2018年11月03日

年金の積立金の運用が博打なら、生命保険会社は博打仲間ではないのか?

年金の積立金は安全性を確保するため、「国内債券:60%、国内株式:12%、外国債券:11%、外国株式:12%、短期資産(現金):5%」という、国内債券(特に日本国債)を中心にした運用が行われてきました。

しかし安倍総理の意向により、平成26年(2014年)10月から、「国内債券:35%、国内株式:25%、外国債券:15%、外国株式:25%」に変わったのです。

これを見るとわかるように、国内株式と外国株式の比率が引き上げされたため、価格変動リスク(株式などを換金した際の受取金額が、当初に支払った金額を下回るリスク)の影響を受けやすくなります。

また外国債券と外国株式の比率が引き上げされたため、為替変動リスク(外貨から円に戻した際に、為替レートの変動により、為替差損が発生するリスク)の影響を受けやすくなります。

これらのリスクの影響を大きく受けたのは、平成27年(2015年)7〜9月期で、この時に積立金の運用成績は、四半期ベースで過去最大となる、7兆8,899億円の赤字を記録しました。

ある週刊誌は「国民が支払った大事な保険料を博打に使うな!」と、激しく安倍総理を批判しておりましたが、運用と博打を同様に取り扱うのは、良くないと思ったのです。

また日銀が平成26年(2014年)1月に、マイナス金利政策の導入を発表してから、多くの国内の生命保険会社は、契約者が支払った保険料を運用する際に、国内債券の比率を引き下げ、外国株式や外国債券の比率を引き上げしております。

ですから年金の積立金の運用を博打と批判するなら、こちらも批判した方が良いと思ったのです。

しかし国内の生命保険会社を、「契約者が支払った大事な保険料を博打に使うな!」、または「生命保険会社は年金の積立金の博打仲間になるな!」と批判する週刊誌は、まったく見た事がありません。

何だかフェアではないと思うのですが、マスコミにとって生命保険会社は、有力なスポンサーになるため、批判できないのでしょうか?

平成27年(2015年)7〜9月期には上記のように、四半期ベースで過去最大の赤字を記録しましたが、平成28年(2016年)10〜12月期には、四半期ベースで過去最大となる、10兆4,973億円の黒字を記録しました。

そのうえ市場運用を開始した、平成13年(2001年)度以降の通算成績でも、黒字を維持しております。

ただ残念ながらマスコミは、赤字の報道は派手にやるのに対して、黒字の報道は地味にやるため、黒字の方はあまり知られておりません。

このようなマスコミの報道姿勢についても、何だかフェアではないと思うのです。

ところで平成30年(2018年)10月26日の産経ニュースを読んでいたら、国内の生命保険会社が外国債券や外国株式の比率を引き下げ、日本国債に回帰するという記事が掲載されておりました。

それは生保大手「国債回帰」下期運用計画であり、一部を紹介すると次のようになります。

『主要生命保険会社の平成30年度下期運用計画が26日、出そろい、これまで抑制してきた日本国債への投資を増やす「日本国債回帰」の流れが出てきた。

日本銀行が長期金利の変動幅拡大を認めた政策修正により、生保が購入する超長期国債(償還期間10年超)の利回りも上昇し始めたことが主な理由だ。

ただ、一部の生保は「まだ金利が低すぎる」と現段階では日本国債買い入れを手控える考えを示すなど、どこまで回帰が進むかは不透明だ…(中略)…

国内の低金利環境はまだ続くとみられ、生保各社はリスクを伴う外債や外国株式なども購入せざるを得ない。

米中貿易摩擦など市場の先行きが見通せない中、運用担当者の手腕が試される状況は続きそうだ』

以上のようになりますが、これを読むと日銀の政策変更を受け、日本国債への回帰が進んだとわかります。

ただ日本国債に回帰すればリスクのある運用から、卒業できる訳ではないと思います。

その理由として日本が財政危機に陥り、日本国債の元本または利子の、全部または一部が返ってこない状況になると、これを保有する国内の生命保険会社は、危険な状態になる可能性があるからです。

なお国内の銀行も日本国債を大量に保有しているため、日本の財政危機により、危険な状態になる可能性があるのです。

そうなると資産のほとんどを、国内の銀行と生命保険会社に預けている方は、将来的な日本の財政危機の有無という博打で、無の方にほとんどを賭けているようなものです。

こちらの方が年金の積立金や生命保険会社の運用より、遥かに怖いのではないでしょうか?
posted by FPきむ at 20:04 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月16日

金融知識に自信がある高齢者ほど、金融機関のカモになりやすい理由



日銀がマイナス金利政策の導入を発表した、平成26年(2014年)頃、銀行などの金融機関が手数料を得るため、顧客のニーズに合わない外貨建て保険などを販売している事が、社会問題になりました。

これを受けて金融庁は銀行などに対して、販売手数料を開示させるなどの対策を打ち出したのです。

またこの問題は新聞、雑誌、テレビなどを通じて、多くの方に周知されるようになりました。

それにもかかわらず特に高齢者の方が、外貨建て保険などの販売で、金融機関とトラブルになったという話を、現在でも聞くのです。

例えば外貨建て保険を解約する時に、予想していなかった元本割れが発生したため、「そんな話は聞いていなかった」などと主張し、金融機関とトラブルになったというものです。

その中にはクーリング・オフの期間内に解約したのに、元本割れが発生したというケースもあったようです。

こういった話を聞いた時、金融知識の豊富な金融機関の職員が、金融知識の少ない高齢者の方を言葉巧みに勧誘して、手数料の高い外貨建て保険などを、購入させているという印象を持ったのです。

しかし競争社会の歩き方(著:大竹文雄)という本の中に記載されている、次のような文章を読んだ時、その印象が正しくないケースもあると思ったのです。

『金融広報中央委員会が2011年に「金融力調査」という金融に関する知識を調べる調査を行っている。

その中で、「自分の金融に関する知識や判断力は十分高い」かどうかを聞く質問をしている。

それによると、年齢が高まるほど、金融知識や能力に自信がある人の比率が高まっていくことがわかる…(中略)…

「自分の金融に関する知識や判断力は十分高い」という質問に対して、「どちらかといえばそう感じている」または「そう感じている」と答えた人は、65歳以上の人では男女とも64.7パーセントであった。

この金融知識に自信がある人たちの中で、リターンとリスクの関係を正しく認識していたのは、65歳以上では男性の69.6パーセント、女性では58パーセントにすぎない。

つまり、65歳以上の人たちの中で、金融知識に自信がある人たちのうち、男性の3割、女性の4割は自信過剰だということになる。

高齢者は、金融知識があると思っているのに、自信過剰であるというケースが多いのだ』

以上のようになりますが、この中に記載されている「リターンとリスクの関係」を、正しく認識していたか否かは、次のような問題で判断されたようです。

『平均以上の高いリターンのある投資は、平均以上の高いリスクがあるものだ。

1.正しい 2.間違っている 3.わからない』

なおこの3つの選択肢の中の「1.正しい」が、正解になります。

それほど難しい問題ではないので、すべての回答者の正答率は68.7パーセントでしたが、65歳以上では男性は58.7パーセント、女性は44.7パーセントでした。

金融知識に自信があると回答した65歳以上の正答率は、上記のように男性は69.6パーセント、女性は58パーセントとなり、65歳以上の平均より高かったのですが、すべての回答者の平均と、あまり変わりがありません。

金融知識に自信がない高齢者の方は、金融機関の職員から説得された時に、反論する自信がないので、勧誘を受けたとしても、すぐに断って話を聞かないと思います。

それに対して金融知識に自信がある高齢者の方は、自分は騙されないと思っているから、金融機関の職員の話を聞いてしまいます。

その結果として金融機関の職員に、言葉巧みに勧誘され、手数料の高い外貨建て保険などを、購入させられていると思うのです。

振り込め詐欺(オレオレ詐欺)、還付金詐欺などに騙されないための有効な対策は、心当たりのない電話番号からの着信には、決して出ない事だと言われております。

その理由として電話に出ないで、犯人と会話をしなければ、犯人の口車には乗せられないからです。

これと同じように、手数料の高い外貨建て保険などを、購入させられたくないのなら、金融知識に自信があるか否かを問わず、金融機関の職員の話を聞かない事です。

もし断るのが気まずいというのなら、ほとんど勧誘をしてこない、インターネット銀行や証券に、口座を開設するのです。

インターネット銀行や証券の方が、各種の手数料が低めに設定されており、また定期預金の金利などが高めに設定されているため、一石二鳥ではないかと思います。
posted by FPきむ at 20:34 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする