制度の特約を付加した場合
平成23年(2011年)12月31日までに契約した生命保険に、平成24年(2012年)1月1日以降、医療保障の特約を付加した場合、生命保険も旧制度ではなく、新制度が適用されるようになります。

その結果として一般生命保険料控除の上限は5万円から、4万円に下がってしまいますので、保険料の支払額によっては少しだけ、増税になってしまう場合があります。

(3)旧制度の生命保険を更新した場合
平成23年(2011年)12月31日までに契約した、定期保険(8月9日のブログを参照)などの生命保険を、平成24年(2012年)1月1日以降に更新した場合、更新後の生命保険には新制度が適用されるようになるのです。

その結果として一般生命保険料控除の上限は5万円から、4万円に下がってしまいますので、保険料の支払額によっては少しだけ、増税になってしまう場合があります。

(4)学資保険の保険契約者を変更した場合
平成23年(2011年)12月31日までに契約した、学資保険の保険契約者(7月18日のブログを参照)を、平成24年(2012年)1月1日以降に変更した場合、旧制度ではなく新制度が適用されるようになります。

その結果として一般生命保険料控除の上限は5万円から、4万円に下がってしまいますので、保険料の支払額によっては少しだけ、増税になってしまう場合があります。

(5)新たに傷害特約などを付加した場合
平成23年(2011年)12月31日までに契約した生命保険に、平成24年(2012年)1月1日以降、傷害のみに起因して保険金などが支払われる特約を付加した場合、その分の保険料に関しては3種類の保険料控除の、どれも適用されないのです。

ですから所得から控除できないという事になりますが、この傷害のみに起因して保険金などが支払われる特約とは、災害入院特約、傷害特約、災害割増特約などになります。

なお上記の特約を付加したのが、平成23年(2011年)12月31日までなら、旧制度が適用されるので、一般生命保険料控除として所得から控除できます。

以上が新制度の例外になりますが、「死亡保障」と「介護・医療保障」が1つの主契約、または特約に組み込まれている下記のような保険は、介護医療保険料控除ではなく一般生命保険料控除として、所得から控除する場合が多いので、この点には注意が必要になります。

・特定疾病保障保険(特約)
・重度慢性疾患(疾病障害)保障保険(特約)
・介護保障保険(特約)

名前だけ見ると介護医療保険料控除が適用されそうですが、平成24年(2012年)1月1日以降に契約した保険でも、一般生命保険料控除として所得から控除する場合が多いのです。

また「生存保障」と「介護・医療保障」が1つの主契約、または特約に組み込まれている保険(健康祝金付きの医療保険など)は、平成24年(2012年)1月1日以降に契約した場合でも、介護医療保険料控除ではなく一般生命保険料控除として所得から控除しますので、この点にも注意が必要になります。
posted by FPきむ at 19:51 | 生命保険・医療保険の税金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月30日

生命保険の配当金と税金

保険会社は生命保険の加入者から徴収する保険料を決定するため、通常は「予定利率」、「予定死亡率」、「予定事業率」という、3つの予定率を用います。

・予定利率とは
保険会社は加入者から徴収した保険料の一部を、国債や株式の市場で運用して利益を上げていますが、こういった運用を通じて保険会社が得られる見込みの利率を予定利率と言います。

・予定死亡率とは
性別、年齢別に毎年およそ何人が死亡して何人が生き残るかは、生命表によって予測する事ができますが、この生命表によって予測した死亡率を予定死亡率と言います。

・予定事業率とは
保険会社が事業を行うためにかかる経費(従業員の給与、家賃など)を予測したものを、予定事業率と言います。

しかし予測より資産運用が上手くいったり、死亡する方が少なかったり、事業を行うための経費が少なく済んだりする場合がありますが、こういった時に保険会社は加入者に配当金を支払い、予定率と実際率の差を加入者に還元します。

ただすべての加入者が配当金の支払いを受けられる訳ではなく、保険料を安くする代わりに配当金が支払われない、無配当タイプの生命保険に加入していれば配当金は支払われません。

また有配当のタイプでも毎年配当金を支払うタイプや、5年ごとに配当金を支払うタイプがあります。

その他には長期間に渡り契約を継続した後、死亡や満期などで契約が消滅した場合に、特別配当金が支払われるタイプがあります。

このように様々なタイプがある配当金ですが、配当金が支払われる時期が変わると、課税される税金も変わってきます。

(1)契約期間中に配当金の支払いを受けた場合
生命保険の契約期間中に配当金の支払いを受けても、その配当金に対しては所得税や住民税、贈与税は課税されません。

契約期間中に支払いを受ける配当金は、課税の対象となる収入とはみなさず、保険会社に支払った保険料の修正として、生命保険料控除の対象となる保険料の金額から、控除する事になっております。

つまり課税はされないけれども、年末調整や確定申告の時に所得から控除できる、生命保険料控除の金額が少なくなるので、その分だけ還付される所得税が少なくなる場合があります。

(2)保険金の支払開始の日以後に配当金の支払いを受けた場合
保険金の支払開始の日以後に配当金の支払いを受けた場合、その保険金が年金で支払われるタイプでは「雑所得」、一時金で支払われるタイプでは「一時所得」として所得税が課税されます。

(3)保険金と共に配当金の支払いを受けた場合
保険金受取人が保険金(一時金)と共に支払いを受けた配当金は、下記のBのように保険金に所得税が課税される場合、その配当金の部分についても一時所得として所得税が課税されます。

また下記のAやCのように相続税や贈与税が課税される場合、支払いを受けた保険金に含めて、相続税や贈与税が課税されます。

A:契約者(夫)−被保険者(夫)−受取人(妻)→相続税

B:契約者(夫)−被保険者(妻)−受取人(夫)→所得税

C:契約者(夫)−被保険者(妻)−受取人(子)→贈与税

注:契約者とは「保険料を支払う人」、被保険者とは「死亡保険金の対象となる人=亡くなった人」、受取人とは「死亡保険金が支払われる人」になります。

(4)保険会社に配当金を積み立てた場合
支払いを受けるべき事が確定した配当金を、生命保険約款の定める所により保険会社に積み立てておき、契約者からの申出があった時に随時払い戻す事とされている場合、積み立てた時に配当があったものとして、生命保険料控除の計算上、支払った保険料から控除します。

つまり(1)と同じ取扱いになり、年末調整や確定申告の時に所得から控除できる、生命保険料控除の金額が少なくなるので、その分だけ還付される所得税が少なくなる場合があります。

(5)配当金を保険料に充当した場合
配当を受けるべき配当金について、これを現実に支払いを受ける事なく、その配当金を保険料の払込みに充てた場合、その払込みに充てた配当金に相当する部分の保険料は、生命保険料控除の対象になりません。

つまり(1)と同じ取扱いになり、年末調整や確定申告の時に所得から控除できる、生命保険料控除の金額が少なくなるので、その分だけ還付される所得税が少なくなる場合があります。
posted by FPきむ at 19:52 | 生命保険・医療保険の税金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする