2022年09月01日

「高額療養費は廃止」というガセネタで、マスコミが不安を煽っている

令和4年(2022年)7月27日の毎日新聞を読んでいたら、高額医療費負担、財務省「廃止を」 省庁の無駄、予算執行調査と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『財務省は26日、各省庁の事業の無駄を調べる予算執行調査の結果を発表した。

75歳未満の自営業者や無職の人が加入する国民健康保険で、1カ月当たり80万円を超える高額な医療費が発生した場合に超過部分の一部を国が負担する制度について「廃止に向けた道筋を工程化すべきだ」とした。

この制度は、全国の市区町村が国保の運営主体だった時、高額医療が発生すると規模の小さな自治体では大きな財政負担が生じる恐れがあったため、影響を緩和させる目的があった。

運営主体は2018年度、財政安定化の狙いから都道府県に移された。財務省は廃止を提言した理由として、市区町村の財政を脅かす制度開始当初の懸念はなくなっているためだと説明した。

制度に充てる22年度の国の予算は920億円を計上。高齢化や医療の高度化を背景に増加傾向にある。財務省はまず80万円としている基準額を引き上げ、予算規模を大幅に縮減すべきだとした』

以上のようになりますが、いずれの公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療など)に加入している場合であっても、「高額療養費」を利用できます。

この高額療養費とは同一月(1日から末日)に支払った、医療費の自己負担の合計が、年齢や年収によって決まっている、自己負担限度額を超えた場合には、その超えた部分が還付される制度です。

また健康保険証の登録を済ませたマイナンバーカード、いわゆるマイナ保険証を使える病院などで、これを使用した場合には、医療費の支払いは自己負担限度額までになります。

例えば年齢が70歳未満で、年収が370〜770万円くらいの方が、入院して手術を受け、医療費が100万円かかった場合、自己負担限度額は8万7,430円になります。

一方で例えば年齢が70歳以上で、年収が156〜370万円くらいの方が、同様の条件の手術を受けた場合、自己負担限度額は5万7,600円になります。

このように高額療養費がある事によって、入院した際などの医療費の自己負担を、かなり抑えられるのです。

そのため高額療養費があるか否かは、各人の生活に対して、大きな影響を与えると思います。

また最近は高額療養費という制度を知っている方が、かなり増えてきたという印象があります。

こういった事情があるため、財務省は高額療養費の廃止を検討しているというガセネタで不安を煽り、注目を集めようとしているマスコミがいるのです。

しかし冒頭で紹介した記事を読んでみると、財務省が廃止を検討しているのは高額療養費ではなく、高額医療費負担金だとわかります。

この高額医療費負担金とは高額な医療費の負担が発生した市区町村の、財政の負担を和らげるために創設された制度です。

具体的には1件あたり80万円を超えるレセプトが、高額医療費負担金の支給対象になります。

また財務省が高額医療費負担金の廃止を検討している理由は、国民健康保険の運営主体が平成30年(2018年)度から、都道府県(従来は市区町村)に変わったので、財政が安定化したからのようです。

将来的に高額医療費負担金が廃止された場合、国が負担していた分を都道府県が賄う必要があるため、その分だけ財政の負担になります。

こういった負担増によって、都道府県が実施している住民サービスの一部が、廃止や縮小する可能性があると思います。

ただ廃止や縮小する住民サービスの中に、高額療養費は含まれないと予想しているのです。

そのように考える理由として、高額療養費の制度内容を決めるのは厚生労働省であり、都道府県ではないからです。

また高額療養費は健康保険や後期高齢者医療などの、他の公的医療保険にも存在しているため、国民健康保険だけ高額療養費を廃止や縮小したら、不平等になってしまうからです。

こういった点から考えると、もし高額療養費を見直しするなら、すべての公的医療保険の高額療養費を、セットで見直しするはずです。

いずれにしろ財務省が廃止を検討しているのは、高額療養費ではなく高額医療費負担金になるため、高額療養費は廃止というガセネタで、不安を煽るのは止めて欲しいと思います。
posted by FPきむ at 20:29 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月02日

5類変更でコロナ保険の必要性が高まるのに、販売停止が相次いでいる

新型コロナの感染拡大が始まってから、様々な保険会社がコロナ保険の販売を開始しました。

話題性や必要性があったため、契約者が急増していたのですが、ここ最近は販売停止が相次いでいるのです。

例えば令和4年(2022年)2月3日の朝日新聞には、コロナ保険、販売停止に 「感染拡大、想定を大幅に超過」大樹生命と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『日本生命保険の子会社の大樹生命(旧三井生命)は3日、新型コロナ感染などで入院した際に一時金10万円が受け取れる医療保険「おまもリーフ」の販売を4日以降、停止すると発表した。

昨年12月に発売し、月300円台の保険料で10万円が受け取れる仕組みだったが、「感染者数が当初の想定を大幅に超過したため」としている。販売停止後も既契約者への保障は続ける。再販売のめどは立っていないという』

また令和4年(2022年)4月1日の日本経済新聞には、ジャストインケース、コロナ保険の販売休止 感染拡大でと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『保険スタートアップのジャストインケース(東京・中央)は1日、新型コロナウイルス保険の販売を休止したと発表した。3月31日夕方で販売をやめた。販売を再開する時期は未定という。

想定を超えて感染者が増え、保険収支が大幅に悪化すると判断した。すでに販売した契約者への補償は継続する』

この辺りで販売停止は終わるのかと思っていたら、これまでの感染拡大を上回る第7波に対する懸念より、販売停止に踏み切る保険会社が再び出てきました。

例えば令和4年(2022年)7月11日の日本経済新聞には、第一生命系、コロナ保険の新規販売を停止と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『第一生命保険の子会社である第一スマート少額短期保険は11日、新型コロナウイルスなどの感染症と診断されると10万円の一時金を給付する保険商品の引き受けを同日朝に止めたと発表した。

足元で感染者が急増し、商品を維持するのが難しくなっているため。既存の契約については保障を続けるとしている。

同社は昨年4月に取り扱いを始め、感染の状況に応じて保険料が変動するしくみを採っている。当初の保険料は980円だったが、今年7月の契約分は3330円。

これまでに約20万人が契約したという。10日の感染者は1週間前の2.3倍にあたる5万4000人を超え、「感染第7波」への懸念が高まってきた』

以上のようになりますが、いずれの保険会社についても、予想よりも感染者が増えたため、コロナ保険を販売停止にしたようです。

こういった状況を見てみると生命保険や医療保険は、確率に基づいて作られている事が、改めてわかるのです。

ただ確率のような難しい話をしても、消費者は興味を持ってくれないので、有名な俳優さんなどをCMに起用にして、消費者の情に訴えていくのだと思います。

例えば〇〇保険に加入すると、あなたや亡くなった後の家族が、こんな安心を得られますよ!という感じです。

コロナ保険に関しては第一スマート少額短期保険のように、安心を得るための保険料が上昇していき、ついには安心を得たいと思っている方を、拒否せざるを得ない状況に陥りました。

この状況を残念に思っている方がいるかもしれませんが、個人的にはあまり残念ではありません。

その理由として新型コロナに関しては、医療費、入院費、宿泊施設代、食事代などは基本的に、公費(税金)で賄われるからです。

つまり他の病気やケガになった時と違って、医療費の1〜3割を自己負担する必要はないのです。

ただ入院した時に必要となる日用品(タオル、パジャマなど)については、自己負担で購入する必要があります。

また一定以上の所得がある方については、月額で上限が2万円となる自己負担を、求められる場合があるようです。

実際のところは多くの方が公費により、自己負担なしで新型コロナの治療を受けられるのですが、こういった状況が変わるかもしれません。

その理由として岸田総理が新型コロナの感染症法上の扱いを、2類相当から5類に見直しする案について言及したからです。

もし5類に変わった場合には、公費による援助がなくなるため、自己負担が増えてしまいます。

そうなると今までよりも、コロナ保険の必要性が高まると思うのですが、様々な保険会社が相次いで販売停止にしているのです。

第7波の終息が遅くなれば、コロナ保険を販売停止にする保険会社は更に増えると思うので、すでに加入している医療保険(医療特約)を、上手く活用するしかないと思います。
posted by FPきむ at 20:11 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする