2017年06月23日

「ぼったくり商品」はいずれ淘汰されるが、それまでには期間がかかる

平成29年(2017年)6月22日のサンケイビズを読んでいたら、生保各社、外貨建て保険投入相次ぐ 明治安田生命が参入 高利回り期待でと題した、次のような記事が掲載されておりました。

『生命保険各社が外貨建て保険商品を相次いで投入している。明治安田生命保険は22日、外貨建て保険に参入すると発表した。

日銀のマイナス金利政策導入以降、運用難が続く中、高齢者の資産形成ニーズに応え、各社は少しでも高い利回りが期待できる外貨に活路を見いだした形だ。

明治安田は8月から、銀行窓口で米ドルまたは豪ドル建ての一時払い終身保険を発売する。米ドル建ての一時払い養老保険も営業職員を通じ販売。初年度に計約3千億円を目指す。

外貨建てではこのほか、太陽生命保険が7月、銀行窓口で個人年金を発売する。日本生命保険は10月、営業職員を通じ、傘下の三井生命保険の商品の取り扱いを始める。

第一フロンティア生命保険は今夏にも新商品を発売。住友生命保険は三井住友銀行で先行発売した商品を7月ごろから地方銀行でも売り始める。

マイナス金利導入後、貯蓄性商品は予定利率の確保が困難となり、販売停止が相次いだ。

各社は外貨建て保険に注力した結果、日本生命の推計では、平成28年度に銀行窓口で販売した外貨建て保険の収入保険料は約3兆円となり、24年度に比べ3倍に伸びた』

以上のようになりますが、外貨建て保険の問題点については、ちょうど1年前くらいから、様々な金融関係の評論家が、繰り返し指摘しております。

その評論家の中には、外貨建て保険の手数料の高さとわかりにくさから、「ぼったくり商品」と批判する方もいるのです。

また金融庁もその点を問題にしており、外貨建て保険を販売する銀行などに対して、手数料の開示を求めましたが、これについては6月1日のブログを参照して下さい。

しかしこの記事に記載されているように、生命保険各社は新商品の投入を予定している、つまりまだ売れると思っているので、外貨建て保険をめぐる状況に、あまり変化は見られないようです。

その一方で様々な金融関係の評論家が高評価をしている、個人型の確定拠出年金(愛称は「iDeCo」)は、ほとんど知られておりません。

例えば平成29年(2017年)2月7日のNIKKEI STYLEには、「iDeCo、知らない」8割超 投資知識の不足も鮮明という記事が掲載されており、その一部を紹介すると次のようになります。

『QUICK資産運用研究所が約5000人を対象に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」によると、今年1月からほぼ全ての現役世代が加入できるようになった個人型確定拠出年金(DC)「iDeCo(イデコ)」について「知らなかった」と答えた人が全体の8割超を占めた』

以上のようになりますが、個人型の確定拠出年金があまり知られていないのは、なんとなく理解しておりました。

しかし8割超(正確には「81.5%」)の方が知らないという現実には、かなり驚きを感じました。

ところで社会学者のエベレット・M・ロジャースは、消費者を次のような5つのカテゴリーに分類し、新しい商品などが発売された場合には、(1)から(5)の順に採用されていくとしております。

(1)革新者(全体の2.5%を構成)
冒険心にあふれる、最も早い時期に新しい商品などを採用する消費者

(2)初期少数採用者(全体の13.5%を構成)
新しい商品などの情報収集を積極的に行い、自分に有益かを判断する、オピニオンリーダー的な役割を果たす消費者

(3)前期多数採用者(全体の34.0%を構成)
新しい商品などの採用には、比較的に慎重派であるが、平均より早くに採用する消費者

(4)後期多数採用者(全体の34.0%を構成)
周囲の大多数の方が、新しい商品などを試している場面を見てから採用する、かなり慎重派の消費者

(5)採用遅滞者(全体の16.0%を構成)
世の中や流行の動きに関心が薄い、最も保守的な消費者

以上のようになりますが、これを見るとわかるように、様々な評論家が高評価をする個人型の確定拠出年金であっても、それが普及していくまでには、ある程度の期間がかかるという事だと思います。

それと同じように様々な評論家がぼったくり商品と批判する、外貨建て保険が淘汰されるまでには、ある程度の期間がかかるのではないでしょうか?

つまり良い方向への変化であったとしても、社会は急激には変わらないのです。

また評論家が指摘する外貨建て保険の問題点(例えば解約した時や、保険金を受け取った時の為替レートによっては、元本割れが起きる)が、少しずつ顕在化していき、それが口コミなどを通じて多くの方に知れ渡った時に、変化が訪れそうな気がします。
posted by FPきむ at 20:24 | 保険について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

生命保険業界13社に対するNPS調査で、ソニー生命が1位を獲得へ

平成29年(2017年)6月7日のWeb担当者Forumを読んでいたら、生命保険業界13社のNPS調査でソニー生命が1位、契約後のフォローがロイヤルティに大きく影響と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『NTTコミュニケーションズグループのNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションは、生命保険業界を対象に、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施し、6月6日調査結果を発表した。

調査の結果、生命保険業界13社のうち、もっともNPSが高いのはソニー生命保険だった。

業界全体で、「商品の魅力」や「問い合わせ時の応対」など9つの項目別に満足度を聞いたところ、契約後のアフターフォローが大きな課題であり、その有無や種類によりNPSが大幅に変わるなど、顧客ロイヤルティに大きな影響を与えていることが分かった。

調査はインターネットリサーチモニターのうち、生命保険加入者を対象にNTTコムリサーチによる非公開型インターネットアンケートによって行い、有効回答数は7,168だった』

以上のようになりますが、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を算出する際は一般的に、調査対象者に次のような質問を行います。

「あなたはこの商品(今回なら「生命保険」)を、親しい友人や家族に対して、どの程度すすめたいと思いますか?そのすすめたい度合いを、0〜10の点数で評価して下さい」

複数の調査対象者に対して同様の質問を行った後、その点数により調査対象者を次のように分類して、推奨者の割合から批判者の割合を引いたものが、NPSになるのです。

・9点〜10点:推奨者
・7点〜8点:中立者
・0点〜6点:批判者

ソニー生命に対して9点〜10点を付けた方、つまり「推奨者」になった方は、「保険商品」(保障内容が充実している商品が多い)や、担当者(コンサルティングが適確)に対して、満足しているようです。

またソニー生命を含めた各社について、0点〜6点を付けた方、つまり「批判者」になった方は、アフターフォローが少ない点や、契約後の内容確認や見直しをするタイミングが不足している点に対して、不満を感じているようです。

冒頭に掲載した記事を読むと、この「アフターフォロー」の有無や種類により、NPSが大幅に変わると記載されております。

しかし生命保険業界は離職率が高く、契約を担当した営業職員と長期的な付き合いができない点や、アフターフォローよりも新規の契約を獲得した方が、営業担当者は収入が上がる点などから考えて、今後もアフターフォローは充実していかない気がします。

ところで3月16日のブログで紹介した「顧客満足度調査」は、次のような結果になっており、ソニー生命は上位に入っていても、1位〜3位には含まれておりません。

1位:コープ共済
2位:都道府県民共済
3位:全労済
4位:アフラック
5位:メットライフ生命
6位:アクサ生命
7位:ソニー生命

このような違いが生まれた理由としては、NPS調査は調査対象者に対して、要件を設けておりません。

それに対して顧客満足度調査は、「最近3年間で保険金・給付金・見舞金等の受取・支払請求の経験がある事」という、要件を設けているからだと思うのです。

また共済系はそもそも営利を目的としておらず、営利を目的とする生命保険会社とは違うため、NPS調査については共済系が、含まれていない可能性があります。

もし1位〜3位の共済系を除いた場合には、ソニー生命は4位まで浮上しますから、NPS調査と顧客満足度調査の結果が、かなり近づいてきます。

いずれにしろ実際に加入している方の感想を元に決定するNPS調査と顧客満足度調査は、会社の規模が大きい、または有名といった基準よりも、参考になると思うのです。

またNPS調査において4割程度の回答者が、推奨度として「5(どちらともいえない)」を選択しており、自分が加入している生命保険の保障内容などを、十分に理解していない事をうかがわせます。

ですからこの4割程度の方にとっては、自分が加入する生命保険の保障内容などを十分に理解する事が、当面のテーマになると思うのです。
posted by FPきむ at 20:21 | 民間保険の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする