2017年07月01日

NHK総合の「クローズアップ現代+」で生命保険の特集



月曜日から木曜日の22:00〜22:25にNHK総合で、「クローズアップ現代+」という番組が放送されております。

平成29年(2017年)6月28日の放送は、「保険値上げで家計直撃!賢い見直し術とは」というテーマだったので、チェックしてみる事にしました。

内容としては独立系FPの内藤眞弓さんが、30代で子供がまだ小さい会社員の女性と、50代で大学卒業間近の子供がいるパートの女性に対して、生命保険の見直しについてアドバイスしておりました。

またその後には、ライフネット生命の創業者である出口治明さんと、保険アナリストの植村信保さんが、NHKの武田真一アナウンサーの質問に答えるという形で、「保険見直しのヒント」について解説しておりました。

いかにもNHKらしい良質な番組だと思いましたが、特に気になった点を紹介すると次のようになります。

(1)生命保険で貯蓄するのは止める
生命保険会社は顧客から徴収した保険料を、保険金の支払いが発生した時に備えて、保管しておきます。

ただすべてを保管しておく訳ではなく、その一部を国債や株式などの市場で運用して、利益を上げているのです。

こういった運用を通じて得られる利益を予想し、その予想を元に顧客に対して約束した運用利回りを、「予定利率」と言います。

また生命保険会社が予定利率を決める際には、金融庁が発表している「標準利率」を参考にしております。

この標準利率は日銀が実施したマイナス金利政策などの影響により、平成29年(2017年)4月から0.25%に引き下げられ、過去最低の水準になりました。

生命保険会社は予定利率を決める際に、標準利率を参考にしているだけなので、「予定利率=標準利率」という訳ではありません。

しかし標準利率がこれだけ引き下がっている中で、予定利率を引き下げないでいる事は難しく、そうなると生命保険の貯蓄性は薄れてしまうのです。

なお0.25%という数字を見ると、普通預金の金利より高そうに見えますが、2月9日のブログに記載しましたように、生命保険は保険料のすべてが運用に回る訳ではないので、単純に数字だけを比較してはいけないのです。

このような事情があるため、独立系FPの内藤眞弓さんは30代の女性に対して、貯蓄型の生命保険の解約を勧め、その代わりに掛け捨て型の就業不能保険(所得保障保険)や、掛け捨て型の死亡保険への加入を勧めておりました。

このアドバイスは納得できるのですが、もし貯蓄をしたいなら、生命保険より預金の方が良いというアドバイスには、納得できませんでした。

その理由として現在のような金利の低い状況では、預金ではあまりお金が増えないからで、生命保険の代わりとなる貯蓄先について、もう一歩進んだアドバイスが欲しかったと思うのです。

(2)保険料の合計額は給与の手取りの3〜5%まで
ライフネット生命の創業者である出口治明さんは、生命保険の加入などについて、いつもわかりやすいアドバイスをしているというイメージがあります。

例えば以前にある本を読んでいたら、生命保険の死亡保険金は「今の年収の3年分+子供1人あたり1,000万円で十分」と、アドバイスしておりました。

今の年収の3年分を準備するのは、「ご主人が亡くなってしまったんだから、奥さんが悲しみに暮れるのも仕方がないけど、3年経って喪が明けたら、しっかり働いて自分で食べていきましょう」という意味のようです。

また子供1人あたり1,000万円を準備するのは、「とりあえず大学を出るまでは親として面倒を見るが、そのあとは面倒を見ない」という意味のようです。

今回の放送においても、とてもわかりやすいアドバイスをしており、その中で特に印象に残ったのは、「生命保険の保険料の合計額は、給与の手取りの3〜5%まで」というアドバイスになります。

このくらいが良い理由について出口さんは、「今の時代は昔と違い、所得が下がっていく可能性がある」、また「このくらいだったら所得が下がっても、そんなに困らない」と説明しておりました。

(3)手数料がいくらかを質問してみる
銀行などの金融機関が、顧客のニーズに合っていない、手数料の高い商品(例えば「外貨建て保険」)を勧めている事が、昨年あたりから問題になっており、これについて6月1日のブログで紹介しました。

しかし「クローズアップ現代+」を見ると、今でも同じような事が続けられているとわかり、あまり改善されていないようです。

そのため消費者は自衛策を考える必要があり、保険アナリストの植村信保さんは、「健康保険や厚生年金保険などの社会保険に加えて、どうしてこの商品への加入を勧めるのですか?」と質問してみるのが、自衛策になるとアドバイスしておりました。

つまり消費者の側が、強制加入となる社会保険のみでは足りない保障だけが欲しいと主張する事で、必要のない生命保険に加入するのを防げるという訳です。

またライフネット生命の創業者である出口治明さんは、「手数料はいくらですか?」と質問してみるのが、自衛策になるとアドバイスしておりました。

このような消費者が増えたら、高い手数料を得るために、顧客のニーズに合っていない商品を勧めるという事は、少なくなっていくのかもしれません。
posted by FPきむ at 20:06 | 民間保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする