2021年10月09日

健康保険の任意継続被保険者は、2年が経過する前に辞められる制度へ

健康保険の被保険者は勤務先の企業などを退職してから、20日以内に手続きを行って、「任意継続被保険者」になる事により、退職する前に加入していた健康保険を、最大で2年利用できます。

ただ任意継続被保険者になるには退職する前に、健康保険の被保険者であった期間が、2ヶ月以上必要になるのです。

また在職中は勤務先の企業などが、健康保険の保険料の半分を負担しているので、任意継続被保険者になった後は、保険料が2倍(上限あり)になる点に、注意する必要があるのです。

所定の手続きを行って、任意継続被保険者になった後は、次のいずれかに該当した時に、この資格を喪失します。

・任意継続被保険者になった日から起算して、2年が経過した時
・死亡した時
・保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を、納付期日までに納付しなかった時(納付の遅延について正当な理由があると、保険者が認めた時を除く)
・健康保険の被保険者になった時
・船員保険の被保険者になった時
・後期高齢者医療の被保険者になった時

また法改正が実施されたため、令和4年(2022年)1月1日以降は、次の要件を満たした時にも、任意継続被保険者の資格を喪失するのです。

・任意継続被保険者でなくなる事を希望する旨を、厚生労働省令で定める所により、保険者に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来した時

要するに任意継続被保険者になった日から起算して、2年が経過する前でも、辞められるようになった訳です。

ただ任意継続被保険者の保険料の納付期日は、原則として毎月10日になり、この納付期日までに保険料を納付しないと資格を喪失するため、2年が経過する前に辞めたいという方は、保険料を納付しなければ良いのです。

そのため今回の法改正は、重要そうに見えて、あまり意味がないような気がします。

また健康保険は次のような2種類に分かれておりますが、後者の組合健保は法律で定められた「法定給付」に加えて、独自の「付加給付」を支給したり、人間ドックを受けた方などに対して、補助金を支給したりする場合があるのです。

・主に中小企業の従業員と、その被扶養者が加入している「協会けんぽ」
・主に大企業の従業員と、その被扶養者が加入している「組合健保」

こういったメリットがあるため、組合健保に加入していた方は特に、2年が経過するまで、任意継続被保険者のままでいる場合が多いようです。

厚生労働省が作成した資料によると、協会けんぽか組合健保かを問わず、3割〜4割くらいの方は2年が経過するまで、任意継続被保険者のままでいるのです。

この3割〜4割くらいの方は、2年が経過する前に任意継続被保険者を辞められるようになっても、おそらく利用しないと思うのです。

また2年が経過するまで、任意継続被保険者のままが良いと思っている方は、この2年が短縮されたら困るはずです。

そんな話は聞いた事がないかもしれませんが、厚生労働大臣の諮問機関のひとつである「社会保障審議会」から、次のような改正案が出された事があります。

・任意継続被保険者のままでいられる期間を、2年から1年に短縮する案
・任意継続被保険者になるために必要となる、退職する前の健康保険の被保険者期間を、2ヶ月間以上から1年以上に引き上げする案

このような改正案が出されたのは、いずれは任意継続被保険者の制度を、廃止したいからのようです。

もともと健康保険は医療費の自己負担が原則として2割、国民健康保険は原則として3割という違いがありました。

しかし現在は健康保険と国民健康保険のいずれについても、3割負担で統一されております。

そのため任意継続被保険者になるメリットがなくなったため、この制度を廃止したいのだと思います。

ただ任意継続被保険者になるメリットが、まったく存在しない訳ではありません。

例えば国民健康保険の保険料は、前年の収入を元にして算出するため、退職した直後に加入すると、保険料が高くなってしまうのです。

任意継続被保険者になれば、このようなデメリットを回避できるため、制度を存続させた方が良いという意見もあるのです。

ただ勤務先の企業などを退職して、年金受給者になった方であれば、退職して2年目以降は、給与収入ではなく年金収入を元にして、国民健康保険の保険料が算出されるため、退職した直後より保険料が安くなります。

こういった点から考えると、任意継続被保険者のままでいられる期間を、2年から1年に短縮する案は、理にかなっていると思うのです。
posted by FPきむ at 20:29 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする