2015年05月01日

退職した後に健康保険証を返却しないとどうなるか?

「健康保険証の未返却問題とそれに関する勘違いとは」と題する記事を、10月27日のブログに記載した後、次のようなキーワードで検索して、このブログに辿り着いた方が急増しております。

・退職した後に、健康保険証を返却しないとどうなるか?(健康保険証を返却したくない)

・誤って退職した後に、健康保険証を使ってしまうとどうなるのか?(誤って期限の切れた、または無効の健康保険証を使ってしまうと、どうなるのか?)

個人的には後者の悩みは理解できる一方、どうして前者のような事で悩むのか理解できないのですが、これらの質問に対する回答について考えてみると、次のようになると思うのです。

(1)退職した後に健康保険証を返却しないとどうなるか?
退職した会社の社会保険手続きの担当者、その後は全国健康保険協会(協会けんぽ)または健康保険組合(組合健保)から、健康保険証を早く返却して下さいと、電話や手紙で何度も催促されます。

注:全国健康保険協会(協会けんぽ)と、健康保険組合(組合健保)の違いについては、3月28日のブログを参照して下さい。

その理由として健康保険証を使用できるのは、退職日までになっているからであり、誤って本来は使用できない健康保険証を、病院などの窓口に提出されてしまうと、(2)のような面倒な事態になってしまうからです。

また12月6日のブログに記載しましたように、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険には、重複して加入できないようになっております。

つまり退職した会社が健康保険証を添付して、資格喪失届を全国健康保険協会や健康保険組合に提出しないと、原則として退職した後に、国民健康保険に加入したり、任意継続被保険者(3月27日のブログを参照)になったりする事ができないのです。

ですからいつまでも健康保険証を返却しないでいると、どの公的医療保険にもきちんと加入していないという、宙ぶらりんな状態に置かれてしまいますが、そういった状態の時に病気やケガになると、治療費の全額を自腹で支払う事になります。

もちろん国民健康保険に加入したり、任意継続被保険者になったりした後に請求すれば、自己負担(医療費の1割〜3割)を除く、残りの9割〜7割は還付してもらえるのですが、手術をすれば治療費は数百万円に達しますので、一時的にせよ失業した方が、治療費の全額を自腹で支払うのは大変な事です。

ですからできるだけ早めに、健康保険証を返却した方が良いのですが、会社に行くのが気まずいのであれば、郵送で返却すれば良いのです。

注:会社にきちんと届いているか不安に感じる方は、書留郵便を利用したり、宅急便を利用したりします。

なお社会保険手続きの担当者は人事総務部や、総務部に所属している場合が多いので、そういった部署宛に送れば、資格喪失の手続きがスムーズに進むと思います。

ところでインターネットの質問サイトを見ていたら、退職した会社と労働条件などでトラブルになっているので、健康保険証を返却したくない、もしくは健康保険証を交渉の材料にしたいなどと、記載されているのを見かけました。

そんな事をするのは絶対に止めた方が良いと思ったのですが、健康保険証が返却されなくても会社に不利益はないし、上記のように自分の側に、新たな公的医療保険に加入できないという、不利益が発生するからです。

ですから健康保険証は早く返却して、労働条件などのトラブルについては、労働基準監督署などの機関に相談する事をおすすめします。

(2)誤って退職した後に健康保険証を使ってしまった
病院などの窓口で働いている方は、患者さんが提出した健康保険証が有効なものか、それとも退職して無効になっているものかを、その場で判別する事はできません。

ですから有効か無効かを問わず、自己負担となる医療費の1割〜3割だけを、患者さんに請求します。

そのため「退職しても健康保険証は使える」と、勘違いされる方がいるのですが、病院などが全国健康保険協会または健康保険組合に、残りの9割〜7割を請求した時に、無効になっている健康保険証を使った事が発覚します。

ただ全国健康保険協会または健康保険組合は、上記の資格喪失届が提出されていないと、退職して健康保険証が無効になっている事に気が付きません。

そのため発覚するまで、数ヶ月はかかってしまう場合が多いのですが、退職した会社は健康保険証の返却が遅いと、健康保険証の代わりに「健康保険 被保険者証回収不能・滅失届」という書類を添付して、資格喪失届を提出する事になるので、いずれは必ず発覚します。

その後は全国健康保険協会または健康保険組合から、無効になっている健康保険証を使った者に対して、医療費の9割〜7割の請求が行なわれますが、全国健康保険協会のホームページを見ると、次のように記載されております。

『繰り返し請求しても、返還いただけない場合は、裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収を行っております』

ただ(1)に記載しましたように、国民健康保険に加入したり、任意継続被保険者になったりした後に請求すれば、この9割〜7割は還付してもらえます。

つまり最終的な自己負担は医療費の1割〜3割で済みますが、もし少額訴訟等の法的手続を経れば、その費用を請求される可能性がありますので、やはり早めに返却した方が良いのです。

追記:
「健康保険証を返却しなくて良い場合」というキーワードで検索して、このページに辿り着いた方を見かけましたが、そんな場合はありませんので、すぐに返却して下さい。
posted by FPきむ at 20:35 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする