2018年12月01日

お金持ちは掛け捨て型、貧乏人は積立型を選ぶという「生命保険の矛盾」



国内外の3000人の富豪に会って、お金持ちになるための秘密を探り出した著者が、選択形式でその秘密を紹介した、お金持ちになるのは、どっち!?(著:田口智隆)という本があります。

この中にお金持ちの生命保険の選び方ついて、記載している部分があるのですが、一部を紹介すると次のようになります。

『生命保険は、「掛け捨て型」と「積立型」の2つのタイプに大きく分けられます。

「掛け捨て型」は、いわゆる「定期保険」といわれる商品で、月々の支払いが少なくすむのがメリットです。

その代わり、保障期間が決まっているため、その期間内に死亡しなければ払ったお金は戻ってきません。…(中略)…

そのため「掛け捨てはもったいない。将来お金が戻ってくるほうがいい」と考える人が少なくありません。そういう人は、「積立型」の保険を選びます。

積立型である「終身保険」などの商品は、月々の保険料の支払いは高くなります。

その代わり、死亡することなく支払いが満期を迎えれば、払い込んだお金が戻ってきます。

ここで注目すべきなのは、終身保険は、いざというとき保障してくれる「保険」部分と積み立ての「貯蓄」部分の2層に分かれるということ。

結論からいうと、お金持ちになる人は、「積立型」ではなく、「掛け捨て型」の保険を選びます。

積立型の保険の貯蓄部分は、毎月コツコツと積立預金をしているようなものです。

お金を貯めるのが苦手な人にとっては、半強制的にお金が貯まっていくので、終身保険を利用したほうがいいという考え方もあります。しかし、お金持ちになる人は、「保険」と「貯蓄」を切り離して考えます。

本来、保険とは、いざというときの「リスク」を回避するためのもの。だから、「保険」部分以外のお金を保険会社に「貯蓄」するぐらいであれば、自分で投資にまわして、より大きなリターンを得たほうがいいのです』

以上のようになりますが、この部分に関する個人的な感想を述べると、次のようになっております。

(1)お金持ちより貧乏人の方が、掛け捨て型を選んだ方が良い
これを読むと積立型の終身保険の保険料は、保険部分(保険金を支払うために使われる)と、貯蓄部分(生命保険会社によって運用される)の、2層に分かれているとわかります。

それに対して掛け捨て型の定期保険の保険料は、保険部分しかないため、終身保険より保険料が安くなるのです。

またお金持ちは自分で運用をやるため、保険部分だけに限定された、掛け捨て型の定期保険を選んでいるとわかります。

ただ個人的にはお金持ちより貧乏人の方が、掛け捨て型の定期保険を選んだ方が良いと思うのです。

その理由としてお金持ちは、手持ちの資金に余裕があるため、急にまとまったお金が必要になっても、生命保険を解約する必要はありません。

しかし貧乏人は手持ちの資金に余裕がないため、急にまとまったお金が必要になった場合、生命保険を解約する可能性があります。

そうなると保険部分と貯蓄部分の両者が消滅し、またその時の健康状態によっては、新たな生命保険に加入できない場合があるのです。

一方で掛け捨て型の定期保険に加入し、運用は自分でやっておけば、生命保険を解約しないで保険部分を残し、貯蓄部分だけを使うという選択ができるのです。

このような理由があるため、お金持ちより貧乏人の方が、保険と貯蓄の分離を取り入れた方が良いと思うのですが、実際は逆という矛盾した結果のようです。

(2)半強制的にお金が貯まるのは、「積立型の保険」のメリット
著者の田口さんは積立型の終身保険を、完全に否定するのではなく、良い点もあるとしております。

それは上記のように預貯金の口座から、保険料が定期的に引き落としされるため、半強制的にお金が貯まっていく点です。

確かにその通りだと思いますが、つみたてNISAやiDeCo(個人型の確定拠出年金)についても、定期的に引き落としされるため、半強制的にお金が貯まっていきます。

それに加えてつみたてNISAやiDeCoの方が、終身保険より税制上の優遇が大きく、徴収される税金が少なくなるため、その分だけお金が貯まっていくのです。

(3)現在は著者の主張に対する、追い風が吹いている
平成25年(2013年)4月以降に日銀が、大規模な金融緩和やマイナス金利政策を実施してから、金利が低くなっているため、積立型の終身保険の貯蓄性は薄れております。

また平成30年(2018年)4月から、日本人の寿命化などを反映して、標準生命表が11年ぶりに改定されました。

これを受けて掛け捨て型の定期保険の保険料は、かなり値下げされております。

こういった状況を見ていると、保険と貯蓄は分離した方が良いという、著者の田口さんの主張に対して、追い風が吹いているような気がするのです。
posted by FPきむ at 20:09 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月21日

日本人は公的医療保険や扶養控除の使い方を、外国人から学んだ方が良い



平成30年(2018年)11月7日の朝日新聞を読んでいたら、健康保険、家族は「日本居住」限定へ 外国人材増に対応と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『外国人労働者の受け入れ拡大に向けて、厚生労働省は企業の従業員が加入する公的医療保険(健康保険)について、保険を使える扶養家族を日本国内に住む人に限る方向で検討に入った。

海外に住む家族も保険を使える今の制度のままだと、外国人労働者の増加に伴い国の医療費負担が膨らむとの懸念に対応するためだ。来年の通常国会への健康保険法改正案の提出をめざす。

企業などに勤める人は国籍に関係なく、健康保険組合や協会けんぽが運営する被用者保険に加入し、被保険者として保険料を支払う。

被保険者の配偶者、両親や祖父母、子ども、孫らは被保険者の仕送りで生計を立てているなどの条件を満たせば、海外在住で別居でも保険が適用される。

被保険者が外国人でも日本人でも、海外に住む扶養家族が来日して治療を受けた場合の自己負担は原則3割で済む。海外で治療を受けた時は、一度全額を自分で支払い、保険適用分について払い戻しが受けられる「海外療養費制度」が使える。

厚労省は昨年度約42兆円の医療費のうち、外国人の扶養家族にいくらかかったかは把握していない。

だが、自民党内などには以前から制度見直しを求める声があり、新在留資格「特定技能」を来年4月から導入するための出入国管理法改正案をきっかけに、さらに声は強まった』

以上のようになりますが、このような制度の見直しが検討されているのは、外国人の公的医療保険の悪用が、問題になっていたからです。

例えば留学だと嘘をついて、国民健康保険に加入できる、3ヶ月超の滞在ビザを取得し、その取得後に国民健康保険の保険証を入手したら、日本に滞在している間に、1割〜3割の自己負担で病気やケガの治療を受け、自国に帰っていくのです。

また例えば妊娠が発覚した後に、同じような方法により、国民健康保険の保険証を入手し、入手できたら自国に帰って出産します。

そして国民健康保険を運営する市区町村に、42万円の出産育児一時金を請求したうえで、日本には戻らずに、自国で育児を続けるのです。

このように日本の公的医療保険は、外国人に悪用されておりますから、海外に住む親族も健康保険の被扶養者にできた場合、その方が現地の病院に対して、偽の出生証明書を作成させ、出産育児一時金を請求する可能性があります。

なお有名なタレントさんの父親は、実際には診療を受けていないにもかかわらず、海外の病院に診療を受けたという証明書を作らせ、海外療養費を請求しておりました。

その病院に確認をとれば、こういった不正を防止できるかもしれませんが、言葉の問題などの理由で、十分な確認ができないのです。

またこのような不正がなかったとしても、これから増えていく外国人労働者の海外に住んでいる親族も、日本人と同様に医療費を請求できたとしたら、公的医療保険の財政を圧迫するのです。

ところで元国税調査官の大村大次郎さんが書いた、税務署員だけのヒミツの節税術という本を読むと、税務職員は普通のサラリーマンより、扶養家族が多いという話が記載されておりますが、それは次のような理由があるからです。

『税務署員は、「扶養控除」を最大限に使っているということです。扶養家族が増えれば、扶養控除が増えますからね。その分、税金が安くなるわけです。

税務署員は、どういうものが扶養控除になるかをよく知っております。そして、扶養控除にできる範囲というのは、世間で思われているよりかなり広いのです』

以上のようになりますが、外国人はこの扶養控除を上手く活用して、税務署員と同じように、節税を行ってきたのです。

ただ扶養家族の人数が多すぎる、不正ではないかと疑われるケースがあったので、政府は海外に居住する親族を扶養家族にする場合には、「親族関係書類」と「送金関係書類」の提出を義務化しました。

こういった事例を見ていると、外国人は日本の公的医療保険や税制について、よく勉強しているとわかります。

それに対して日本人は、高い保険料や税金を支払っているのに、日本の公的医療保険や税制について、無関心な方が多いと思うのです。

その結果として公的医療保険の保障と重複する、民間の生命保険や医療保険に加入し、家計を苦しくしているような気がします。

ですから多くの日本人は、このような外国人の勉強熱心な姿勢を、参考にすべきではないでしょうか?
posted by FPきむ at 20:41 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする