2020年06月01日

ウーバーイーツの配達員とヤクルトレディーは、保険と税金の弱者である

平成31年(2019年)2月24日のビジネスジャーナルを読んでいたら、ウーバーイーツ配送員、“自由な働き方”の危険な内実…事故時も労災下りずバイト以下?と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『杉浦氏いわく、個人事業主でも労災保険に“特別加入”できる条件があるとのことだが、残念ながらUber Eatsの配達パートナーには当てはまらないのだという。

「労働者を雇っていない個人事業主でも、建設業や林業の“一人親方”や、漁船による自営漁業者などは、特例として労災保険に入ることができます。

Uber Eatsに近い区分ですと、個人タクシー業者や個人貨物運送業者といった、“自動車を使用して行う旅客または貨物を運送する事業”も特別加入の範囲内。

13年4月1日から原動機付自転車(=総排気量125cc以下のバイク)の使用も認められるようになったものの、通常の自転車での運送に関しては、現在の労災保険の特別加入の範囲にはありません。

郵便局の配達や寿司やそばの出前など、Uber Eats以外にも自転車での配達サービスを行っているところはありますが、その配達員たちが仮に事故を起こしても、彼らは会社に雇われているので労災保険が下ります。

だからこそ今まで、自転車と労災保険との関係はあまり大きな問題にならなかったのでしょう。もともとUberは、自転車で配達するとどうなるのかをどこまで想定していたのか、気になるところですね。

もっとも、Uber Eatsのような自転車を使った事業が次第に増えていけば、行政も特別加入者の範囲を広げざるを得なくなるはずです。ただ、Uber Eatsに、副業として取り組んでいる人が多い今のままでは、状況は何も変わらないのではないでしょうか』

以上のようになりますが、ウーバーイーツの配達員(配達パートナー)やヤクルトレディーは、「個人事業主」という取り扱いになります。

そのため「労働者」として取り扱われるパートやアルバイトとは、大きな違いがあるのです。

その違いの中で注意すべきものを考えてみると、次のような3つになると思います。

(1)個人事業主は労災保険に加入できない
法人(株式会社など)・個人を問わず、 労働者をひとりでも使用している事業所は、農林水産などの一部の事業を除き、労働保険(労災保険、雇用保険)に加入しなければなりません。

また事業所が労働保険に加入している場合、そこで働く方は役員などの一部の者を除き、前者の労災保険に加入します。

これに加入していると、業務上または通勤途上の病気、ケガ、障害、死亡に対して、各種の保険給付が支給されるうえに、健康保険や国民健康保険と違って、2割〜3割の自己負担がないのです。

後者の雇用保険に加入している場合、給与からこの保険料が控除されますが、労災保険の保険料は勤務先が全額を負担するため、給与からは何も控除されません。

そのため自覚のない方がいるのですが、パートやアルバイトの非正規労働者であっても、労災保険に加入しているのです。

一方でウーバーイーツの配達員やヤクルトレディーは、労働者ではなく個人事業主として取り扱われるため、労災保険には加入できません。

こういった点で保険弱者だと思うのですが、上記のように平成25年(2013年)4月1日からは、業務に原動機付自転車を使っている方も、労災保険に特別加入できるようになったので、状況は以前より改善されております。

ただパートやアルバイトと違って、自分で保険料を負担する必要があり、また月々の組合費の負担などもあるため、加入要件を満たしていても、手続きをしていない方は、かなり多いと思います。

なお労災保険に加入できないというデメリットを補うため、ウーバーイーツは「傷害補償制度」を導入し、ヤクルトは「一般社団法人ヤクルト同仁協会」を設立しているようです。

ただウーバーイーツの傷害補償制度を見てみると、見舞金として一時金が支給される場合が多いため、一時金だけでなく年金も支給される労災保険とは、大きな違いがあると思います。

(2)個人事業主は雇用保険に加入できない
事業所が労働保険に加入している場合、パートやアルバイトなどの非正規労働者でも、「1週間当たりの所定労働時間が20時間以上」、「31日以上の雇用見込みがある」、「学生ではない」という要件をすべて満たすと、雇用保険に加入します。

一方でウーバーイーツの配達員やヤクルトレディーは、労働者ではなく個人事業主として取り扱われるため、雇用保険には加入できません。

また労災保険は上記のように、特別加入の制度がありますが、雇用保険には特別加入の制度がないのです。

ですから仕事を辞めた時に、65歳未満の雇用保険の加入者に支給される「基本手当」、いわゆる「失業手当」を受給できないため、保険弱者だと思うのです。

ただ副業でウーバーイーツの配達員や、ヤクルトレディーをやっている場合には、雇用保険に加入できない事が、デメリットにならない可能性があります。

その理由として雇用保険には二重加入できないため、本業の勤務先で雇用保険に加入している場合、副業の勤務先では雇用保険に加入できないからです。

また副業の仕事を辞めても、本業の仕事を続けている場合には、失業状態ではないため、失業手当を受給できないからです。

(3)個人事業主は自分で確定申告をする必要がある
パートやアルバイトであれば原則として、勤務先の年末調整を受けられるため、自分で確定申告をする必要はありません。

一方でウーバーイーツの配達員やヤクルトレディーは、勤務先の年末調整を受けられないので、収入が一定額以上に達した場合には、自分で確定申告をする必要があります。

しかし税金などのお金の知識について学ぶ機会は、現在の日本ではほとんどないと思います。

また税理士に依頼すると費用が発生するため、ある程度の収入がないと割に合わないのです。

このように確定申告などの税金の手続きを、自分でやるのが大変なうえに、税理士に依頼するのは費用の面で難しいのですから、ウーバーイーツの配達員やヤクルトレディーは、税金弱者のように思えるのです。

なおヤクルトレディーについては、確定申告のサポートを受けられるようなので、完全に自分でやる訳ではないようです。
posted by FPきむ at 20:19 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月24日

「コロナ助け合い保険」は旅行保険と違って、止める時期の判断が難しい

令和2年(2020年)5月5日の保険市場TIMSを読んでいたら、justInCase、シンプル医療ほけん「コロナ助け合い保険」販売開始と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『株式会社justInCaseおよび株式会社justInCaseTechnologiesは2020年5月1日、「コロナ助け合い保険」を開発し、販売開始した。

これは最大限安価な保険料でシンプルな保障を備えられる、シンプル医療ほけん。手続きはスマホやPCからで完結することができ、人との接触を回避できる。

同保険では、1泊2日以上の入院に対して入院一時金10万円を保障する上、新型コロナウイルス罹患時の自宅療養にも対応するとのこと。

保険料は安価におさえてあり、月払いのみとなっており、クレジットカードでの決済完了後、すぐに保障が開始される。

同商品は、新型コロナウイルス感染症拡大によって不安を抱える全ての人に向けて、保険会社としてできることを考え、社員全員一致で開発を決意したというもの。同保険の収益から必要経費を引いた全額を医療機関に寄付するとしている。

経済的に苦しい状況の人々や、感染リスクを背負って業務にあたっている人々、離れていて会えない大切な人に向けてのプレゼントなど、多くの人に利用してもらいたいとのこと』

以上のようになりますが、新型コロナウイルスが日本国内で問題になり始めたのは、おそらく1月の後半くらいではないかと思います。

それからわずか数ヶ月で、新しい保険を開発して販売するのは、すごくスピード感があると思いました。

コロナ助け合い保険を開発した、株式会社justInCaseについて調べてみると、平成28年(2016年)12月に設立された、「少額短期保険業者」でした。

この少額短期保険業者とは、一定の事業規模の範囲内において、保険金額が「少額」、保険期間が「短期」(生保医療分野は1年以内、損保分野は2年以内)の、保障性商品だけを引き受ける保険業者になります。

そのためコロナ助け合い保険は、入院一時金が10万円で、保険期間は1年(更新が可能であり、更新後は入院一時金を再び受け取れる)という、少額で短期の保険です。

また保険金額が少額になるため、男性の保険料は月580円〜730円、女性の保険料は月560円〜770円と、かなりお安くなっております。

ただ新規契約できるのは、15歳から64歳になるため、65歳以上の方は加入できません。

このような特徴のあるコロナ助け合い保険ですが、次のような点に注意する必要があると思います。

(1)新型コロナウイルスに特化した医療保険ではない
コロナ助け合い保険という名称を初めて見た時、新型コロナウイルスに感染して入院した場合に、10万円の入院一時金が支払われると思いました。

しかし実際はケガまたは病気で、1泊2日以上入院した場合に、入院一時金が支払われるため、ケガや病気の種類は問わないようです。

そうなるとコロナ助け合い保険の保障内容は、一般的な医療保険とあまり変わりがないと思いました。

株式会社justInCaseのウェブサイトを見てみると、コロナ助け合い保険の正式名称は、「総合医療保険」と記載されているため、やはり一般的な医療保険のようです。

ただ新型コロナウイルス感染症により、自宅や臨時施設などで医師の治療を受けた際にも、入院一時金が支払われます。

この辺りは一般的な医療保険と違いますが、新型コロナウイルスの感染者が減少すれば、医療機関のベッドに空きが出るので、自宅や臨時施設などで医師の治療を受ける機会は、減ってくるような気がするのです。

(2)入院一時金10万円の価値が評価できない
入院期間が長期に及んだ場合には、多額の費用がかかるため、入院一時金の10万円を受け取っても、まったく足りないと思います。

一方で数日の入院で済んだ場合には、あまり費用がかからないため、入院一時金の10万円を受け取れば、十分だと思います。

新型コロナウイルス感染症は新しい病気のため、前者の長期に該当するのか、それとも後者の短期に該当するのかが、よくわかりません。

市区町村などが入院日数の目安を発表しておりますが、暫定値や中国でのデータを元に算出したものなので、あまり信頼できないと思います。

また最近は退院した後に、なぜかまた陽性になってしまい、再び入院する事例が発生しているのです。

そのため10万円という入院一時金の価値を評価するのが、とても難しいと思うのです。

(3)旅行保険と違って止める時期の判断が難しい
コロナ助け合い保険から支払われるのは、入院一時金の10万円のみになるようです。

そのため一般的な医療保険の上乗せとして、新型コロナウイルスが収束するまでの期間限定で、コロナ助け合い保険に加入した方が良いと思います。

例えばどこかに旅行する時に、自宅を出発してから帰宅まで保障が続く、「旅行保険」に加入するような感じです。

ただコロナ助け合い保険は旅行保険と違って、保障を止める時期の判断が難しいと思います。

その理由として感染が収束したと思ったら、感染拡大の第2派や第3派が、やってくる可能性があるからです。

そのうえワクチンが開発されたとしても、生産能力に限界があるため、世界中に行き渡るまでに、かなりの期間がかかるからです。

新型コロナウイルス感染症以外でも、入院一時金の10万円は支払われるため、ずっと加入しても良いのですが、年齢が上がるごとに保険料が上がる点に、注意する必要があります。

またずっと加入する予定なら、もっと保障が厚い医療保険に、最初から加入した方が良いと思うのです。
posted by FPきむ at 20:19 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする