2020年05月02日

個人向け国債が売れているのは、「滝クリ効果」と「貯蓄型保険の消滅」

令和2年(2020年)4月11日のYAHOO!ニュースを読んでいたら、新型コロナウイルス感染拡大によるリスク回避の動きからか、個人向け国債の販売が順調と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『4月に発行された個人向け国債の発行額が、6200億円となった。これは1月の6261億円には届かなかったものの、1月発行分は12月が募集期間でボーナス月であったことを考慮すると、4月発行分はかなり多かったといえる。

10年変動タイプでみると4月発行分は5416億円となり、これは2017年3月の6772億円以来の販売額となっていた』

以上のようになりますが、平成28年(2016年)1月に日銀が、マイナス金利政策を導入してから、預貯金の金利が一段と低下しました。

こういった影響を受けて、今まであまり注目されていなかったものが、注目を集め始めたのです。

それは例えばタンス預金用の「金庫」、百貨店が運営する「友の会」、金融機関で販売されている「個人向け国債」です。

この中の個人向け国債とは、元本や利子の支払いを国が保証する債券になりますが、次のような3種類に分かれております。

【変動10年】
満期が10年の個人向け国債になり、半年ごとに適用される金利が変動します。

【固定5年】
満期が5年の個人向け国債になり、満期まで金利が変わりません。

【固定3年】
満期が3年の個人向け国債になり、満期まで金利が変わりません。

以上のようになりますが、冒頭で紹介した記事によると、このような特徴のある個人向け国債、特に変動10年が、再び注目を集めているようです。

その理由は「リスク回避」と「キャッシュ化」だと、解説されておりますが、個人的には次の2つだと考えております。

(1)資産公開によって発生した「滝川クリステル効果」
令和元年(2019年)8月に衆議院議員の小泉進次郎さんと、フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが、結婚を発表しました。

また同年9月に小泉進次郎さんは、第4次安倍再改造内閣の環境大臣に就任しました。

これを受けて小泉夫妻が保有する資産は、「資産公開制度」の対象になったため、お二人が保有する資産が明らかになったのです。

小泉進次郎さんが保有する資産は、なぜかゼロ円だったのですが、滝川クリステルさんは驚くべき事に、約2億9,000万円もの資産を保有しておりました。

またその資産の半分くらいになる約1億5,000万円を、国債で運用するという、かなり堅実な資産運用をしていたのです。

変動10年の販売額が伸びたのは、このニュースが発表されてから数ヶ月後になります。

ですから滝川クリステルさんの資産公開に関するニュースは、かなりの宣伝効果があったと思うのです。

(2)世界的な低金利による「貯蓄型保険の消滅」
生命保険会社が「予定利率」(契約者に対して約束する運用利回り)を決める時には、「標準利率」(国債の利回りを元にして金融庁が決定)を指標にします。

例えば貯蓄型保険のひとつである、一時払い終身保険の標準利率は、以前は0.25%だったのですが、令和2年(2020年)1月から、過去最低の0%に引き下げられたので、予定利率も同程度に引き下げする必要があります。

そうなると魅力的な商品を提供できなくなるため、販売を休止する生命保険会社が出てきました。

また新型コロナウイルスの影響により、世界各国の中央銀行は政策金利を、0%近くに引き下げしたのです。

これにより外貨建ての一時払い終身保険も、魅力的な商品を提供できなくなるため、販売を休止する生命保険会社が出てきました。

このように現在は世界的な低金利により、貯蓄型保険が消滅の危機にあるため、投資をしたくないという方は、保険以外でお金を増やす必要があります。

その受け皿のひとつが個人向け国債になるため、販売額が伸びているのだと思います。

なお個人向け国債のうち変動10年は、0.05%という最低保証金利があるため、これ以上は金利が低くならないのです。

また実勢金利に応じて、半年毎に金利が見直しされる仕組みのため、将来的に実勢金利が上がれば、各人に適用される金利も、高くなる可能性があります。

それに対して一般的な貯蓄型保険は、契約する時に決まった予定利率が、保険期間を通じて適用されるため、将来的に実勢金利が上がっても、各人に適用される予定利率は、ずっと変わらないのです。

こういった個人向け国債と貯蓄型保険の違いも、個人向け国債の魅力を高めていると思います。
posted by FPきむ at 20:41 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする