2021年01月07日

後期高齢者医療の窓口負担が増える前でも、年金は200万円未満が良い

令和2年(2020年)12月14日のサンケイビズを読んでいたら、75歳以上医療費2割枠新設 年収200万円以上、全世代社保会議が最終報告と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『政府は14日、全世代型社会保障検討会議(議長・菅義偉首相)を官邸で開き、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担について、単身で「年収200万円以上」の人は1割負担から2割負担に引き上げる内容を盛り込んだ最終報告をまとめた。

2割負担は令和4年10月以降の4年度後半から実施する。来年の通常国会に関連法案を提出し、成立を目指す。最終報告は15日にも閣議決定する。

後期高齢者への2割負担は、団塊世代が4年から後期高齢者になり始めるのをにらみ導入するもので、少子高齢化を背景に現役世代の負担を軽減する狙いがある。

2割枠新設は、1割負担の仕組みを導入した平成13年以来の制度改革となる。現行制度では、3割負担している年収約383万円以上の「現役並み」以外は1割負担となっている。

ともに75歳以上の夫婦の場合は、世帯年収の合計が320万円以上が2割負担の対象となる。激変緩和措置として、3年間は窓口負担の増加額を最大月3千円に抑える。

窓口負担をしている後期高齢者は約1815万人で、このうち2割負担となるのは約370万人。2割以上を負担する人は「現役並み」(7%)と合わせ、30%を占める』

以上のようになりますが、原則として75歳になると、健康保険や国民健康保険などから脱退して、後期高齢者医療に加入します。

この制度に関する医療費の窓口負担は、現在は原則として次のようになっております。

・1割(一般所得者、住民税非課税世帯)
・3割(単身世帯の場合は年収約383万円以上、夫婦2人世帯の場合は年収約520万円以上の「現役並み所得者」)

冒頭で紹介した記事によると、現役世代の負担を軽減するため、例えば単身世帯で年収が200万円以上の場合には、令和4年(2022年)10月から、2割負担になるようです。

後期高齢者医療の保険給付の財源は原則として、税金が50%、健康保険や国民健康保険などの加入者が拠出する支援金が40%、後期高齢者医療の加入者が納付する保険料が10%です。

このように支援金の割合が大きいため、75歳以上の後期高齢者が増えると、現役世代の負担が重くなります。

また近年は支援金の負担に耐え切れなくなって、解散する健康保険組合が増加しております。

一定以上の収入がある方の、後期高齢者医療の窓口負担を2割に引き上げするのは、こういった問題を解消したいからだと思います。

ところで後期高齢者医療の窓口負担の引き上げが実施される予定の、令和4年(2022年)10月の半年前に、受給できる年金に大きな影響を与える、重要な法改正が実施されるのです。

それは繰下げ受給できる年齢の引き上げであり、令和4年(2022年)4月から実施される予定です。

この繰下げ受給とは、原則65歳から受給できる老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)の支給開始を、1ヶ月繰下げる(遅くする)と、これらの金額が0.7%の割合で増えるという制度です。

繰下げ受給できる年齢の上限は、現在は70歳になっておりますが、令和4年(2022年)4月から75歳に変わります。

そのため老齢年金の金額が、84%(10年×12ヶ月×0.7%)も増えるのです。

この増額率は魅力的だと思いますが、老齢年金の金額が増えて、後期高齢者医療の窓口負担が1割から2割に変わった場合には、老齢年金の金額が増えた事を、後悔するかもしれません。

そこで繰下げ受給を利用する場合には、年金を200万円未満に抑えるのです。

なお65歳以上で単身の方が、年金を約155万円以下に抑えると、住民税が非課税になります。

また65歳以上で扶養している配偶者がいる方が、年金を約211万円以下に抑えると、住民税が非課税になります。

例えば夫婦で生活している場合、年金が少ない妻は住民税が非課税の場合が多いため、夫の年金が約211万円以下だと、住民税非課税世帯になります。

この住民税非課税世帯に該当すると、医療の面などで様々なメリットがあるのです。

例えば後期高齢者医療の窓口負担は上記のように、現在は1割か3割になっております。

ただ「高額療養費」という制度があるため、同一月(1日から月末)内に窓口で支払った金額が、「自己負担限度額」を超えた場合には、それ以上は負担する必要がないのです。

一般所得者の自己負担限度額の金額は、平成30年(2018年)8月から、「外来(個人ごと)」が1万8,000円、「入院+外来(世帯ごと)」が5万7,600円になります。

一方で住民税非課税世帯の自己負担限度額の金額は、「外来(個人ごと)」が8,000円、「入院+外来(世帯ごと)」が2万4,600円か1万5,000円になります。

かなりの違いになりますが、入院時の食事代も住民税非課税世帯の方が安く済むのです。

そうなると後期高齢者医療の窓口負担が増える前でも、年金は200万円未満が良いのです。
posted by FPきむ at 20:07 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする