2018年05月17日

他社の商品と比較しない顧客は、生命保険会社の経営者に足元を見られる

ある有名なFP(ファイナンシャル・プランナー)が、20年前に出版したお金の本を読んでいたら、「貯蓄型より掛け捨て型が良い」、「ボーナス付きの医療保険に入るのは損」などという、生命保険に関するアドバイスが掲載されておりました。

どこかで見た事のあるアドバイスだと思ったら、このFPが最近に出版した本の中にも、同じような内容のアドバスが掲載されていたのです。

おそらく生命保険に対する人々の意識や考え方などは、20年前とあまり変わっていないため、現在も同じ内容のアドバイスを繰り返しているのだと思います。

また20年前に加入しない方が良いとアドバイスしていた商品が、現在でも販売されているからだと思います。

その一方で投資信託に関するアドバイスは以前と変化しており、20年前のアドバイスは現在から見ると、古臭いという印象を受けました。

例えば他の商品よりも手数料が安いと、20年前におすすめしていた投資信託は、現在は手数料が高い部類に属するため、そんな商品をおすすめするFPは、今はもう存在しないと思います。

つまり生命保険については、20年前に加入しない方が良いとアドバイスしていた商品が、現在でも販売されており、あまり改善が進んでいないのです。

それに対して投資信託については、かなり改善が進んでおり、20年前におすすめしていた商品よりも良い商品が、現在は販売されている事になります。

なぜ生命保険と投資信託で、これだけの差ができたのだろうかと思っていたら、平成30年(2018年)5月11日のダイヤモンドオンラインに、そのヒントになるような記事が掲載されておりました。

その記事とは【第一生命ホールディングス】大胆な値下げに踏み切れない株式会社という組織の弱みであり、一部を紹介すると次のようになります。

『では、第一はなぜ、健診表を提出しても他社より保険料が高くなってしまうような、競争力に欠ける新商品を投入したのか。考えられる要因は大きく二つある。

一つ目は、顧客の属性と営業職員の販売力だ。そもそも第一をはじめとした大手生保の商品は、パッケージ化された複雑な商品である上、顧客にしても「他社の商品と保障内容や保険料を入念に比較検討するような、リテラシーの高い人はほとんどいない」と、ある国内生保の役員は話す。

すなわち、他社より一部で劣後していることを知らない顧客群に対し、販売スキルが高い営業職員が売り込めば、一定の契約件数は獲得できるはずだと、したたかにそろばんをはじいている可能性があるということだ』

以上のようになりますが、これは第一生命が今年の3月に、日本生命の既存商品より保険料が高くなる新商品の、販売を始めた理由について解説した記事になります。

この中で注目すべきなのは、「他社の商品と保障内容や保険料を入念に比較検討するような、リテラシーの高い人はほとんどいない」という、ある国内生保の役員の話です。

つまり顧客は金融リテラシー(金融に関する知識や情報を正しく理解し、自らが主体的に判断できる能力)の低い人ばかりで、他社の商品と比較しないのだから、他社より保険料が高くなる新商品でも、問題がないと言っているように感じます。

そうなると顧客は生命保険会社の経営者に、足元を見られている(「金融リテラシーが低い」という弱点に付け込まれている)のではないでしょうか?

それに対して貯蓄好きが多い日本で、自らの意思で投資信託を購入するのは、多かれ少なかれ投資に関しての勉強を実施した、周囲よりも金融リテラシーが高い方と考えられます。

このような金融リテラシーの高い方は、手数料などを他社の商品と比較するため、他社より手数料が高くなる新商品を、あえて購入するとは思えません。

また例えば手数料の水準が、他社の商品の方が優れていたら、そちらの方に乗り換えると思います。

こういった顧客の行動が20年間に渡って続いていけば、改善が進むのは当然の話ではないでしょうか?

つまり他社の商品と比較するという行動の有無が、生命保険と投資信託の差を生んだと思うのです。

金融リテラシーを高める事は簡単ではありませんが、インターネットの普及により、他社の商品と比較しやすい環境が整備されております。

生命保険会社の経営者に足元を見られないため、まずは他社の商品と比較する事から始めたいところです。
posted by FPきむ at 19:58 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月02日

投資は分からないから始めないのなら、生命保険の8割は止めた方が良い

これまでは加入資格のなかった専業主婦や公務員も、平成29年(2017年)から「確定拠出年金(個人型)」、いわゆる「iDeCo」に加入できるようになりました。

また平成30年(2018年)からは、従来からある「NISA」に加えて、「つみたてNISA」という新制度がスタートしました。

投資から得られた利益に対しては、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせて、20.315%の税金が課税されますが、これらの制度を通じて投資をすると、非課税になるというメリットがあります。

またiDeCoについては掛金を拠出する段階でも、所得税や住民税が安くなるため、例えば年末調整の時に還付される金額が多くなります。

税収が減ってしまうにもかかわらず、なぜ政府はこのような特典を与えるのでしょうか?

その意図について考えてみると、財政の問題により年金制度を、現在より充実させるのは難しいため、「投資に関して税制面で優遇を与えますから、不足分を自分達で準備して下さい」という話だと思います。

しかし政府の意図に反して「貯蓄から投資」の流れは、あまり進んでいないようです。

例えば平成29年(2017年)5月頃に、総務省から発表された最新の家計調査によると、1世帯あたりの平均貯蓄額は、4年連続で増加して1,820万円になり、過去最高を更新しました。

ある新聞の記事を読んでいたら、将来の不安を背景に、家計が節約志向を強めたためと記載されておりました。

もちろんそれは正しいと思うのですが、「貯蓄から投資」の流れが進んでいないから、貯蓄が増えたと考える事もできます。

貯蓄額が増加を続けた4年間を振り返ってみると、まだアベノミクスが好調だったため、株価は右肩上がりに上昇しておりました。

そのため投資を始めるには、とても良い環境だったと思うのですが、そんな事には全く関心を持たずに、多くの日本人はせっせと貯蓄を増やしていたのです。

日本では学校で十分な金融教育が行われておらず、また社会人になると忙しいため、金融教育を受けたい気持ちがあっても、その時間を確保するのが難しくなります。

ですから投資はよく分からないと考える方が多くなり、またよく分からないものには、あまり手を出したくはありません。

そうなると日本で「貯蓄から投資」の流れが進まないのは、当然の話だと思います。

なお投資で5兆円を超える個人資産を築いた、アメリカの有名な投資家のウォーレン・バフェット氏は、「分からないものには投資しない」や「自分で理解できない複雑なものには投資しない」を、投資哲学にしているそうです。

このようなバフェット氏の投資哲学から考えると、十分な金融教育を受けていないため、投資についてよく分からない日本人が、投資を始めようとしないのは、理にかなっていると思います。

ところでライフネット生命は、生命保険の加入者1,000名に対して、加入している生命保険の内容の理解度を調査しました。

その調査結果は生命保険加入者1,000名に聞く 生命保険加入実態調査の中に掲載されておりますが、次のように「全て理解している」と回答した方は、約2割しかいない事がわかります。

・全て理解している→16.1%
・少し理解できていない→54.1%
・かなり理解できていない→25.8%
・全くわからない→4.0%

ですから投資はよく分からないから始めないのと同じように、生命保険の約8割は止めた方が良いと思うのです。

このアンケートを更に見てみると、「全て理解している」と回答した方の43.5%は、自分が加入している生命保険に対して、「全く不満はない」と回答しております。

それに対して「少し理解できていない」と回答した方は、「全く不満はない」は27.4%に下がります。

また「かなり理解できていない+全くわからない」と回答した方になると、「全く不満はない」は22.1%まで下がります。

つまり自分が加入している生命保険の内容を理解しているほど、満足度が高くなるのです。

自分が加入している生命保険の内容を、理解できていない方の立場から考えると、どんな効果があるのかがよく分からないものに、毎月数万円のお金が消えていくのですから、不満があるのは当然です。

この状態を改善するには、理解できない生命保険は止める、理解できるレベルのシンプルな内容の生命保険に見直す、理解できるように金融教育を受けるの、どれかを実行するしかないと思います。

いずれにしろ投資はよく分からないから手を出さないのに、生命保険はよく分からなくても手を出すという日本人の行動は、何とも矛盾しているのではないでしょうか?

生命保険は投資より安全だから、よく分からなくても大丈夫という反論があるかもしれませんが、例えば今流行っている「外貨建て保険」は、生命保険であっても元本割れするので、投資とあまり変わらないと思います。
posted by FPきむ at 20:35 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする