2017年04月03日

平成30年(2018年)4月から、標準生命表が11年ぶりに改定へ

平成29年(2017年)3月29日の朝日新聞を読んでいたら、死亡保険、来春に値下げか 生保保険料の算出基準改定へと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『生命保険各社が商品の保険料を決める際の基準となる「標準生命表」が来春、11年ぶりに改定される見通しとなった。長生きする人が増えたことを反映するため。

来春から終身の死亡保険料は値下がりする一方、医療保険は値上がりする方向で保険料が変わりそうだ。

標準生命表は、平均余命などを男女別、年齢別にまとめたもの。生保の契約者のデータをもとに保険商品設計の専門家でつくる「日本アクチュアリー会」がまとめている。

標準生命表の数値より長生きする人が増え、実態とのずれが大きくなったため、同会は2007年以来11年ぶりに改定する方針を固めた。来年4月以降に適用する標準生命表を月内にもまとめる。

関係者によると、新しい標準生命表をもとに商品設計をやり直した場合、契約者が死亡する事例が減って保険会社が支払う死亡保険金が少なくてすむため、死亡保障は値下げされる見通しだ。

いまの保険料と比べ定期保険なら最大で25%、終身保険なら5%ほど値下げされる計算となる。

一方、終身医療保険は3〜5%ほどの値上げとなりそうだ。契約者が長生きすることで、保険会社が支払う保険金が増えるため』

以上のようになりますが、生命保険会社が加入者から徴収する保険料は、「予定死亡率」、「予定事業率」、「予定利率」という、3つの予定率を元に算出されているのです。

(A)予定死亡率
性別、年齢別に毎年およそ何人が死亡して、何人が生き残るかは、日本アクチュアリー会が作製している「標準生命表」で予測ができ、この標準生命表を元に予測した死亡率を、「予定死亡率」と言います。

(B)予定事業率
生命保険会社の事業に必要な経費(従業員の給与、家賃など)を、あらかじめ予測したものを、「予定事業率」と言います。

(C)予定利率
生命保険会社は加入者から徴収した保険料の一部を、国内外の国債や株式などの市場で運用して、利益を上げております。

こういった国債や株式などの運用を通じて、生命保険会社が得られる見込みの利率を、「予定利率」と言います。

以上のようになりますが、このうちの(A)の予定死亡率と(B)の予定事業率は、引き上げされると保険料は値上げされ、引き下げされると保険料は値下げされます。

この理由として(A)の引き上げは、死亡保険金の支払いの増加につながり、(B)の引き上げは、事業の経費の増加につながるので、保険料の値上げで補う必要があるからです。

また(A)の引き下げは、死亡保険金の支払いの減少につながり、(B)の引き下げは、事業の経費の減少につながるので、保険料を値下げするだけの余裕が生まれるからです。

今回の記事のように、生命保険の保険料を値下げするのは、長生きする人が増えた事により、(A)の予定死亡率が引き下げされるからになります。

その一方で(C)の予定利率は逆で、予定利率が引き上げされると保険料は値下げされ、引き下げされると保険料は値上げされます。

この理由として(C)の引き上げは、国債や株式などでの運用による利益の増加につながるので、保険料を値下げするだけの余裕が生まれるからです。

また(C)の引き下げは、国債や株式などでの運用による利益の減少につながるので、運用での利益が減った分は、保険料の値上げで補う必要があるからです。

ところで平成29年(2017年)4月から、生命保険の保険料が値上げされております。

この理由としては日本銀行が導入したマイナス金利政策により、生命保険会社は特に日本国債の運用で、利益を上げられなくなっているため、(C)の予定利率を引き下げしたからです。

なお定期保険、収入保障保険などの「掛け捨て型保険」より、終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険などの「貯蓄型保険」の方が、保険料の値上げ幅が大きくなっております。

この理由として解約時や満期時に、「解約返戻金」や「満期保険金」を支払う必要のない掛け捨て型保険は、これらの支払いのためのお金を、準備しておく必要がありません。

そのため掛け捨て型保険は貯蓄型保険より、運用に回るお金が少ないので、予定利率の引き下げによる影響を受けにくいのです。

このように平成29年(2017年)4月時点で、定期保険などの掛け捨て型保険は、終身保険などの貯蓄型保険より、保険料の面で有利な展開になっております。

またこの記事の中には、「いまの保険料と比べ定期保険なら最大で25%、終身保険なら5%ほど値下げされる計算となる」と記載されているので、平成20年(2018年)4月以降は、更に有利な展開になるかもしれません。
posted by FPきむ at 20:04 | 民間保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする