2022年10月03日

自宅療養に対する入院給付金の縮小は、健康保険の傷病手当金で補おう

最近にニュースサイトを読んでいたら、保険に関連する二つの記事が、とても印象に残りました。

その一つ目は令和4年(2022年)9月8日の朝日新聞に掲載されていた、コロナの保険支払い対象者縮小、26日から 全数把握見直しに合わせという記事になりますが、一部を紹介すると次のようになります。

『政府が26日に新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化を全国一律で導入するのに合わせて、保険会社の大半が同日から、感染者であっても65歳未満の軽症者は入院給付金の対象から外すことが分かった。保険各社が9日にも発表する。

全数把握の簡略化後も入院給付金の対象となるのは、入院か投薬治療を受けた人、65歳以上の高齢者、妊婦のいずれかに該当する感染者となる。

政府が継続して届け出の対象とした4条件を、そのまま保険の支払い条件に適用する。

入院給付金は通常、入院しないともらえない。ただ新型コロナは感染症法上、「入院勧告」扱いの一方、病床不足から自宅療養を強いられる例もあることから、金融庁は感染拡大初期の2020年4月、生命保険協会に対して「柔軟な」対応を求めた。

保険各社は自宅療養でも「みなし入院」とし、症状に関係なく給付金を支払ってきた』

以上のようになりますが、ニュースサイトのコメント欄を見てみると、65歳以上は引き続き、自宅療養でも入院給付金の対象になるのに、65歳未満は対象から外された点に、不満を感じている方が多いようです。

65歳以上の方は国などから、年金という定期的な収入を受け取れる場合が多いため、新型コロナに感染して働けなくなっても、収入はゼロにはなりません。

一方で65歳未満の方は新型コロナに感染して働けなくなると、収入が途絶えてしまう場合が多いのです。

そのため65歳以上は引き続き対象になるのに、65歳未満は対象から外された点に対して、不満を述べる方が多いのは、よく理解できるのです。

二つ目は令和4年(2022年)9月25日の日本経済新聞に掲載されていた、厚生年金、10月から適用拡大 中小事業所のパートも対象という記事になりますが、一部を紹介すると次のようになります。

『10月から厚生年金の適用対象の範囲が広がる。これまで短時間労働のパートやアルバイトが加入するのは従業員数が501人以上の大きな企業に限られていたが、101人以上の中小規模の会社まで拡大する。

新たに対象になる人は自己負担が増える場合もあるが、老後に備える年金額など保障が手厚くなる』

以上のようになりますが、厚生年金の適用対象になる方は、もうひとつの社会保険である健康保険の適用対象にもなります。

そのため厚生年金の適用対象の範囲が広がったというよりも、社会保険の適用対象の範囲が広がったという方が、正しいような気がするのです。

いずれにしろ令和4年(2022年)9月26日から、自宅療養に対する入院給付金が縮小し、その直後の10月1日から、社会保険の適用対象の範囲が広がったという訳です。

これを受けて健康保険に加入するようになると、健康保険の扶養に入っていた時には受給できなかった、傷病手当金という保険給付を受給できるようになります。

この傷病手当金とは健康保険の加入者が、業務外の病気やケガで4日以上仕事を休み、給与をまったく受けられない時に、休職する前の月給の3分の2程度が支給される制度です。

また傷病手当を受給できる最長の期間は、支給が始まってから通算して、1年6ヶ月になります。

病気やケガで仕事を休んだ時に、保険給付が支給されるという点で、医療保険の入院給付金と健康保険の傷病手当金は、共通しているところがあると思います。

ただ違うところもあり、上記のように入院給付金については、自宅療養でも支給対象になる方が、65歳以上の方や妊婦などの、一部の方に限られるようになりました。

それに対して傷病手当金は年齢にかかわらず、自宅療養も支給対象にしているため、入院できなくても不利にはならないのです。

こういった違いがあるため、自宅療養に対する入院給付金の縮小は、健康保険の傷病手当金で補った方が良いと思います。

また今回の一件を通じて、医療保険はいざという時に、あまり頼りにならない事がわかったので、見直しを検討しても良いのではないかと思います。
posted by FPきむ at 20:17 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする