2017年01月02日

介護保険の値上げは変えられないのだから、それに対する態度を変えよう

このブロクに設置されたアクセス解析を見ていたら、昨年末あたりから次のようなキーワードで検索して、このブログに辿り着いた方が急増している事に気が付きました。

「平成29年(2017年) 介護保険 保険料 値上げ(もしくは引き上げ)」

「平成29年(2017年) 介護保険 自己負担 値上げ(もしくは引き上げ)」

これらについて調べてみると、まだ法改正は実施されておりませんが、次のような改正案が厚生労働省から出されているようです。

(1)介護保険の「保険料」の値上げに関する改正案
介護保険の保険給付に必要とされる財源の約30%は、協会けんぽや組合健保が負担する、「介護納付金」で賄われております。

注:協会けんぽと組合健保の違いについては、3月28日のブログを参照して下さい。

協会けんぽや組合健保が事業主を通じて、40歳以上の介護保険の被保険者から保険料を徴収しているのは、この介護納付金に充てるためです。

それぞれが負担する介護納付金の金額は、介護保険の被保険者の人数によって決まり、こういった仕組みを「加入者割」と言います。

つまり加入者割で介護納付金を算出する場合、「介護保険の被保険者の人数×一人当たりの負担額」で、その金額が決まるので、介護保険の被保険者の人数が多くなるほど、負担が重くなっていくのです。

この仕組みを改め、平成29年(2017年)8月からは、介護納付金の3分の1について、「総報酬割」で算出するように改正します。

この総報酬割とは協会けんぽや組合健保に属する、介護保険の被保険者の月給や賞与の総額を算出し、その金額が小さいところの負担を減らし、逆にその金額が大きいところの、負担を増やす仕組みです。

大企業の従業員が加入する組合健保は、中小企業の従業員が加入する協会けんぽより、月給や賞与の総額が大きいため、介護納付金の負担が増える事になり、そうなると介護保険の被保険者から徴収する保険料は、値上げする必要があります。

(2)介護保険の「自己負担」の値上げに関する改正案
現役世代並みの所得がある高齢者の自己負担が、現在の2割から3割に値上げされます。

ただ法改正が実施されても、今年からすぐに自己負担が変更されるわけではなく、平成30年(2018年)8月から変更される予定です。

以上のようになりますが、冒頭に記載したようなキーワードで検索すると、このような情報が出てくると思います。

こういった情報を入手した方の多くは、値上げに対して文句を言って、それで終わりにすると思うのですが、次のように自分でできる対策はあるのです。

(A)介護保険の「保険料」の値上げに関する対策
今年から加入資格が拡充された確定拠出年金やNISAなどで、資産運用を実施する事により、給与以外の収入を増やすという対策が考えられます。

また家計の見直しを実施したり、節約を実施したりして、支出を削減するという対策も考えられます。

(B)介護保険の「自己負担」の値上げに関する対策
民間の介護保険に加入するという対策以外に、(A)に記載したような事を実施して、貯蓄を増やしていくのです。

また定期的に運動を実施して、介護保険を利用しなくても済むような健康な状態を、維持するという対策も考えられます。

以上のようになりますが、このような対策を何も実施するつもりがないのなら、介護保険の値上げについて心配するのは止めて、毎日を能天気に生きた方が良いと思うのです。

不安を感じるような状況が、近いうちにやってくるとわかっているのに、それに対する準備が何もできていないという状態は、精神衛生上良くないですから。

ところでアメリカの歌手、女優、活動家、詩人であった、マヤ・アンジェロウの言葉として、次のようなものがあります。

『何か気に入らなければそれを変えなさい。もし変えられないならあなたの態度を変えなさい。文句は言わないこと』

国の財政赤字や少子高齢化が深刻化する現在の日本で、介護保険の値上げという不安を感じる状況を変えるのは、どの政党が政権を担当しても、現実的に不可能だと考えられます。

それならばマヤ・アンジェロウの言葉の通り、介護保険の値上げが不安なのに、何も準備するつもりがないという自分の態度を、変えていくしかないと思うのです。

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posted by FPきむ at 20:39 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月16日

保険証の返却が面倒な方に、確定拠出年金の手続きを期待するのは無理

平成28年(2016年)11月24日の朝日新聞を読んでいたら、確定拠出年金1428億円塩漬け 転職時など手続きなくと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『企業が設けている確定拠出年金(DC、加入者約548万人)で、運用されずに放置されている年金の預かり資産が1400億円を超えていることが分かった。

DCの加入者が転職時などに必要な手続きを取らなかったためだ。資産は厚生労働省が所管する国民年金基金連合会(国基連)に移されて「塩漬け」になり、老後資金を運用する機会を逃している。

国基連や金融機関への取材で判明した。放置されている資産は、2016年3月末で約57万人分、1428億円にのぼり、前年より約207億円増加。この5年間で2・6倍になった。

資産が「塩漬け」になっている恐れがあるのは、転職で勤務先の企業が変わったり、会社勤めを辞めて自ら事業を始めたりした人ら。

確定拠出年金法では、企業が設けたDCの加入者が、DCを設けていない会社へ転職したり、自営業に変わったりした場合、個人型DCへの切り替えや、加入の状況によっては一時金受け取りの手続きを6カ月以内にとる必要がある。

手続きをとらなければ、資産は国基連に自動的に移される。この資産は、運用されないので利息がつかないうえ、1口座につき約4千円の手数料や年約600円の管理手数料を差し引かれて目減りしていく』

以上のようになりますが、老後資金を形成するための自助努力を支援するため、平成13年(2001年)からスタートした確定拠出年金には、「企業型」と「個人型」があります。

企業年金の一種として実施されているのは、企業型の確定拠出年金の方であり、その掛金は原則として、お勤め先の会社が負担してくれます。

企業型の確定拠出年金を実施している会社を退職した場合、会社が負担してくれた掛金と、その運用益で構成された「個人別管理資産」を、移管しなければなりません。

例えば転職先も企業型の確定拠出年金を実施している場合、そこに個人別管理資産を移管します。

また例えば専業主婦になった場合、脱退一時金の支給要件を満たす一部の方を除き、個人型の確定拠出年金の口座を自分で開設して、そこに個人別管理資産を移管します。

このような手続きを退職から6ヶ月以内に行わなかった場合、その個人別管理資産は現金化されたうえで、国民年金基金連合会に移換されますが、そうなると次のようなデメリットが発生するのです。

(1)管理手数料を取られ続ける
個人別管理資産から毎月51円(年間612円)の、管理手数料が取られ続けるため、移管を先延ばしするほど、個人別管理資産は目減りしていきます。

(2)個人別管理資産が増えない
個人別管理資産を国民年金基金連合会から移管して、運用をスタートすれば、たとえ定期預金しか選択しなかったとしても、金利の分だけ個人別管理資産は増えていきます。

しかし国民年金基金連合会に放置していた場合、個人別管理資産は移管時に現金化されているため、まったく増えないのです。

(3)老齢給付金を受給できない
個人型の確定拠出年金の口座を開設し、そこに個人別管理資産を移管しないと、60歳を過ぎて、老齢給付金(年金または一時金)を受給できる年齢に達しても、これを受給できないのです。

以上のようになりますが、このようなデメリットばかりであり、特にメリットは発生しません。

ところでこのブログに設置されたアクセス解析を見てみると、例えば次のような記事が、継続的にアクセスを集めております。

・健康保険証の未返却問題とそれに関する勘違いとは(10月27日のブログを参照)

・退職した後に健康保険証を返却しないとどうなるか?(5月1日のブログを参照)

・健康保険証の返却を要求する時の実例文(文章例)について考える(6月3日のブログを参照)

このような結果を見ると、退職時に保険証を返却するのが面倒と考えている方は、かなり多いと推測されます。

また退職時に個人型の確定拠出年金の口座を自分で開設して、そこに個人別管理資産を移管するのは、退職した会社に保険証を返却するより、数倍は面倒な作業です。

保険証の返却を面倒と考えている方が、そんな面倒な作業をするとは思えず、冒頭に記載した確定拠出年金の塩漬け問題は、今後更に深刻化していくと思います。

希望があるとしたら、平成29年(2017年)1月から専業主婦や公務員も、個人型の確定拠出年金に加入できるようになる点であり、これにより現在よりは、口座開設が進むはずです。

ただ加入者の範囲が拡大しても、加入はあくまで任意ですから、老後資金の準備に対する意識を変えない限り、確定拠出年金の塩漬け問題は解決しないと考えております。

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posted by FPきむ at 19:58 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする