2017年04月21日

生命保険のプロは自社の商品ではなく、共済系か外資系に加入している



生命保険会社の営業職員の方と話をしていると、自分が販売する生命保険の保障内容、生命保険に関する税務や法律などについて、きちんと理解しているのだろうかと、疑問を感じる事があります。

このように営業職員の方が、知識不足になってしまうのは、平均勤続年数が非常に短く、必要な知識を習得する前に退職してしまう事が、原因のひとつになっているようです。

日本生命の営業職員だった後田亨さんが書いた、生命保険の「罠」を読むと、次のような平均勤続年数のデータが紹介されております。

『たとえば、2006年度版の某経済誌の保険特号集は、「ブルデンシャルのLP(ライフ・プランナー)によるコンサルティング販売は30歳代を中心とした都市部の顧客層に支持され、契約を順調に伸ばしている(中略)

ブルデンシャルのLPは歩合制にもかかわらず定着率が非常に高い。大手生保では採用2年後に大半の営業職員が退職しているのに対し同社LPは8割近く在籍している」と伝えています。

しかし、そもそも、どうして大手と「採用2年後」の数字で比較するのだろうと、私の中で引っかかっていました。たった2年間での比較です』

『「え!? たったの5年!? そんなものなんだ、それでよくも…」これは、私が、ブルデンシャル生命の営業担当者の「平均勤続年数」を知った時に、思わず発した言葉です』

『ブルデンシャルは、日本での創業から、今年で20年目を迎える会社です。したがって、最も長く在籍している人でも19年ということになります。そこを考慮しなければなりません。

それにしても、平均したら5年で退職する人の集まりが「一生涯のパートナー」とは…』

以上のようになりますが、要するに大手生保の平均勤続年数は2年程度になり、定着率が非常に高いと雑誌に紹介されている、ブルデンシャル生命のような外資系でも、平均勤続年数は5年程度のようです。

このように平均勤続年数が短くなる理由について、著者の後田さんは自身の経験を踏まえ、次のように分析しております。

『お客様の保険料を営業職員が立て替え、印鑑だけ借りて成績を計上する「不正契約」や、お客様の同意も得ずに成績計上される「架空契約」が横行することになるのです。

実際、私の最初の上司のロッカーには、「こいつ、何屋さんだろう?」と思うくらい、A4サイズほどの空き缶に、あらゆる名前の印鑑がぎっしり入っていました。

また「自爆」といって、営業担当者が自分で保険に入るのも「常識」でした…(中略)…私も転職して初めての締め切り前に、ノルマ達成の見通しが立っていなかったため、先輩に「自爆するんだよ!皆、やっているんだから!!」と詰め寄られたことがあります』

以上のようになりますが、要するにノルマの厳しさと、それを達成するために行われる「不正契約」、「架空契約」、「自爆」などが、原因になっているようです。

契約時にお世話になった営業職員が退職した場合、他の営業職員が契約を引き続きますが、生命保険の「罠」を読むと次のように、その取り扱いはあまり良くないようです。

『営業担当者が退職してしまっているが契約は続いているというケースがあります。それでも、お客様が、銀行の口座を変更したいだとか、受取人の名義を変えたいだとか、いろんなことを言ってこられます。

営業部では、そんなお客様のフォローを、他の担当者などに振ります。が、新しい担当者が、そのお客様が望む諸手続きをしても、評価するシステムがないのです。

「これも大切な経験だ」と、そんなふうに思えるのは、よほどできた人間か営業成績に余裕のある者くらいです。

営業担当者の収入の大半は、新規の契約からのものです。したがって、退職した担当者の契約を割り当てられた新しい担当者は、陰口を言いながら対応することになります』

以上のようになりますが、こういった現状を見ると、いったいどの生命保険会社に加入すれば良いのかが、まったくわからなくなってきます。

これについては著者の後田さんの、次のような経験が、ヒントになるのではないかと思うのです。

『3年ほど前のある日、私が日本生命で営業の仕事を始めて10年目を迎えようとしていた頃のことです。「ところで、ニッセイの人たちは、保険会社の人たちは、どんな保険に入っているの?」と、あるお客様がおっしゃいました…(中略)…

当時の私の上司はソニー生命、同僚は県民共済に加入していました…。

「ウチの会社の保険には、俺もカミさんも2億円ずつ入っているよ。月17万円の支払いだよ、保険料。我が家はニッセイにとって素晴らしい客だよ!」と放言する管理職もいましたが、それは、組織の成績不振の責任を取って、入らされた契約です。

つまり、保険会社の人間が「売っている保険」と「入りたい保険、入っている保険」は、まったく違っているということなのです』

以上のようになりますが、ソニー生命は元外資系なので、生命保険のプロの皆さんは自社の商品ではなく、共済系か外資系に加入しているという事になります。

共済系や外資系の満足度の高さは、3月16日のブログで紹介した「顧客満足度ランキング」で証明されているので、さすがにプロは賢い選択をしていると思いました。

いったいどの生命保険会社に加入すれば良いのか迷っている方は、こういったプロの行動を、マネすれば良いと思うのです。

またプロが内心では加入したくないと思っている生命保険に、ノルマを達成するために加入させられた方は、怒りの声を上げた方が良いと思うのです。

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2017年04月03日

平成30年(2018年)4月から、標準生命表が11年ぶりに改定へ

平成29年(2017年)3月29日の朝日新聞を読んでいたら、死亡保険、来春に値下げか 生保保険料の算出基準改定へと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『生命保険各社が商品の保険料を決める際の基準となる「標準生命表」が来春、11年ぶりに改定される見通しとなった。長生きする人が増えたことを反映するため。

来春から終身の死亡保険料は値下がりする一方、医療保険は値上がりする方向で保険料が変わりそうだ。

標準生命表は、平均余命などを男女別、年齢別にまとめたもの。生保の契約者のデータをもとに保険商品設計の専門家でつくる「日本アクチュアリー会」がまとめている。

標準生命表の数値より長生きする人が増え、実態とのずれが大きくなったため、同会は2007年以来11年ぶりに改定する方針を固めた。来年4月以降に適用する標準生命表を月内にもまとめる。

関係者によると、新しい標準生命表をもとに商品設計をやり直した場合、契約者が死亡する事例が減って保険会社が支払う死亡保険金が少なくてすむため、死亡保障は値下げされる見通しだ。

いまの保険料と比べ定期保険なら最大で25%、終身保険なら5%ほど値下げされる計算となる。

一方、終身医療保険は3〜5%ほどの値上げとなりそうだ。契約者が長生きすることで、保険会社が支払う保険金が増えるため』

以上のようになりますが、生命保険会社が加入者から徴収する保険料は、「予定死亡率」、「予定事業率」、「予定利率」という、3つの予定率を元に算出されているのです。

(A)予定死亡率
性別、年齢別に毎年およそ何人が死亡して、何人が生き残るかは、日本アクチュアリー会が作製している「標準生命表」で予測ができ、この標準生命表を元に予測した死亡率を、「予定死亡率」と言います。

(B)予定事業率
生命保険会社の事業に必要な経費(従業員の給与、家賃など)を、あらかじめ予測したものを、「予定事業率」と言います。

(C)予定利率
生命保険会社は加入者から徴収した保険料の一部を、国内外の国債や株式などの市場で運用して、利益を上げております。

こういった国債や株式などの運用を通じて、生命保険会社が得られる見込みの利率を、「予定利率」と言います。

以上のようになりますが、このうちの(A)の予定死亡率と(B)の予定事業率は、引き上げされると保険料は値上げされ、引き下げされると保険料は値下げされます。

この理由として(A)の引き上げは、死亡保険金の支払いの増加につながり、(B)の引き上げは、事業の経費の増加につながるので、保険料の値上げで補う必要があるからです。

また(A)の引き下げは、死亡保険金の支払いの減少につながり、(B)の引き下げは、事業の経費の減少につながるので、保険料を値下げするだけの余裕が生まれるからです。

今回の記事のように、生命保険の保険料を値下げするのは、長生きする人が増えた事により、(A)の予定死亡率が引き下げされるからになります。

その一方で(C)の予定利率は逆で、予定利率が引き上げされると保険料は値下げされ、引き下げされると保険料は値上げされます。

この理由として(C)の引き上げは、国債や株式などでの運用による利益の増加につながるので、保険料を値下げするだけの余裕が生まれるからです。

また(C)の引き下げは、国債や株式などでの運用による利益の減少につながるので、運用での利益が減った分は、保険料の値上げで補う必要があるからです。

ところで平成29年(2017年)4月から、生命保険の保険料が値上げされております。

この理由としては日本銀行が導入したマイナス金利政策により、生命保険会社は特に日本国債の運用で、利益を上げられなくなっているため、(C)の予定利率を引き下げしたからです。

なお定期保険、収入保障保険などの「掛け捨て型保険」より、終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険などの「貯蓄型保険」の方が、保険料の値上げ幅が大きくなっております。

この理由として解約時や満期時に、「解約返戻金」や「満期保険金」を支払う必要のない掛け捨て型保険は、これらの支払いのためのお金を、準備しておく必要がありません。

そのため掛け捨て型保険は貯蓄型保険より、運用に回るお金が少ないので、予定利率の引き下げによる影響を受けにくいのです。

このように平成29年(2017年)4月時点で、定期保険などの掛け捨て型保険は、終身保険などの貯蓄型保険より、保険料の面で有利な展開になっております。

またこの記事の中には、「いまの保険料と比べ定期保険なら最大で25%、終身保険なら5%ほど値下げされる計算となる」と記載されているので、平成20年(2018年)4月以降は、更に有利な展開になるかもしれません。

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posted by FPきむ at 20:04 | 民間保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする