2017年12月02日

生命保険の契約者が不買をしないから、保険金の不払いが繰り返される

平成26年(2014年)7月頃にマクドナルドが、期限切れの鶏肉を使用した問題が発覚しました。

またその翌年にはサンデーチョコレートからプラスチック片、フライドポテトから人の歯が見つかるなどの、異物混入問題が発覚したため、客離れが進んでいきました。

これらにより平成27年(2015年)12月期の業績は、株式を上場して以来の最低水準に落ち込み、100以上の店舗が閉店を余儀なくされたのです。

それから業績はなかなか回復せず、マクドナルドはもう立ち直れないのではないかと思っていたら、ここ最近は離れていたお客さんが戻ってきたため、業績は急回復しているようです。

この理由について考えてみると、外食をしようと思ったら、マクドナルド以外にもたくさんの選択肢があるため、マクドナルドで問題が起きたらお客さんは、すぐ他のお店に行ってしまいます。

そのためお客さんが戻ってきたくなるサービスなどを、経営陣が必死になって考え、また従業員が一丸となって、それを実施する必要があるのです。

つまりお客さんの不買が、経営陣や従業員の意識や行動を変え、それが評価されたからこそ、マクドナルドの業績は急回復したのではないでしょうか?

もしお客さんが不買をせず、問題が発覚した後も今まで通りにマクドナルドを利用していたとしたら、意識や行動を変えようという気持ちは、あまり起きなかったのではないかと思うのです。

ところで生命保険は次のような理由により、マクドナルドのような飲食店のように、契約者が簡単に不買をする事ができません。

・解約するのに手間がかかるし、その後に新規契約するのは更に手間がかかる

・途中で解約してしまうと、元本割れになる可能性がある

・解約して新規契約しようと思っても、どのような生命保険が自分に合っているのかがわからない

・商品内容が複雑なため、他社の商品と比較するのが難しい

その結果として何か起きるのかというと、繰り返される保険金の不払いではないかと思うのです。

保険金の不払いとして有名なのは、平成17年(2005年)2月頃に、明治安田生命による死亡保険金の不当な不払いが発端となり、次々に発覚したものがあります。

この不払い問題で明治安田生命は業務停止処分を受け、特に不払い額が多かった10社に対しては、金融庁から業務改善命令が出されました。

また業務改善命令が出された生命保険会社の、不払い件数の合計は約135万件に達し、また不払い金額の合計は約973億円にも達しております。

特に不払いが多かったのは大手の4大生保で、それを金額が多い順に示すと、第一生命が約189億円、住友生命が約158億円、日本生命が約134億円、明治安田生命が約115億円になっております。

これは大きな社会問題になったため、保険金の不払いはもう発生しないと思っておりました。

しかし12月14日のブログに記載しましたように、平成26年(2014年)の夏頃に「宙に浮く保険金」と呼ばれる、不払い問題が発生しているのです。

このように意識してニュースを見ていると、生命保険会社は引き続き、保険金の不払いを発生させているとわかります。

なぜ意識してニュースを見る必要があるのかというと、マスコミにとって生命保険会社は有力なスポンサーのため、大きな声では批判できないからです。

企業に対する抗議の意思を示すため、消費者が力を合わせて、特定の物を買わないようにする、「不買運動」というものがあります。

生命保険についても個々の契約者が不買、つまり解約と共に別の生命保険会社の商品に乗り換えをして、保険金の不払いに対して抗議の意思を示せば、同じような問題はもう発生しないと思うのです。

ただ残念ながら多くの契約者は、保険金の不払い問題に不安や不満を感じても、上記のような理由で現状維持を選択します。

そのため生命保険会社はマクドナルドのように変わる事はできず、これからも保険金の不払いは、繰り返されていくのではないでしょうか?
posted by FPきむ at 20:17 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月16日

協会けんぽが健康増進により、保険料率を引き下げする新制度案を公表へ

平成29年(2017年)10月24日のSankeiBizを読んでいたら、健康推進で保険料負担を引き下げ 協会けんぽ、新制度案を公表と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『中小企業の従業員や家族ら約3860万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は23日、病気予防や健康づくりの取り組みを健康保険料率に反映する新制度案を公表した。

保険料率は47都道府県支部ごとに決まっており、取り組みが評価された支部の企業、従業員の負担は引き下げられる。保険料率への反映は2020年度以降、段階的に実施する予定。

現在、保険料の一部を75歳以上の後期高齢者医療制度の支援金に充てているが、特定健診(メタボ健診)の受診率や保健指導の実施率向上などで実績を上げた支部はこの負担率を引き下げる。

反対に、実績が上げられなかった支部は負担が大きくなる。過去2年分の実績で試算したところ、22の支部で現行より負担割合が下がった。

現在、協会けんぽの保険料率の全国平均は給与の10.0%。うち後期高齢者医療の支援金負担分が占める割合は2.102%で、ペナルティーとしての負担増は最大0.01%分。

最も評価の高かった島根の場合、試算では1.966%に下がった。保険料は労使折半で、月給28万円の平均的な加入者の場合、本人負担は月1万4000円程度となっている』

以上のようになりますが、会社員の方やその家族が加入する健康保険は、次のような2種類に分かれております。

■全国健康保険協会が運営を行っている「協会けんぽ」
主に中小企業の従業員が「被保険者」となり、その家族は一定の要件を満たすと「被扶養者」になるため、保険料を負担しなくても、保険給付を受けられます。

■健康保険組合が運営を行っている「組合健保」
主に大企業の従業員が「被保険者」となり、その家族は一定の要件を満たすと「被扶養者」になるため、保険料を負担しなくても、保険給付を受けられます。

ただ「月給(賞与)×健康保険の保険料率」により、各人が納付する保険料を算出する点や、労使折半で保険料を納付する点などの、基本的な仕組みは共通しております。

今回の記事はこの二つのうちの、協会けんぽに関するものであり、特定健診(メタボ健診)の受診率や、保健指導の実施率の向上などで、実績を上げた支部(47都道府県にひとつずつ支部がある)については、健康保険の保険料率が引き下げられます。

逆に実績を上げられなかった支部については、健康保険の保険料率が引き上げされるので、アメとムチの両面を持った制度になるようです。

厚生労働省が発表しているデータによると、平成26年(2014年)の特定健診の実施率(受診者数÷対象者数×100)は、組合健保が72.5%もあるのに対して、協会けんぽは43.4%しかありません。

協会けんぽが新制度案を発表したのは、このような組合健保との差を縮めたいという思いが、背景にあるのではないでしょうか?

ただ組合健保の実施率が高いのは、これに加入しているのは大企業が多く、大企業は人事総務部などの中に、健康診断の担当者がいるからだと思うのです。

つまりこの健康診断の担当者が、特定健診の未受診者をしっかりと把握し、また担当者が未受診者に対して、受診を催促するからこそ、実施率が高くなるのです。

その一方で協会けんぽは、主に中小企業が加入しているため、健康診断の担当者を雇うだけの余裕のないところが多いと思います。

そのため特定健診の未受診者を、しっかりと把握しておらず、また担当者が未受診者に対して、受診を催促しないため、実施率が低くなってしまうのです。

このような構造的な問題を解決する仕組みを作らないと、実施率はなかなか上がらないのではないでしょうか?

ところで社会保険制度の中には、事業場の努力を保険料率に反映させているものがあり、それは労災保険(正式な名称は「労働者災害補償保険」)です。

この労災保険は「メリット制」という仕組みにより、個々の事業場の労働災害の多寡に応じて、労災保険率または労災保険料額を変動させております。

つまり労働災害を少なくするように努力した事業所が、報われるようになっているのです。

協会けんぽが始める新制度も個々の事業場ごと、または企業ごとに、保険料率を変える仕組みにした方が良いと思います。

その理由として従業員ごとに保険料率を変える仕組みにすると、管理が大変になってしまうからです。

また各都道府県にある支部ごとに保険料率を変える仕組みにすると、特定健診の実施率を上げようとする、個々の事業場や企業の努力が、報われなくなってしまう可能性があるからです。

つまり狭過ぎず広過ぎでもない範囲で、健康保険の保険料率を変動させていくと、管理がしやすいうえに、効果もあると考えております。
posted by FPきむ at 20:37 | 公的保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする