2017年08月11日

なぜ自動車保険は掛け捨て型で良いのに、生命保険は貯蓄型にするのか?

最近は1日単位で加入できる自動車保険、いわゆる「1日自動車保険」が、若者を中心に普及が進んできたそうです。

この補償内容としては、例えば友人の車を借りた時など、他人名義の車の運転によって発生した事故について、保険金が支払われる仕組みで、保険料は1日500円程度になっております。

1日自動車保険の歴史について調べてみると、東京海上日動火災保険が平成24年(2012年)1月に販売を開始しました。

スマートフォンやコンビニなどで加入できる手軽さから、上記のように若者を中心に普及が進んでいき、現在は三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険も、同じような商品を販売しております。

もし事故が発生しなかった場合には、1日500円程度の保険料は掛け捨てになってしまいますが、事故が発生した時の補償を確保するために、保険料を負担していると理解しているので、多くの方は納得するはずです。

また1日自動車保険ではない、一般的な自動車保険についても、掛け捨て型が主流であり、貯蓄型の方が珍しいのです。

ところが同じ保険であっても、生命保険は貯蓄型が主流であり、掛け捨て型の生命保険は貯蓄型と比較すると、普及が進んでおりません。

この理由について調べていたら、平成29年(2017年)5月19日のベストタイムズに、積み立てor掛け捨て、選ぶならどっち? 保険のプロ、出口治明氏に聞いてみたと題した記事が、掲載されているのを見つけました。

保険の本質がわかる良い記事だったので、その一部を紹介してみると、次のようになっております。

『もともと保険という制度は、250年以上前にロンドンで生まれたときから、掛け捨て型でした。

保険には「世の中の誰にリスクが生じるのかわからないから、そのためにみんなで備える」というリスクヘッジの意味があり、「大変な目に遭った人以外は掛け捨て」ということが原則なんです。

では、なぜ日本では積み立て型の人気が高まったのかと言うと、高度経済成長による高金利の時代を迎えたことが大きいですね。 

一昔前は長期金利が8パーセントに達したこともありました。これを「72のルール(72÷金利=元本が倍になる年数)」という基礎的な法則に当てはめると「72÷8=9」。つまり、100万円が9年で200万円、18年で400万円になっていたというわけです。

保険の期間はだいたい20年という長さで、金利が金利を生む複利効果が見込めることから、生命保険は積み立て型の方がいい、という社会常識が生まれたんですよね。

しかし、今やゼロ金利時代。長期金利が0.01パーセントくらいですから、「72÷0.01=7200」。なんと元手が倍になるのに7200年もかかるだけに、複利効果はまったく望めません。 

さらに、保険会社の運営経費は付加保険料として、みなさんが払う保険料から引かれます。

たとえば、毎月1万円払っている場合、付加保険料が20パーセントかかるとしたら、年間で9万6000円(8000円×12)。金利は期待できませんから、貯蓄としては、普通に毎月1万円を預金するよりも、実質マイナスになっているというわけです。

こうした現状を考慮すると、私としては、やはり積み立て型ではなく、掛け捨て型をオススメしたいところです』

以上のようになりますが、掛け捨て型の生命保険より、貯蓄型(記事の中では「積み立て型」と記載)が良いという社会常識が生まれたのは、高度経済成長によって高金利の時代を迎えたからのようです。

しかしその高金利の時代は、すでに終わりを迎えているので、貯蓄型ではなく掛け捨て型を、選択しようという話になります。

ところで生命保険と自動車保険の違いについて、もう一点だけ指摘すると、終身型の生命保険はあっても、終身型の自動車保険はありません。

そのため自動車保険は、一定の補償期間が終わる前に、更新の手続きをする必要があります。

これは少し手間がかかりますが、この更新の時期がやってきた時に、今の自分に必要な補償、または不必要な補償が何なのかについて、考える機会が訪れます。

しかし更新がない終身型の生命保険に加入した場合には、こういった機会が訪れないので、例えば若い時には必要だったけれども、今の自分には必要のない保障に、引き続き加入する事になるのです。

そうなると必要のない保障に対して、保険料を支払い続ける結果になるため、お金が無駄になってしまいます。

終身型の生命保険に加入して、何年も放置しているという方は、このような事態になっていないかを、確認した方が良いのではないでしょうか?
posted by FPきむ at 20:03 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月02日

葬儀代の準備のために生命保険に加入すると、手数料の無駄払いになる



この間テレビを見ていたら、フリマアプリの「フリル」のCMが放送されておりました。

その内容としてはフリーマーケットの会場において、何かしらの商品を購入した方が、それを販売した方に対して、5,000円の代金を渡そうとしたら、強面の男が突然現れます。

強面の男はその5,000円を取り、「手数料を引いて4,500円」と計算した後に、商品を販売した方に4,500円だけを渡します。

商品を販売した方が納得できない表情をしていると、強面の男は「なんだよ、販売手数料だぜ」と言って、 ニヤリと笑うのです。

そして最後にナレーターの方が、「販売手数料ってバカバカしい、フリルは0円」と言って、このCMは終了します。

とても印象に残る、面白いCMだと思うと同時に、「自分の葬儀の事で家族に迷惑をかけたくないなら、葬儀代くらいの死亡保険金が支払われる生命保険に加入しましょう」という、ある生命保険会社のCMを思い出しました。

その理由として、手数料の分だけ損をするという意味において生命保険は、CMに登場するフリーマーケットと同じだと思ったからです。

例えば自分が死んだ時の葬儀代に使ってほしいと、長男と次男に110万円ずつ渡したとします。

なぜ110万円が良いのかというと、年間110万円以内の贈与ならば、贈与税が課税されないからです。

また一般財団法人日本消費者協会が、平成26年(2014年)に実施した「葬儀についてのアンケート調査」によると、葬儀費用の全国平均は188万9,000円のため、長男と次男に110万円ずつ渡せば、葬儀代で迷惑をかける可能性は低いからです。

なお12月28日のブログに記載しましたように、直葬であれば葬儀費用をもっと安くできますし、また公的保険から支払われる葬祭料や埋葬料などが、葬儀費用をカバーしてくれます。

このように長男と次男に渡すためのお金を、預貯金の口座から引き出し、本人達に直接渡せば、振込み手数料もかからないので、手数料は0円になります。

しかし生命保険に加入した場合、生命保険会社の運営費(例えば家賃や人件費など)に使われる「付加保険料」が、その保険料から控除される事になり、これは手数料の一種と考えられます。

そうなると付加保険料という手数料の分だけ、フリーマーケットの販売手数料と同じように、損をする可能性があるのです。

しかも5月29日のブログに記載しましたように、保険料に占める付加保険料の割合を、3割から4割程度と推測する評論家の方もおり、それが事実ならフリーマーケットの販売手数料(1割)より、高くなってしまうのです。

もちろん生命保険に加入して間もなくに死亡すれば、預貯金を渡すよりも、お得になる可能性はありますが、いつ死亡するかは誰にもわかりません。

また加入して間もなくに死亡するような、体が弱っている方が、生命保険に加入できるとは思えないのです。

持病があっても構わない、誰でも入れる生命保険があるではないかと、反論する方がいるかもしれませんが、7月21日のブログに記載しましたように、生命保険会社が損をしない仕組みになっているのです。

ところで4月12日のブログで紹介したがん保険のカラクリ(著:岩瀬大輔)には、次のような文章が記載されておりました。

『保険の本質は「発生する確率は低いが、起きたときに大きな経済的損失を被る可能性がある事故に備えるため、大勢で少しずつお金を出し合って備える仕組み」である。

代表的な例は自動車保険や、子供がまだ小さい間、世帯主が万が一の事故や病気で亡くなった場合に備えて買う死亡保険である。

これに対して、「自分の身に起きる確率が高い事象」については、保険ではなく貯蓄等の資産形成によって準備されるものである。

子供の教育費、老後の生活費は必ず必要になることが分かっているお金である。

「偶発の事故に備えて大勢で少しずつお金を出し合う仕組み」である保険には適していない』

以上のようになりますが、要するに自分の身に起きる確率が高い事象は、保険ではなく、貯蓄で準備した方が良いとしております。

人は誰でも必ず死亡するのですから、葬儀代は子供の教育費や老後の生活費以上に、必要になる確率の高い費用です。

ですから手数料の有無にかかわらず、葬儀代は保険ではなく、貯蓄で準備した方が良いのかもしれません。
posted by FPきむ at 20:44 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする