2024年04月02日

日経平均の上昇トレンドが終わると、協会けんぽの黒字記録が途切れる

令和5年(2023年)7月7日のNHK NEWS WEBを読んでいたら、「協会けんぽ」決算 4300億円余の黒字 賃金伸びたことなどからと題した、次のような記事が掲載されていました。

『中小企業の従業員などが加入する医療保険「協会けんぽ」の昨年度・令和4年度の決算は、被保険者の賃金が伸び、保険料収入が増えたことなどから4300億円余りの黒字となりました。

ただ、後期高齢者医療制度への支援金の拠出が今後増加する見通しで、財政状況は楽観できないとしています。

中小企業の従業員や家族などおよそ4000万人が加入する「協会けんぽ」を運営する全国健康保険協会は、昨年度の決算を発表しました。それによりますと、収入は前の年度より1813億円増えて11兆3093億円でした。

コロナ禍から経済が回復する中、被保険者の月給の伸び率が2008年の運営開始以降、最も高い2%となり、それに伴って保険料収入が増えたためとしています。

ただ収入の内、1兆2500億円程度は国からの補助となっています。一方、支出は10兆8774億円で前の年度より486億円増えました。

保険給付費は前の年度より増加したものの、令和2年度分の後期高齢者医療制度への支援金がコロナによる受診控えで一部返還されたため、全体の支出は抑えられたということです。この結果、4319億円の黒字となりました。黒字は13年連続です。

全国健康保険協会は「高齢化の進展で、後期高齢者医療制度への支援金の拠出が今後増加する見通しで、財政状況は楽観できない」としています』

以上のようになりますが、この記事の中に記載されているように、協会けんぽの令和4年(2022年)度の決算は、4,300億円余りの黒字になったようです。

しかも13年連続の黒字だったので、令和5年(2023年)度の決算でも黒字記録を更新して14年連続になるのかが、当面の焦点になりそうな感じです。

社会保険(健康保険、厚生年金保険)の保険料は、これに加入している方の給与(月給、賞与)に、それぞれの保険料率を乗じて算出します。

そのため賃上げが実施されて、健康保険に加入している方の給与が増えると、協会けんぽの保険料収入が増えて、財政が改善されるのです。

実際のところ冒頭で紹介した記事は、「被保険者の賃金が伸び、保険料収入が増えたこと」が、決算が良い結果になった要因だと説明しています。

令和5年(2023年)3月頃に実施された春闘では、前年比で4%近い賃上げが実施されています。

こういった点から考えると、令和5年(2023年)度の決算でも黒字記録を更新して14年連続になるのは、ほぼ間違いないと推測されます。

ところで最近は日経平均がすごい勢いで上昇しているため、今から約35年前のバブル時代に付けた、3万8,915円87銭という史上最高値を更新しました。

日経平均について改めて調べてみると、平成21年(2009年)3月10日にバブル崩壊後の最安値となる、7,054円98銭を付けています。

ここが現在の上昇トレンドの始まりと考えると、今年で15年目になるのです。

協会けんぽの黒字記録は14年連続になりそうなので、日経平均の上昇トレンドが始まった直後に、協会けんぽの黒字記録が始まっているのです。

また日経平均の上昇を勢いづけたのは、平成25年(2013年)3月に日銀の総裁になった黒田東彦氏が実施した、異次元緩和政策ではないかと思います。

この異次元緩和政策が日経平均の上昇を勢いづけたのは、日経平均の値動きに連動するETFを日銀が購入して株価を下支えするという、世界でも異例の金融政策だったからです。

当初から日銀が市場の機構を歪めているという批判があったため、令和6年(2024年)3月19日に実施された日銀の金融政策決定会合では、もうETFを購入しない事が決まりました。

こういった日銀の政策変更などを受けて、日経平均の上昇トレンドが終わると、協会けんぽの黒字記録が途切れる可能性があります。

その理由としては上記のように、日経平均の上昇トレンドが始まった直後に、協会けんぽの黒字記録が始まっているため、両者の間には何らかの因果関係があるように見えるからです。

株価は景気の先行指標と言われているため、例えば「日経平均の上昇トレンドの終わり→景気後退→賃下げ→保険料収入の減少」という流れで、黒字記録が途切れるかもしれません。

逆に考えると日経平均が上昇している間は、大企業の経営者は強気になり、労働者側の賃上げ要求に応じてくれるため、協会けんぽの黒字記録は継続できる可能性があります。
posted by FPきむ at 20:45 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月03日

岸田首相はセクシー小泉が提言した「こども保険」を教訓にしていない

令和6年(2024年)2月23日の日刊ゲンダイを読んでいたら、岸田首相またウソ「子育て支援金の負担額は1人500円」→加藤鮎子こども相「1000円を超える」と題した、次のような記事が掲載されていました。

『岸田首相の少子化対策の目玉「子ども・子育て支援金」。岸田は3.6兆円の財源のうち1兆円を「公的医療保険に上乗せして1人あたり月平均500円弱を負担していただく」「歳出改革と賃上げで、実質的な負担は生じない」と軽〜く言ってのけたが、22日の国会でウソがばれた。

衆院予算委員会で加藤鮎子こども政策相が「1人あたりの負担額が月1000円を超える可能性がある。所得や保険制度の種類に応じて変わってくる」「500円弱は平均だ」と答弁。

そもそも子ども対策に医療保険を充てること自体、財政上はトンチンカンなことで、財務省に入れ知恵された岸田首相は「賃上げで負担はチャラ」とゴマカしていた。

民間シンクタンクの試算では大手健保組合の会社員の負担は月額850円、個人事業主(国民健康保険)だと月額750円の負担増になる。子育て世帯はその分の支援金は減ることになる。

岸田首相は「異次元の少子化対策だ」と言うが、まったくの低次元。相変わらずウソでゴマカそうとしているが、100回ウソをつこうが101回ウソをつこうが関係ないんだろう』

以上のようになりますが、この日刊ゲンダイの記事を読んでいたら、デジャヴ(一度も経験していないのに、どこかで経験したように感じること)のような気持ちになりました。

その理由として「子ども・子育て支援金」は、平成29年(2017年)3月に小泉進次郎議員などの若手議員が提言した「こども保険」と、内容が似ているからです。

特に似ている点は少子化対策の財源を、税金として徴収するのではなく、保険料に上乗せして徴収する点です。

岸田首相は少子化対策の財源になる「子ども・子育て支援金」を、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険の保険料に上乗せして、令和8年(2026年)4月から徴収する予定のようです。

一方で小泉進次郎議員は「こども保険」から支給される「こども保険給付金(月5,000円程度)」の財源を、国民年金や厚生年金保険などの公的年金の保険料に上乗せして、徴収すると説明していました。

この点は両者の大きな違いになりますが、現役世代であれば公的医療保険と公的年金の両者に加入している場合が多いため、どちらに上乗せになっても、ほとんど変わりがないのです。

もうひとつの大きな違いとしては、少子化対策のために国民に対して負担を求める金額です。

小泉進次郎議員は月160円くらいと説明していましたが、岸田首相は月500円くらいと説明しているため、岸田首相の方が負担を求める金額が多いのです。

しかも冒頭で紹介した記事によると加藤鮎子こども政策相は、月500円というのは平均額であり、月1,000円を超える方もいると説明しているのです。

「こども保険」を提言した当時の小泉進次郎議員は、自民党の農林部会長という役職に就いていたと思います。

つまり環境大臣に就任した直後に、「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールでセクシーでなければならない」という迷言を発し、セクシー小泉という愛称が付く前なのです。

またレジ袋の有料化という愚策を実施する前なので、国民に対して非常に人気があったのです。

そんな人気のあった小泉進次郎議員でさえも、国民やマスコミから大きな批判を受けて、月160円の負担増を実現できなかったのです。

こういった点から考えると支持率の低迷している岸田首相が、月500円〜1,000円くらいの負担増を実現できるとは思えません。

それ以前に冒頭で紹介した記事の中に記載されているように、少子化対策の財源を公的医療保険の保険料に上乗せして徴収するのは、トンチンカンな発想なのです。

国民が公的医療保険の保険料を負担している主な理由は、病気やケガで診療を受けた時に、医療費の1割〜3割という自己負担で済ませるためです。

つまり将来的な医療費の自己負担を軽減するために、公的医療保険の保険料を負担しているのです。

そのため公的医療保険の保険料と同じように徴収するものを、医療費の自己負担を軽減する事以外で使うのは、保険の原理に反したトンチンカンな発想なのです。

これらを総合すると岸田首相は、小泉進次郎議員が提言した「こども保険」を、教訓にしていないような印象を受けます。

また今のままだと岸田首相は、令和6年(2024年)秋に実施される自民党の総裁選挙に勝てないため、「子ども・子育て支援金」を実施するのか否かは、次の首相が判断すると思うのです。
posted by FPきむ at 20:14 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする