2017年03月16日

生命保険の顧客満足度ランキングは、共済系が上位を独占という結果へ

平成29年(2017年)2月24日のマネーポストWEBを読んでいたら、銀行・生保の顧客満足度 大手が上位に入らないのはなぜかと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『生命保険の顧客満足度ランキングでは、1位が『コープ共済』、2位が『都道府県民共済』、3位が『全労済』、4位が『アフラック』、5位が『メットライフ生命』だった。共済が1〜3位を占めるという結果になった理由を畠中さんが解説する。

「負担の少ない掛け金が好感を得ているのだと思います。例えば『都道府県民共済』は掛け捨てとはいえ、2000円で入れる。

景気があまりよくならず収入が増えない状況で、掛け捨てでもいいから安く保険に入りたいというニーズが強いです。特に若年層にはリーズナブルに見えて支持されています」

では、『明治安田生命』や『日本生命』など大手が選ばれていないのはなぜか。

「『コープ共済』は組合員にならないと入れないので、自分で考えて選んで入った人が多いですが、大手は人にすすめられたり、おつきあいで内容がわからず入ってしまった人も多いと思います。

大手の保険料が高いわけではありませんが、自分でもよくわかっていないから満足度も高くならずに、選ばれていないのではないでしょうか」(畠中さん)』

以上のようになりますが、この記事はサービス産業生産性協議会が実施した、生命保険に関する「顧客満足度調査(2016年度)」の結果と、その結果についてファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが、解説するという内容になっております。

なおこの記事の中には記載されておりませんが、更に詳しく調べてみると、5位の「メットライフ生命」の後は、6位が「アクサ生命」、7位が「ソニー生命」だとわかり、大手の4大生保(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)やかんぽ生命は、まったく登場しません。

またコープ共済が1位で、都道府県民共済が2位という状況は、4年間に渡って継続しているとわかり、たまたま今回だけ共済系の満足度が、高かったわけではないのです。

ファイナンシャルプランナーの畠中さんは、コープ共済などの共済系の満足度が高い理由について、「自分で考えて選んで入った人が多い」と分析しておりますが、個人的には次のように考えております。

(1)共済系は「理想的な生命保険」の条件を満たしている
ライフネット生命というネット専業の生命保険会社が、平成20年(2008年)9月2日〜9月3日に、生命保険に加入している20代〜50代の男女(1,000名)を対象にして、生命保険の加入実態と意識を探る調査を実施したのです。

この調査結果の詳細については、生命保険加入者1,000名に聞く 生命保険加入実態調査を見るとわかります。

これによると調査対象者が望む理想的な生命保険は、「保険料が安く」(45.4%)、「保障内容がわかりやすく」(38.8%)、「保険料が値上がりしない」(38.2%)などが、条件になっているようです。

コープ共済、都道府県民共済、全労済などの共済系が販売する生命保険は、この3つの条件を満たすものが多いので、満足度が高いのは当然だと思うのです。

また大手の満足度が低いのは、この3つの条件の逆(保険料が高く、保障内容がわかりにくく、保険料が値上がりする)となる生命保険を、販売している場合が多いからだと思うのです。

(2)共済系は「掛け捨て」でも、掛け捨てになる金額は少ない
共済系は年1回の決算時に、契約者から受け取った掛金から、契約者に支払った共済金と、営業に必要な経費を引き、剰余金(あまったお金)が生じた場合には、「割戻金」として契約者に還付しております。

例えば都道府県民共済では、契約者から受け取った掛金の2割〜4割程度が、割戻金として還付されております。

ですから共済系は「掛け捨て」であっても、実際に掛け捨てになる金額は、意外と少ないのです。

(3)共済系は共済金の支払いが早く、請求した時の対応が良い
今回の顧客満足度調査に回答したのは、「最近3年間で保険金・給付金・見舞金等の受取・支払請求の経験がある事」という要件を、満たしている方になるようです。

ですからコープ共済や都道府県民共済などの共済系は、「掛金が安い」や「割戻金がある」といった、契約中の満足度だけでなく、実際に病気やケガになって、共済金を受け取る段階の満足度も、高い事を示していると思うのです。

共済金を受け取る段階の満足度が高いとは、例えば「共済金の支払いが早い」や、「共済金の請求手続きをした時の対応が良い」などといった事になります。

これらはあくまで推測であり、共済金の支払いの早さや、対応の良さを証明するデータはないのですが、共済金の請求手続きをした時に、あれこれと理由をつけて、なかなか共済金を支払わないとしたら、満足度は高くならないはずです。

また大手の生命保険会社は、平成17年(2005年)頃に発覚した「保険金不払い事件」で、マスコミなどから批判されておりました。

しかしこの時にランキングの上位にある共済が、マスコミから批判されていた記憶はないので、これは共済金の支払いの早さや対応の良さを、証明していると思うのです。

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2017年03月01日

貯蓄型保険の加入者に伝えたい「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

平成29年(2017年)2月28日の日本経済新聞を読んでいたら、かんぽも保険料上げ 4月から終身保険1割 低金利で運用難と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『かんぽ生命保険は28日、終身保険や養老保険、学資保険の保険料を4月から引き上げると発表した。長期金利が低下しているためだ。

死亡保険金300万円の終身保険で40歳男性が60歳まで保険料を払い込む場合は、月2万1300円と現在より11.5%上がる。

保険金額300万円の養老保険に40歳女性が加入して50歳で満期になる場合は、保険料が月2万8200円と1.3%の値上げとなる。

生命保険各社が契約者に約束する運用利回り(予定利率)の目安となる「標準利率」を金融庁が4月から1.00%から0.25%に下げることを反映する』

以上のようになりますが、平成28年(2016年)1月に、日銀がマイナス金利政策を導入してから、終身保険、養老保険、個人年金保険などの「貯蓄型保険」を中心に、生命保険の保険料が継続的に値上げされております。

先日は日本生命とオリックス生命が、平成29年(2017年)4月から、一部の生命保険の保険料を値上げすると発表したので、記事のタイトルに「かんぽも保険料上げ」と、記載されているのだと思います。

このような状況になった背景としては、国内の生命保険会社はいずれについても、日本国債を大量に保有しているため、マイナス金利政策で日本国債の運用益が減ってしまうと、その不足分を保険料の値上げで補う必要があるからです。

例えばかんぽ生命は平成28年(2016年)3月末時点で、資産の54.2%を日本国債で運用しております。

国内の生命保険会社が日本国債を大量に保有している事のマイナス面は、現在は保険料の値上げで済んでおりますが、いずれはこの程度では済まなくなると予想しております。

つまり日本が財政危機に陥り、日本国債の元本や利子の全部または一部が戻ってこない状況になると、日本国債を大量に保有している国内の生命保険会社は連鎖して、危険な状況になってしまうのです。

そんな事はありえないと言う方もおりますが、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが発表している日本国債の格付けは、平成29年(2017年)2月18日時点で「A1」となり、これは「Aa2」の韓国より2つ下です。

また原油安の影響により、財政危機が起きるのではないかと危惧されているサウジアラビアと、同じ格付けになります。

日本国債の国際的な評価は、すでにここまで落ち込んでおり、消費税率の引き上げを再延期するような事態になれば、また格付けが引き下げられるかもしれません。

過去に生命保険会社が倒産した時に、どのような事が起きたかについて調べてみると、9月1日のブログに記載しましたように、「保険期間が長期に渡る保険」や、次のような「貯蓄型保険」は、倒産による影響を大きく受けました。

・終身保険(8月7日のブログを参照)
・養老保険(4月24日のブログを参照)
・個人年金保険(2月28日のブログを参照)

つまり保険金や年金の金額が大幅に削減され、個人年金保険では年金額が、半分になってしまった契約もあります。

その一方で保険期間が10年程度の、「掛け捨て型の定期保険」(8月9日のブログを参照)は、倒産による影響をほとんど受けずに済みました。

最後に国内の生命保険会社が倒産してから約20年が経過し、貯蓄型保険は倒産による影響を受けやすいという、絶対に忘れてはいけない教訓が、多くの人々の記憶の中から、消え去ってしまったように感じます。

ところで過去に銀行が倒産した時に、どのような事が起きたかについて調べてみると、預金者一人につき、1000万円までの元本とその利息は、全額保証され戻ってきました。

ですから「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という名言を、生活の中で活用するなら、貯蓄型保険に加入するより、必要な時期(例えば子供が社会人になるまで)に限定して、掛け捨て型の定期保険に加入し、あとは銀行を複数に分散して、預金した方が良いと思うのです。

もちろん預金だけではお金が増えないという欠点がありますが、何よりも安全を重視するなら、貯蓄型保険に加入するよりずっとマシです。

このように歴史は我々に、多くの事を教えてくれるのですから、自分が加入する生命保険の、保険金や年金の金額が大幅に削減されてから、貯蓄型保険に加入するべきではなかったと学ぶ、愚者になる必要はないと思います。

なおここに書いてある事がデタラメだと思う方は、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という名言の通り、自分が加入する生命保険会社の、過去の格付けの推移を調べてみるべきです。

そうすると日本国債の格付けの引き下げと共に、その生命保険会社の格付けも引き下げられているとわかり、両者がいかに連動しているかが、確認できると思います。

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posted by FPきむ at 20:25 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする