2018年02月14日

「生命保険は不要」とアドバイスできるのが、NHKの存在価値だと思う

NHKの放送を受信できる設備(例えばテレビ)を設置すると、NHKと契約しなければならないのは、放送法の第64条第1項の中に、そのような定めがあるからです。

このNHKとの契約義務が、憲法が保障する「契約の自由」に違反するのではないかという疑問を感じて、東京都内に住む60代の男性が裁判を起こしました。

すでに結果は出ているので、ご存知の方は多いと思いますが、平成29年(2017年)12月6日に最高裁判所は「合憲」、つまり憲法に違反しないという判断を下したのです。

この他にも「ワンセグ機能付きの携帯電話」が、NHKの放送を受信できる設備に該当するのかが、いくつかの地方裁判所で争われましたが、その多くはHNKの勝利となっております。

またNHKとホテルなどが、客室にあるテレビの受信料の支払いで争った裁判でも、その多くはHNKの勝利となっております。

こういった裁判を通じてHNKは、受信料を徴収する事に対する、司法からのお墨付きをもらったため、受信料を支払う必要があるか否かについては、議論の余地がなくなったと思うのです。

ただそれ以前の問題となる、NHKの存在価値については、まだ議論の余地があると考えております。

かつてはHNKしか全国放送をしていなかったのですが、現在は民放でも全国放送をしているため、離島のようなところであっても、民放の番組を見られるようになりました。

そのため全国放送できるという点でのHNKの存在価値は、かなり薄れております。

そこで別の存在価値について、インターネットなどで調べてみたところ、もっとも説得力があると思ったのは、災害や事件などが発生した時の対応です。

つまりNHKは民放と違って、スポンサーやネットワークとの絡みがないため、機動的にニュースの放送枠を拡大して、災害や事件などに関する情報を伝えられるのです。

また国会中継などの視聴率が取れない番組を放送できる点を、NHKの存在価値として挙げる方もおりました。

これらは確かにNHKの強みだと思うのですが、個人的にもっとも存在価値を感じたのは、生命保険を特集したNHKの番組を見た時です。

内容的にはFP(ファイナンシャル・プランナー)の方が、相談者の生命保険に関する疑問に、回答するというものだったと思います。

その時にあるFPの方は、「あなたの現状から考えると、無理して生命保険に入らなくても大丈夫です」というアドバイスをしておりました。

また「生命保険に加入するなら、社会保険の保障で足りない分だけで十分です」というアドバイスもしておりました。

このような番組を見ていて、なぜNHKの存在価値を感じたのかというと、視聴者からの受信料で成り立っていて、生命保険会社がスポンサーになっていないNHKだからこそ、このようなアドバイスができたと思うからです。

もし生命保険会社が有力なスポンサーになっている民放が、同じような番組を作ったら、「生命保険に入らなくても大丈夫」などというアドバイスは、カットされたのではないでしょうか?

これはあくまで推測にすぎませんが、少なくとも生命保険に関して、公正で中立なアドバイスができるのは、生命保険会社がスポンサーに付いている民放より、受信料で成り立っているHNKだと思うのです。

有力なスポンサーの気分を損なうような内容を、あまり伝えたくないと考えるのは、民放だけではないと思います。

例えば生命保険会社の広告が、いくつも掲載されている雑誌は、「生命保険に入らなくても大丈夫」などというアドバイスは、あまり書きたくないはずです。

また公正で中立なアドバイスが求められるFPであっても、似たような状況にあるのかもしれません。

例えば保険代理店を経営していて、生命保険会社からコミッション(手数料)を得ているFPは、「生命保険に入らなくても大丈夫」などというアドバイスは、伝えにくいと思うのです。

もちろん保険代理店を経営していても、コミッション(手数料)の影響を受けないで、公正で中立なアドバイスをしているFPがいるのは事実です。

ただそうであっても、保険代理店を経営せずに、顧客からの相談料(フィー)を主な収入源にしているFPのアドバイスの方が、やはり信頼度が高くなるのではないでしょうか?

このようにどこからの収入で、成り立っているのかを考えてみると、誰のアドバイスがもっとも信頼できるのかが、自ずとわかってくると思うのです。
posted by FPきむ at 19:59 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月01日

顧客からの非難で炎上している外貨建て保険に、円高という油が注がれる

平成30年(2018年)1月19日の産経ニュースを読んでいたら、「元本減った」高齢者トラブル絶えず 銀行窓口販売の「外貨建て保険」と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『銀行窓口で販売する保険商品をめぐって、トラブルが絶えない。特に、投資性の高い一時払い保険「外貨建て保険」に対し、高齢者を中心に「元本保証だと思っていたのに損失が生じた」といった相談が寄せられているという。相談件数も多く、国民生活センターが注意を呼びかけている』

『外貨建て保険は、年金や終身があり、顧客から預かった資金を利回りの高い米国債や豪州債などで運用する。保険金や年金、解約返戻金などは外貨で受け取る。

ただ、為替相場が円安になれば受け取る資産がかさ上げされる半面、円高ドル安になれば目減りすることになる。このため、投資型商品としての側面が強い』

『背景には、日銀のマイナス金利政策の影響で、利ざやが確保できないかわりに、保険商品を保険会社の代わりに「代理販売」することで、販売手数料を稼ぎたいという銀行側の思惑も透けてみえる。

金融庁は、銀行が生命保険会社から受け取る手数料が高い保険を優先して販売している可能性もあるとして、販売手数料を商品別に開示するなどの対策を打ち出しているが、「投資性商品と説明して販売していないならば問題」として動向を注視していく方針だ』

以上のようになりますが、ちょうど2年前の平成28年(2016年)1月29日に、日銀はマイナス金利政策の採用を発表しました。

これによる金利低下で、銀行は貸し出しから得られる収益が減ってしまったため、外貨建て保険などの手数料が高い商品の販売に、力を入れるようになったのです。

その頃から外貨建て保険に関する、銀行と顧客とのトラブルが増加し、業を煮やした金融庁は手数料の開示を求め、事態の収束を図ろうとしたのです。

このような情報を伝えるニュース記事や、外貨建て保険の問題点を指摘する記事は、インターネットで検索してみると、簡単に見つける事ができます。

それにもかかわらず冒頭の記事を読むと、外貨建て保険に関する銀行と顧客とのトラブルが、まだ続いているとわかり、非常に驚きを感じるのです。

国民生活センターに相談しているのは、高齢者の方が多いようですから、契約する前にインターネットで調べていないのかもしれません。

また外貨建て保険の問題点が周知される前に契約した方が、何らかの事情でお金が必要になり、保険を解約したところ、想像していなかった元本割れが発生して、トラブルになっているのかもしれません。

いずれにしろ外貨建て保険に関する銀行と顧客とのトラブルは、これから更に増加していくと予想しております。

その理由のひとつは銀行員さんの話術が素晴らしいため、現在も外貨建て保険は売れているからです。

また日銀が1月9日の公開市場操作で、長期国債の購入額を減らしてから、金融緩和が出口に向かうのではないかと予想する方が増えため、最近は円高ドル安トレンドが続いているからです。

円高になるとトラブルが増加するのは、冒頭の記事の中に記載されているように、保険金、年金、解約返戻金などは外貨で受け取るため、円高になるとその価値が目減りし、元本割れする場合があるからです。

最低保障があるのだから、元本割れはありえないと否定する方がいるかもしれませんが、その最低保障は外貨建て(例えば米ドル建て、豪ドル建て)のものだと思います。

そのため外貨を日本円に交換する時に、購入時よりも円高になっていたら、為替差損が発生して元本割れするのです。

なお日銀の黒田総裁は「金融緩和の出口を考える時機でない」と、すぐに火消しに動きましたが、円高ドル安トレンドは収まっておりません。

またその黒田総裁の任期は、平成30年(2018年)4月8日に迫っており、退任すれば更に円高になると予想されております。

顧客から非難を浴びて、すでに炎上している外貨建て保険に、円高という油が注がれれば、「火に油を注ぐ」が現実のものになり、炎上は更に拡大するのではないでしょうか?

冒頭の記事を読むとトラブルになった方は、国民生活センターに相談しているようですが、全国銀行協会が運営している全国銀行協会相談室に相談しても良いと思います。

なお信用金庫とのトラブルは、全国信用金庫協会が運営している全国しんきん相談所に、また信用組合とのトラブルは、全国信用組合中央協会が運営しているしんくみ相談所に相談します。

ただ一番良いのはトラブルが発生してから相談するのではなく、トラブルの元なる火種に近づかない、つまり外貨建て保険を購入しない事だと思います。

もちろん外貨建て保険のメリットとデメリットをしっかりと理解して、購入を決断しているのであれば、何ら問題はありません。
posted by FPきむ at 20:40 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする